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インフォグラフィックでわかる統合医療

海外の情報

不安
Anxiety

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

不安に対する補完療法:概要
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英語版最終アクセス確認日:2025年10月

要点は?

不安に対する補完療法・統合医療の有用性について解明されていることは?

  • 補完療法・統合医療がどのように不安の軽減や不安への対処に役立つかを検証する研究は増えています。
    • 日常生活やストレスの多い状況で経験する不安に焦点を当てた研究もあれば、不安症(不安障害)に焦点を当てた研究もあります。
    • 補完療法の中には、医療処置のようなストレスの多い状況で不安を和らげるのに役立つものもあるかもしれません。
  • ヨガが不安症状の管理に役立つという研究はいくつかありますが、ヨガが不安症に有用かどうかは明らかではありません。より質の高い研究が必要です。
  • いくつかの研究では、マインドフルネスに基づく実践は、不安症状を管理するための確立された治療法と同等に有用であるかもしれないことが示されていますが、より多くの研究が必要です。
  • 催眠療法は、医療処置や歯科処置に関連した不安に対して研究されています。有望な結果が出ている研究もありますが、全体的なエビデンス(科学的根拠)は決定的なものではありません。
  • 音楽を聴くことが、医療処置を受ける人々の不安を軽減するのに役立つかもしれないというエビデンスがいくつかあります。
  • 鍼治療太極拳気功といった補完療法が不安を軽減するかもしれないことを示唆する研究は一部にありますが、決定的な結論を出すには、より多くの人々が参加する質の高い研究がさらに必要です。

不安に対する補完療法・統合医療の安全性についてわかっていることは?

  • 一般的に、このファクトシートで取り上げている心理的・身体的アプローチは、良好な安全性実績があります。しかし、だからといって誰にとってもリスク(危険)がないわけではありません。年齢、健康状態、特別な状況(妊娠など)、飲んでいる薬やサプリメントは、補完療法の安全性に影響を与えるかもしれません。
  • ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)には副作用があったり、薬との相互作用があったりするものもあります。
  • どのような身体活動でもそうですが、ヨガのような動きを伴う実践は、怪我のリスク(危険)を伴うことがあります。

不安とは何か、その重要性とは?

不安とは、ある出来事や状況に対する心配、神経過敏、恐怖の感情です。ストレスに対して不安を感じるのは普通のことです。しかし、不安症は違います。不安症のある人にとって、不安の感情は、仕事や学校へ行くこと、家族や友人と過ごすことなど、日常生活 に影響を与え、コントロールが難しく、重度で持続的な問題 となります。

米国の成人の約19%が前年中に不安症を経験し、推定31%が人生のある時点で不安症を経験しています。不安症は一般に、精神療法、薬物療法、またはその両方によって治療されます。

しかし、補完療法・統合医療の受け入れと利用は拡大しており、不安症と診断された人々のうち、推定43%近くがこれらを利用していると見積もられています。自身が不安症かもしれないと感じた場合は、今かかっている医療機関※に相談しましょう。米国国立精神衛生研究所(The National Institute of Mental Health)[英語サイト]には、不安症やその他の精神疾患・精神障害に関する詳しい情報があります。

助けを求めるべき時を知る

対処に苦しんでいる、または不安の症状が消えない場合は、専門家に相談するべき時期かもしれません。

差し迫った苦痛を感じている場合、または自身を傷つけることを考えている場合は、988に電話、テキストメッセージ、またはチャットで連絡してください。この3桁の番号は、 988 Suicide & Crisis Lifelineにつながります。Lifeline は、自殺の危機や精神的苦痛を感じている人に、24時間体制で秘密厳守のサポートを提供しています。

もしあなたやあなたの知り合いが精神的な病気にかかったり、精神的に苦しんでいたり、精神的な健康に不安がある場合、助けを求める方法があります。助けの求める方法[英語サイト]についてもっと知る。

