文字サイズ変更
  • 標準
  • 特大
インフォグラフィックでわかる統合医療
医療関係者の方へ ホーム  >  海外の情報  >  肌の症状・疾患

海外の情報

肌の症状・疾患
Skin Conditions

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2024年12月

皮膚は、実は体の中で一番大きな臓器です。体温調節、体の水分保持(脱水を防ぐ)、有害な微生物の外部からの侵入を防ぐなどの働きがあります。皮膚疾患は非常に一般的なもので、米国人の3人に1人がいつでも罹患していると言われています。一般的な皮膚疾患として、痤瘡(にきび)、接触性皮膚炎、 良性腫瘍、がん、アトピー性皮膚炎(別名:アトピー性湿疹)、乾癬が挙げられます。皮膚がんは、がん種の中で、米国で最も一般的に診断されています。(ただし、皮膚がん関連死亡の多くを占めるメラノーマは、皮膚がん診断全体の5%未満です)。

大規模な米国国民健康調査によると、皮膚のトラブルを抱える人々は補完療法を求めることが多く、ビタミン、ミネラル(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、ハーブ系サプリメントが最も頻繁に求められる補完療法であることがわかりました。

科学的見解

  • 皮膚疾患に対する補完療法を対象とした研究はほとんどなく、実施された研究も概して小規模で、デザインも十分ではありません。
  • 皮膚の症状・疾患によっては、潜在的な医学的問題の徴候であるかもしれません。皮膚の症状・疾患が改善されない場合、または悪化した場合は、今かかっている医療機関※に相談してください。

アトピー性皮膚炎

  • 湿疹に対するホメオパシー催眠療法・バイオフィードバック(生体自己制御)、マッサージ療法の有用性は証明されていません。
  • 妊娠中の母親や乳児にプロバイオティクスのサプリメントを投与する研究の結果は、まちまちです。 しかし、文献レビューの結果、ある種のプロバイオティクス、特に 乳酸桿菌属ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus GG)を 妊娠中の母親や乳児に与えることは、特に従来の治療法への追加としては役立つかもしれないことが示唆されています。
  • ある文献レビューでは、経口(口から)または局所的に適用された中薬(中医学の薬草療法)・ハーブの混合物が、小児や成人の湿疹の重症度を軽減したというエビデンス(科学的根拠)はほとんどないと結論づけています。
  • 魚油、ビタミンE(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、ミネラル、マルチビタミン(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、ビタミンD(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、セレニウム(セレン)(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、ビタミンB6(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、亜鉛(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、サジ―(シーバックソーン)オイル、ヘンプシードオイル、ひまわり油の湿疹に対する経口摂取の有用性は、これらの製品について行われた限られた数の研究では確立されていません。

乾癬

  • 小規模な臨床試験の結果では、魚油の経口摂取の結果はまちまちであり、改善を認めるまでに6カ月もの長期間の摂取が必要であるかもしれません。
  • 死海気候療法や死海の環境を模倣した人工的気候療法と呼ばれる温泉療法の一形態が乾癬に役立つことが示されています。
  • いくつかの臨床研究では、乾癬に対する鍼治療といくつかの(局所使用)植物抽出物(エキス)が検討されていますが、研究は数が少なく、小規模で、デザインも良くないので、これらのアプローチを推奨することはできません。

痤瘡(にきび)

  • 痤瘡(にきび)に対して局所へのティーツリーオイルや蜂毒を推奨するための厳密な研究は十分ではありません。

伝染性膿痂疹(とびひ)

  • ティーツリーオイル、オリーブオイル、ガーリックオイル、ココナッツオイル、マヌカハニーをとびひ(幼児に多い細菌性皮膚感染症)の治療薬として推奨するには、十分なエビデンスがありません。

副作用とリスク(危険)

  • オンライン上では「Black Salve」と呼ばれる化合物が、さまざまな皮膚疾患に対してプロモーション(宣伝・販売促進)されています。ただし、ブラッドルート (Sanguinaria canadensis:カナダケシ、血根草 )が含まれている場合は、皮膚を腐食させる可能性があります。
  • 死海気候療法は、有用であるとされていますが、紫外線を余分に浴びると皮膚がんのリスク(危険)を高めるかもしれません。
  • 子供にダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)を与えたり、他の補完療法を試そうと検討している場合は、子供の今かかっている医療機関※に相談することが特に重要です。

ダイエタリーサプリメントの使用を検討している場合は、「ナチュラル(天然)」は「安全」を意味していないことを忘れないでください。ダイエタリーサプリメントの中には、副作用を引き起こしたり、薬や他のダイエタリーサプリメントと相互作用したりするかもしれません。サプリメントを過剰に摂取したり、サプリメントを処方箋薬の代わりにしたりすることは、有害であり、生命を脅かす可能性さえあります。

皮膚の症状・疾患に関するさらなる情報については、米国関節炎・筋骨格系・皮膚疾患研究所(National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases)[英語サイト]のウェブサイトおよびMedlinePlusのウェブサイト[英語サイト]に掲載されている情報をご覧ください。

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)小児に対する補完療法はほとんど研究されていません。

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレコム・リレー・サービス(Telecommunications relay service:TRS)7-1-1
ウェブサイト:https://www.nccih.nih.gov[英語サイト]
E-mail:info@nccih.nih.gov(メール送信用リンク)

■ 科学を知ろう

NCCIHと米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は、科学研究の基礎と用語を理解し、自分の健康について十分な情報を得た上で意思決定できるようにするためのツールを提供しています。科学を知ろうは、インタラクティブなモジュール、クイズ、ビデオなどのさまざまな教材や、消費者が健康情報を理解できるように設計された連邦政府のリソースから有益なコンテンツへのリンクを提供しています。

Explaining How Research Works(研究のしくみを知る)[英語サイト](NIH)
科学を知ろう:科学雑誌の論文を理解する方法
Understanding Clinical Studies(臨床試験を理解する)[英語サイト] (NIH)

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine, PubMed®:NLM)のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「補完・統合医療に関する情報をPubMed® で検索する方法 」をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/[英語サイト]

■ 国立関節炎、骨格筋、皮膚疾患研究所 (NIAMS; National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases)

NIAMSの使命は、関節炎、骨格筋、皮膚疾患の原因、治療、予防に関する研究、この研究を行うための基礎および臨床科学者の訓練、これらの疾患の研究の進捗に関する情報の普及を支援することです。

米国内の無料通話:1-877-22-NIAMS
ウェブサイト: https://www.niams.nih.gov[英語サイト]

このページの情報は役に立ちましたか?

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2025年6月19日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

「統合医療」情報発信サイト
医療関係者の方へ 関連コンテンツ

ページトップ
ページトップ