文字サイズ変更
  • 標準
  • 特大
インフォグラフィックでわかる統合医療
医療関係者の方へ ホーム  >  海外の情報  >  季節性アレルギー

海外の情報

季節性アレルギー
Seasonal Allergies

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2024年12月

アレルギーがある場合、あなたの免疫システムは、他のほとんどの人には影響しないものに対して反応します。季節性アレルギー(花粉症やアレルギー性鼻炎とも呼ばれる)の人は、植物の花粉に反応します。症状としては、くしゃみ、咳、鼻水や鼻づまり、目・鼻・口・喉のかゆみなどがあるかもしれません。

ここでは、アレルギー性鼻炎に対する補完療法について説明します。米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)のウェブサイトの別のページ[英語サイト]eJIMサイト内日本語訳)では、喘息に対する補完療法についての情報が掲載されています。

科学的見解

補完療法は、主要な療法介入(療法の取り込み方や提供方法)によって分類することができ、それは次のとおりです。

栄養学的アプローチには、これまでNCCIHが天然物に分類していたものが含まれ、心理的・身体的アプローチには、これまで心身療法と呼ばれていたものが含まれます。

アレルギー性鼻炎に対しては、多くの補完療法が研究されています。一部の療法には、役に立つかもしれないといういくつかのエビデンス(科学的根拠)があります。

心理的・身体的アプローチ

  • 2015年に報告された、参加者総数2,365例を含むアレルギー性鼻炎に対する鍼治療を対象とした13件の研究の評価では、このアプローチが役立つかもしれないことを示すエビデンスが得られました。
  • ネティポット(アーユルヴェーダの伝統に由来する器具)や、ネブライザー(吸入器)、スプレー、ポンプ、スクイーズボトルなどの器具を使って副鼻腔をすすぐことは、アレルギー性鼻炎の従来の治療に加えて有用であるかもしれません。

栄養学的アプローチ

  • 2007年に報告された、アレルギー性鼻炎に対するハーブバターバー(セイヨウフキ)を対象とした6件の研究(参加者総数720例)の評価では、バターバーが役立つかもしれないことを示されました。
  • 研究者らは、アレルギーを含む免疫系の疾患に対するプロバイオティクス(健康上のベネフィット[有益性]があるとされる生きた微生物)の研究を進めてきました。いくつかの研究では有望な結果が得られていますが、プロバイオティクスとアレルギー性鼻炎に関する全体的なエビデンスは一貫していません。プロバイオティクスの種類によっては、役に立つものもあれば、そうでないものもあるかもしれません。
  • 蜂蜜には少量の花粉が含まれているため、蜂蜜を食べることで花粉症を和らげることができるのではないかと考えられてきました。これは、人が花粉に対する耐性を構築するのに役立つ可能性があるからです。もう一つの可能性は、蜂蜜が抗ヒスタミン剤や抗炎症剤として作用する可能性があるということです。季節性アレルギーのある人における蜂蜜の有用性を検証した研究はわずかで、その結果は一貫していません。
  • その他、ゲンゲ属(オウギ類)、カプサイシン、ブドウ種子抽出物(エキス)オメガ3脂肪酸、ピクノジェノール(フランス海松樹皮抽出物[エキス])、ケルセチン、スピルリナ、セイヨウイラクサ、アーユルヴェーダ医学で使用されるハーブであるティノスポラまたはグドゥチなど、多くの栄養的アプローチがアレルギー性鼻炎に対して研究されています。すべての事例において、これらの製品が役立つかどうかを示すには、エビデンスが一貫していないか、あまりにも限定的です。

副作用とリスク(危険)

  • ネティポットなどの鼻洗浄器具の使い方が悪いと、感染症にかかることがあります。米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、 安全な鼻洗浄の方法[英語サイト]について情報を提供しています。
    • 最も重要なのは、鼻洗浄器に使用する水です。FDAによると、特定の方法でろ過、処理、加工されていない水道水を鼻洗浄に使用することは安全ではありません。滅菌水は安全です。滅菌生理食塩水(食塩水)が入った市販の鼻洗浄剤も利用可能です。
    • 水道水の中には、細菌やアメーバを含む原生動物などの生物が低レベルで含まれているものがあります。これらは胃酸で死滅するため、飲み込んでも安全かもしれません。しかし、これらの生物は鼻腔内で生き続け、潜在的に重篤な感染症を引き起こす可能性があります。2011年、ルイジアナ州では、ネティポットの不適切な使用によると思われる、まれな脳感染症で2人が死亡し、州保健局は、 ネグレリア・ファウレリ(Naegleria fowleri)というアメーバに汚染された水道水と関連付けました。
  • 鍼治療は、経験豊富な施術者が滅菌した鍼を使用して行う場合は、一般的に安全であると考えられています。鍼治療が不適切に行われると、潜在的に重篤な副作用を引き起こす可能性があります。
  • 生のバターバーの抽出物(エキス)には、肝障害や、がんの原因となるピロリジジンアルカロイドが含まれています。これらのアルカロイドをほとんど含まないバターバーの抽出物(エキス)が販売されています。しかし、還元アルカロイド製品を含むバターバー製品の長期使用が安全であることを証明した研究はありません。
  • 健康な人におけるプロバイオティクスの副作用は、あったとしても軽微なものです。しかし、健康上問題のある人(免疫系が弱っている人など)においては、感染症などの重篤な合併症が時々報告されています。
  • ハーブや蜂製品の使用には、いかなる目的であれ、注意が必要です。カモミールエキナセア(ムラサキバレンギク)など一部のハーブは、関連植物にアレルギーを持つ人にアレルギー反応を引き起こすかもしれません。また、花粉症の人は、蜂花粉、蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリス(蜂が植物樹脂から作る、巣の隙間を埋める封止材)などの蜂製品にアレルギー反応を示すかもしれません。1歳未満のお子さんには、蜂蜜を食べさせないでください。
  • 季節性アレルギーを管理するための最適な方法について、特にダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)を検討または使用している場合は、今かかっている医療機関※に相談してください。サプリメントの中には、薬や他のサプリメントと相互作用を起こしたり 、そのサプリメント自体が副作用を引き起こしたりするかもしれないため、注意が必要です。ほとんどのダイエタリーサプリメントは、妊娠中の女性、授乳中の母親、小児に対して試験が行われていないことを覚えておいてください。

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレコム・リレー・サービス(Telecommunications relay service:TRS)7-1-1
ウェブサイト:https://www.nccih.nih.gov[英語サイト]
E-mail:info@nccih.nih.gov(メール送信用リンク)

■ 科学を知ろう

NCCIHと米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は、科学研究の基礎と用語を理解し、自分の健康について十分な情報を得た上で意思決定できるようにするためのツールを提供しています。科学を知ろうは、インタラクティブなモジュール、クイズ、ビデオなどのさまざまな教材や、消費者が健康情報を理解できるように設計された連邦政府のリソースから有益なコンテンツへのリンクを提供しています。

Explaining How Research Works(研究のしくみを知る)[英語サイト] (NIH)
科学を知ろう:科学雑誌の論文を理解する方法
Understanding Clinical Studies(臨床試験を理解する) [英語サイト] (NIH)

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine, PubMed®:NLM)のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「補完・統合医療に関する情報をPubMed® で検索する方法」をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/[英語サイト]

このページの情報は役に立ちましたか?

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2025年6月19日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

「統合医療」情報発信サイト
医療関係者の方へ 関連コンテンツ

ページトップ
ページトップ