補完療法について

補完療法は、その主要な治療法(どのように治療法を取り入れるか、または提供するか)によって分類することができます:

栄養学的アプローチには、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)が以前は天然物と分類していたものが含まれ、心理的・身体的アプローチには、心身療法と呼ばれていたものが含まれます。

不安に対する補完療法の科学的見解

心理的・身体的アプローチ

鍼治療

鍼治療が不安症状の軽減に役立つかもしれないという限定的なエビデンスはいくつかありますが、全体として、実施された研究の質は低いものです。

  • 2022年に報告された27件のランダム化比較試験(総参加者数1,782例)を対象としたレビューでは、鍼治療が全般性不安症の症状緩和において、比較対照となった他の治療法(その大半は薬物療法であった)よりも有用であり、かつ副作用が少ないと結論づけられました。しかし著者らは、より質の高い臨床試験が必要であると指摘しています。
  • 2021年に中国の研究者らは、合計916例の患者を対象とした12件の研究を解析し、手術前の鍼治療が不安の軽減に役立つかもしれないことが示されました。著者らは、研究対象者の数が少なく、エビデンスの質も低いため、さらなる研究が必要であると結論づけました。
安全性
  • 鍼治療による合併症は比較的少ないと報告されています。しかし、滅菌されていない鍼の使用や不適切な治療の実施によって合併症が生じることもあります。鍼治療が適切に行われないと、感染症、臓器穿孔、中枢神経系の損傷など、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。

鍼治療の詳細については、NCCIHウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。(eJIMサイト内)

催眠療法

催眠療法は、医療処置や歯科処置に関連する不安に対して研究されてきました。いくつかの研究では有望な結果が得られていますが、全体的なエビデンスは決定的ではありません。

  • 2022年に報告された19件の臨床試験を対象としたレビューでは、催眠療法は歯科治療中の不安や恐怖の軽減に役立つことが判明しました。しかし、著者らは、催眠療法による治療で肯定的な有用性が報告されているにもかかわらず、その結果には大きなばらつきがあることに留意しました。
  • 2023年に統合腫瘍学会(Society for Integrative Oncology)と米国臨床腫瘍学会(American Society for Clinical Oncology)が共同で公表したガイドラインでは、がん関連の診断および治療を受けている患者に対し、不安症状を改善する目的で催眠療法を提供してもよいと推奨しています。
安全性
  • 催眠療法は、訓練を受け、経験を積み、免許を持った医療従事者によって行われる場合、安全な技術です。

催眠療法の詳細については、NCCIHウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。(eJIMサイト内)

マインドフルネス瞑想

いくつかの研究では、マインドフルネスに基づく実践は、不安の軽減において、既存の一部の確立された治療法と同等か、それ以上の有用性があるかもしれないことが示唆されていますが、さらなる研究が必要です。

  • マインドフルネス・ストレス低減法(Mindfulness-based stress reduction:MBSR)
    2023年に報告された不安症のある参加者208例を対象としたランダム化比較試験では、マインドフルネス・ストレス低減法は、不安症の治療で一般的に処方される薬であるエスシタロプラム(escitalopram)と比べて、有用性が劣るわけではないことが示されました。また、2021年に報告された全般性社交不安症の成人108例を対象とした試験では、認知行動グループ療法(一種の心理的療法)とマインドフルネス・ストレス低減法の双方が、長期的な有益性(ベネフィット)を伴う有用な治療法となり得ることが示されました。どちらの治療法も、感情的反応を調整するのに役立つかもしれません。
  • マインドフルネスに基づく瞑想
    • 2019年に報告された29件の研究(総参加者数3,274例)の解析によると、がん患者におけるマインドフルネスに基づく実践の利用が、不安やその他の精神的苦痛(ディストレス)を有意に軽減することが示されました。しかし、参加者の大多数が乳がんの女性であり、他の集団や他種のがんを持つ人々にも同様の有用性があるかは不明確です。
    • 2014年に報告された8件(総参加者647例)の研究を対象としたレビューでは、教育や注意コントロールといった非特異的な対照群と比較した場合、マインドフルネス瞑想プログラムが不安の改善に中程度の有用性を示すエビデンスが得られました。さらに11件(参加者691例)の研究が評価されましたが、運動、漸進的筋弛緩法、認知行動グループ療法といった特異的な対照群と比較した場合、マインドフルネスがそれらより有用か、または劣るかを示す十分なエビデンスはないことが示されました。
  • マインドフルネスに基づく介入の比較2021年に報告された23件の研究のレビューでは、全般性不安症や社交不安症といった不安症と診断された成人1,815例を対象とし、アクセプタンス(受容) およびマインドフルネスに基づく介入が、不安の短期的な軽減をもたらすことが示されました。研究者らは、さらに質の高い研究を推奨しました。
安全性
  • 瞑想は一般的に、健康な人にとっては安全と考えられています。
  • 2019年に報告されたレビューでは、不安症患者に対するマインドフルネスに基づく介入の明らかな悪影響は認められませんでした。

マインドフルネスと瞑想の詳細については、NCCIHウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。(eJIMサイト内)

音楽に基づく介入

さまざまな健康問題を抱えている人や治療を受けている人を対象とした研究から、音楽を聴くことで不安が軽減されるというエビデンスがあります。

  • 2013年に報告された26件の研究(総参加者数2,051例)のレビューでは、録音された音楽を聴くことで、手術を待つ人の不安が有意に軽減されることが示されました。しかしながら、ほとんどの研究では、研究を行った調査員らが、どの参加者が音楽を聴いたかを知っていたため、バイアスの可能性があるという点が指摘されました。
  • 2021年に報告されたレビューでは、17件の研究(総参加者数1,381例)を対象とし、成人がん患者の不安に対する音楽による介入の有用性が評価されました。一部の研究では録音された音楽を聴くことが含まれ、他の研究ではより複雑な介入が用いられました。このレビューから得られた知見では、音楽を用いた介入が、不安を和らげる上で非常に大きな役割を果たすかもしれないことが示唆されています。しかし、これらの研究にはバイアスのリスクが高いという問題がありました。
  • 2015年に報告された透析治療を受けている人を対象とした5件の研究(参加者290例)のレビューでは、音楽を聴くことが不安を軽減することが示唆されました。しかし、これらの研究は規模が小さいこと、およびバイアスのリスクが高いことから限界があります。
  • 2018年に報告されたレビューでは、音楽を聴くことが歯科不安に対して有用であるかについては不明確であると結論づけられました。いくつかの研究では、気晴らしに音楽を聴くことは、歯科治療を受ける子どもや強い不安感を持つ成人の不安を軽減するのに十分でないかもしれないことが示唆されています。より能動的なタイプの音楽による介入(例えば、事前に患者に教える音楽によるリラクゼーション法)は、歯科医療の現場で役立つかもしれませんが、正式な研究では評価されていません。
安全性

音楽と健康の詳細については、NCCIHウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。(eJIMサイト内)

リラクゼーション法

リラクゼーション法は、慢性的な医学的問題を抱えている人や、医療処置を受けている人の不安を軽減するかもしれません。しかし、少なくとも一部の不安症の治療においては、リラクゼーション法よりも認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)の方がより有用であるかもしれません。

  • 2023年に統合腫瘍学会と米国臨床腫瘍学会が共同で公表したガイドラインでは、がん関連の診断および治療を受けている患者に対し、不安症状を改善する目的でリラクゼーション法を提供してもよいと推奨しています。
  • 2018年に報告された50件の研究(参加者2,801例)を対象としたレビューでは、心的外傷後ストレス障害(Post-Traumatic Stress Disorder:PTSD)および強迫症(Obsessive-Compulsive Disorder:OCD)の治療において、リラクゼーション法が認知行動療法よりも有用性が低いことが示されました。さらに、リラクゼーション法はパニック症に対しては1年後にはその有用性が薄れるかもしれません。しかし、不安を伴う他の症状については、認知行動療法よりも劣ると断定できるほどの十分なエビデンスはありません。
安全性
  • リラクゼーション法は一般的に健康な人には安全だと考えられています。しかし、時折、不安の増大、侵入思考、コントロールを失うことへの恐怖などのネガティブな経験が報告されることがあります。
  • まれに、てんかんや特定の精神疾患のある人、虐待やトラウマの既往歴のある人において、特定のリラクゼーション法が症状を引き起こしたり悪化させたりするかもしないという報告があります。

リラクゼーション法の詳細については、NCCIHウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。(eJIMサイト内)

ヨガ

ヨガは、身体的および精神的なウェルビーイング(well-being)を促進する手段として人気を博している、古く複雑な療法です。ヨガが不安症状の管理に有用であることを示す研究はいくつかありますが、不安症に対するヨガの有用性に関するエビデンスは決定的ではありません。より質の高い研究が必要です。

  • 2019年に報告された不安症状に対するヨガに関する38件の研究(参加者2,295例)のレビューでは、ヨガには実質的に有益な効果があり、特にインドで実施された研究で最も大きな有用性が示されました。これらの研究は、学生や軍関係者のような健康な人から、さまざまな身体的・精神的な健康問題を抱える患者、および介護者まで、多様な人々を対象としていました。
  • 2021年のレビューでは、不安症と診断された人に対するヨガのエビデンスが検討されました。レビューの著者らはいくつかの有望な結果を特定したものの、不安症患者の主要な治療法としてヨガを日常的に実践することを推奨するには、エビデンスが不十分であると結論づけました。
  • 米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の支援を受けた、全般性不安症に対するクンダリーニ・ヨガの2021年の研究(参加者226例、うち155例が研究を完了)では、クンダリーニ・ヨガは症状を改善しましたが、この症状・疾患の確立された第一選択治療である認知行動療法よりも有用性は低いことが示されました。
安全性
  • ヨガは一般的に、資格を持ったインストラクターの指導のもとで適切に行った場合、健康な人にとって安全な身体活動であると考えられています。
  • しかし、他の身体活動と同様、怪我をする可能性もあります。最も一般的な怪我は捻挫や肉離れです。

ヨガの詳細については、NCCIHウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。(eJIMサイト内)

その他の心理的・身体的アプローチ

マッサージ療法、太極拳、気功

マッサージ療法、太極拳、気功などの補完療法が不安を軽減するかもしれないことを示唆する研究もありますが、明確な結論を出すには、より多くの人を対象とした、より質の高いランダム化比較試験が必要です。

安全性
  • マッサージ療法による有害作用のリスク(危険)は低いと考えられます。しかし、血栓、神経損傷、骨折などの重篤な副作用がまれに報告されています。
  • 太極拳は一般的に安全な活動だと考えられています。2019年に報告された24件の研究(参加者1,794例)を対象としたレビューでは、報告された有害事象のほとんどは、筋骨格系の疼痛などの軽微なものであったことが示されました。また、心不全患者を対象とした研究では、太極拳を受けた群では、介入を受けなかった群よりも重篤な有害事象の経験がより少なかったことが示されました。
  • 気功は一般的に安全であると考えられていますが、非現実的な期待や不適切な気功の実践によって気功が誘発した精神障害の報告もあります。

感情解放テクニック/ツボのタッピング

感情解放テクニック(Emotional freedom technique:EFT)、別名ツボのタッピング(acupoint tapping)は、特定のツボを指先で叩きながら、言葉やフレーズを繰り返すという手法です。不安の軽減に有用であるかもしれないことを示すいくつかのエビデンスはありますが、さらなる研究が必要です。

  • 2015年に報告された14件の研究(参加者658名)を対象としたレビューでは、不安のスコアの有意な減少が示されました。しかし、著者らは、標準治療や認知行動療法とEFTを比較する研究が、決定的な結論を出すためにさらに必要であると述べました。
  • 2020年に報告されたトルコの病院でCOVID-19患者を看護していた72例の看護師を対象とした研究では、オンラインでのEFTグループセッションを短時間、単回行っただけで、不安だけでなくストレスや燃え尽き症候群(バーンアウト)についても有意な減少が示されました。研究者らは、この介入が成功し、提供も容易であった一方で、長期的な有用性は不明であると指摘しました。
安全性
  • EFTは一般に安全であると考えられています。

栄養学的アプローチ

カモミール
  • NCCIHが支援する2件の研究は、カモミールのダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)が全般性不安症に役立つかもしれないことが示唆されていますが、これらの研究は予備的なものであり、結論は出ていません。
  • 2019年に報告されたカモミールに関する3件のランダム化比較試験のレビューでは、状態不安、または状況不安の有意な減少は認められませんでした。
安全性
  • カモミールは比較的安全ですが、頭痛、めまい、後味の悪さ、消化器系や筋骨格系の問題などの副作用も報告されています。
カバ(kava)
  • カバサプリメントは、不安を軽減するわずかな有用性があるかもしれませんが、重篤な肝障害のリスク(危険)と関連付けられています。
  • 2018年に報告された12件の研究のレビューでは、カバは全般性不安症の有用な治療法であるかもしれないことが示唆されましたが、著者らはより多くの研究が必要であると指摘しています。2018年に報告された11件の研究のレビューでは、カバが不安症状に対する短期的な治療法となるかもしれないことが示されました。
安全性
  • 一般的に報告されている副作用には、消化器症状、倦怠感、頭痛、筋肉痛、および震えや体のこわばり(揺れ)が含まれます。
  • カバサプリメントの使用は、重篤な肝障害のリスク(危険)に関連しており、さらなる研究が必要です。
ラベンダー
  • 経口(口から)摂取するラベンダーオイル製品の研究では、不安症に有益である可能性が示唆されていますが、研究の規模が小さいなど研究の限界があるため、その有用性について明確な結論は得られていません。
  • 2019年に報告されたランダム化比較試験65件(参加者7,993例)と非ランダム化比較試験25件(参加者1,200例)の解析では、不安に対するラベンダーの有用性をあらゆる形態で評価しました。この解析では、ラベンダーの経口摂取は、不安に対する有用な治療法であるかもしれないことが示唆されました。マッサージに使われるラベンダーのエッセンシャルオイルも有用性があるかもしれませんが、それがオイルによるものなのか、マッサージによるものなのかは不明です。利用可能な研究の質が低いため、レビューには限界がありました。
安全性
  • ラベンダーオイルは一般的に、経口、マッサージ、吸入で使用しても安全であるとみなされています。
メラトニン
  • メラトニンサプリメントは手術前の不安軽減に役立つようですが、手術後の不安軽減に役立つかどうかは不明です。
  • 2020年に報告されたレビューでは、手術前の不安、手術後の不安、またはその両方を治療するためのメラトニンに関する27件の研究が検証されました。研究のうち24件はメラトニンとプラセボを比較し、11件はベンゾジアゼピン系抗不安薬と比較しました。18件の研究から得られたエビデンスによると、プラセボと比較した場合、メラトニンはおそらく手術前の不安を軽減します。メラトニンは、手術後の不安もわずかながら軽減するかもしれませんが、このことに関するエビデンスは質が低く、また、より少数の研究からのものでした(手術直後の不安については7件、遅発性の不安については2件)。不安に対するメラトニンの有用性は、手術前(7件の研究に基づく)および手術直後(3件の研究)のベンゾジアゼピン系薬剤の効果と類似しているかもしれません。
安全性
  • メラトニンサプリメント、特に身体が通常生成する量よりも高用量での使用については、考えられる副作用に関する十分な情報がまだなく、全体的な安全性について明確な全体像を把握できていません。メラトニンサプリメントの短期間の使用はほとんどの人にとって安全であると考えられていますが、メラトニン補給の長期的な安全性に関する情報は不足しています。

注意事項:

薬との相互作用

  • 他のダイエタリーサプリメントと同様、薬を服用している人は、メラトニンを使用する前に今かかっている医療機関※に相談してください。特に、てんかん患者や抗凝固薬を服用している人は、メラトニンサプリメントを摂取する際、医師の監督下に置く必要があります。

アレルギー反応の危険性

  • メラトニンサプリメントにはアレルギー反応のリスク(危険)があるかもしれません。

妊娠中および授乳中の安全性に関する懸念

  • 妊娠中や授乳中のメラトニン使用の安全性については、研究が不足しています。

高齢者の安全性に関する懸念

  • 2015年に公表された米国睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine)によるガイドラインでは、認知症患者へのメラトニン使用を推奨していません。
  • メラトニンは、高齢者では若年者よりも長く体内に残り、日中の眠気を引き起こす可能性があります。

メラトニンはダイエタリーサプリメントとして規制

  • 米国では、メラトニンはダイエタリーサプリメントとしてみなされています。これは、処方薬や市販薬と比べて、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)による規制が緩いことを意味します。他のいくつかの国では、メラトニンは処方箋がなければ入手できず、医薬品とみなされています。

ラベルに記載されているものが製品に含まれていない可能性

  • メラトニンサプリメントの中には、製品ラベルに記載されているものが含まれていないものもあります。2017年に報告された研究では、食料品店や薬局で購入した31種類のメラトニンサプリメントを検証しました。ほとんどのサプリメントで、製品に含まれるメラトニンの量が製品ラベルに記載されている量と一致していませんでした。また、26%のサプリメントにはセロトニンが含まれていました。セロトニンは、比較的低いレベルでも有害な影響を及ぼす可能性のあるホルモンです。

メラトニンの詳細については、NCCIHウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。(eJIMサイト内)

パッションフラワー(トケイソウ)
  • 少数の研究では、パッションフラワーが歯科処置前の不安や緊張を軽減することに役立つかもしれないことが示唆されていますが、決定的な結論は出ていません。
安全性
  • パッションフラワーは経口で使用しても安全であると考えられています。
バレリアン(セイヨウカノコソウ)
  • バレリアンが不安に役立つかどうかについては、結論を出すには十分なエビデンスがありません。
安全性
  • 研究によると、バレリアンはほとんどの成人にとって短期間の使用であれば概ね安全であることが示唆されていますが、長期的に使用した場合の安全性についてはわかっていません。

NCCIHによる研究助成

NCCIHは、不安に関するいくつかの研究プロジェクトを支援しています:

  • うつと不安を軽減するためにモバイルヘルスを介して提供されるマインドフルネス・トレーニングの研究。
  • 全般性不安症を持つ人々における、マインドフルネス・ストレス低減法への反応における神経メカニズムと性差の研究。
  • 抑うつと不安を持つ人々における、3つの生体エネルギーサプリメント(クレアチン、シクロクレアチン、アセチル-L-カルニチン)の評価。

さらに考慮しなければならないこと

  • 鍼治療や催眠療法などの施術者による補完療法を検討している場合、信頼できる情報源(今かかっている医療機関※や最寄りの病院など)から施術者を紹介してもらいましょう。検討している補完療法の提供者のトレーニングと経験について調べてみましょう。補完療法の提供者を探す方法については、NCCIHウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。
  • 「自然」だからと言って常に安全であるとは限らないことに注意してください。また、製造業者が「標準化」(または「検証済み」や「認証済み」)という用語を使用しているからといって、必ずしも製品の品質や一貫性が保証されるわけではありません。ダイエタリーサプリメントは、正しく使用しなければ健康上の問題を引き起こす可能性があります。今かかっている医療機関※があなたにアドバイスしてくれます。
  • 妊娠中、授乳中、または子どもにダイエタリーサプリメントを与えることを検討している場合は、特にあなた(または子どもの)今かかっている医療機関※に相談することが重要です。
  • 自分の健康を守るために、自分が行っている補完療法について今かかっている医療機関※に相談しましょう。そうすることで、十分な情報を得た上で意思決定をすることができます。

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、補完代替療法の提供者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレコム・リレー・サービス(Telecommunications relay service:TRS)7-1-1
ウェブサイト: https://www.nccih.nih.gov[英語サイト]
Eメール:info@nccih.nih.gov(リンクは電子メールを送信します)

■ 科学を知ろう

NCCIHと米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は、科学研究の基礎と用語を理解し、自分の健康について十分な情報を得た上で意思決定できるようにするためのツールを提供しています。「科学を知ろう」は、インタラクティブなモジュール、クイズ、動画などの多様な教材や、消費者が健康情報を理解できるように設計された 連邦政府のリソースからさまざまな有益なコンテンツへのリンクを提供しています。

Explaining How Research Works(研究のしくみを知る)(NIH)[英語サイト]
科学を知ろう:科学雑誌の論文を理解する方法
Understanding Clinical Studies(臨床研究を理解する)(NIH) [英語サイト]

■ PubMed®

米国国立医学図書館が提供するPubMed®には、科学・医学雑誌の出版情報と論文の要約(ほとんどの場合)が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「補完・統合医療に関する情報をPubMed® で検索する方法」をご覧ください。
ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/[英語サイト]

研究結果

Kundalini Yoga Is Helpful for Adults With Generalized Anxiety Disorder but not as Effective as Cognitive Behavioral Therapy(クンダリーニ・ヨガは全般性不安症の成人に有用であるが、認知行動療法ほどの効果はない)[英語サイト]

関連ファクトシート

参考文献

その他の参考文献
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謝辞

NCCIHは、このファクトシートの2024年版の更新における貢献に対して次の人に感謝します。 David Shurtleff, Ph.D., NCCIH

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関※の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関※に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、施術・療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

更新日:2026年1月28日

監訳:時信亜希子(京都大学)、大野茜(国立国府台医療センター)、大野智(島根大学)

不安に対する補完療法
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年8月

研究者らは、さまざまな補完療法が、時折起こる不安や不安障害に対して役に立つかどうかを研究しています。マインドフルネスやその他の瞑想、音楽、リラクゼーション法、メラトニンが、不安、特に医療処置や慢性的な医療問題に関連する不安に対して有用であるかもしれないとするいくつかのエビデンス(科学的根拠)があります。しかし、不安に対する他の補完療法については、その有用性について決定的な結論を出すには十分なエビデンスがありません。

ここでは、不安に対する心身療法や天然物を含む複数の補完療法に関する現時点での研究結果をまとめています。

科学的根拠:不安に対する補完療法 :科学的根拠[英語サイト]

各種補完療法と現時点での研究の要約

鍼治療

不安に対する鍼治療の研究では、肯定的な結果が得られているものも一部ありますが、一般的に不安に対する鍼治療に関する研究の多くは、方法論の質が低いか、統計的有意性がないものです。さらに、研究が極めて多種多様であるため(例えば、経穴(ツボ)の数や種類、セッションの頻度、治療期間など)、潜在的な利益について確固たる結論を出すことは困難です。

不安に対する鍼治療の科学的観点についての詳細はこちら

マッサージ療法

一部の研究では、マッサージ療法は、がんやその他の合併症を持つ人の不安を軽減するのに役立ちましたが、他の研究では、統計的に有意で有益な効果は見られませんでした。 不安障害に対するマッサージの研究はほとんど行われておらず、結果も相反するものでした。

不安に対するマッサージ療法の科学的観点についての詳細はこちら

マインドフルネス瞑想

瞑想療法は一般的に用いられており、不安関連の症状を有する人にとって、わずか〜中等度のベネフィット(有益性)があることが示されています。超越瞑想には、不安に対して有益な効果をもたらすかもしれないとするエビデンスがいくつかあります。しかし、臨床的に不安障害と診断された患者を対象とした十分な統計的検出力を有する研究が不足しているため、不安障害に対する有効性について確固たる結論を出すことは困難です。

不安に対するマインドフルネス瞑想の科学的観点についての詳細はこちら

リラクゼーション法

リラクゼーション法は、慢性的な医療問題を抱える人や医療処置を受けている人の不安を軽減するかもしれません。 しかし、全般性不安障害の人については、リラクゼーション法よりも従来の心理療法のほうが有用であるかもしれないと研究により示されています。

不安に対するリラクゼーション法の科学的観点についての詳細はこちら

カモミール

カモミール抽出物(エキス)が全般性不安障害に対して有益な効果をもたらすかもしれないとする研究もありますが、研究は予備的なものであり、その結果は決定的なものではありません。

不安に対するカモミールの科学的観点についての詳細はこちら

カバ(Kava)

カバ抽出物(エキス)は、不安の症状に対して中等度の有益な効果をもたらすかもしれないと考えられていますが、カバのサプリメントは重篤な肝障害のリスク(危険)と関連性があるとされています。

不安に対するカバの科学的観点についての詳細はこちら

メラトニン

メラトニンが手術を控えた患者の不安を軽減するのに役立つかもしれないと示唆するいくつかの研究があり、術前不安の軽減においてミダゾラムによる標準治療と同等の有用性を有するかもしれません。

不安に対するメラトニンの科学的観点についての詳細はこちら

ラベンダー

不安に対するラベンダー製剤の研究では、ある程度の治療効果が示されていますが、一般的にこれらの研究の多くは方法論の質が低いものです。

不安に対するラベンダーの科学的観点についての詳細はこちら

科学文献

患者のための情報

更新日:2025年3月10日

監訳:大野智(島根大学)

小児に対する補完療法の使用
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2017年3月

要点は?

小児に対する補完療法ついてどれくらい知っているのでしょうか?

私たちは、小児向けの補完療法の使用率については多くの情報を持っていますが、その効果と安全性についてはほとんど知りません。1

小児に対する補完療法の有効性についてわかっていることは?

研究では、さまざまな健康状態の小児に対して、多くの補完療法を検討していますが、強固なエビデンスはなく、何が有効で、何が有効でないかを示すには不十分です。

小児に対する補完療法の安全性についてわかっていることは?

多くの補完療法は小児に対して安全性が研究されていません。

1 これまで、小児は特別な保護により調査研究からしばしば除外され、成人を対象とした研究の知見が小児に適用されました。現在では、米国国立衛生研究所は、科学的および倫理的な理由が無い限り、小児を全ての研究対象に含めることを要請しています。

小児に対する補完療法の使用パターン

2012年の 米国国民健康調査(National Health Interview Survey:NHIS)において、4歳から17歳以下の10,000人を超える小児を含めたアメリカ人約45,000人の、補完療法の使用に関する包括的な調査を行いました。この調査から、過去1年間に、その小児のうちの11.6%がサプリメントヨガのような、補完療法および関連製品を与えられていました。2017年のNHISデータ[英語サイト]によると2012年から2017年までの期間のうち、過去12か月間でヨガや瞑想の利用がアメリカの小児(4歳から17歳)の間で著しく増加しています。ヨガを行っている小児の割合は2倍以上になり、瞑想を行っている小児の割合はほぼ10倍の増加を示しました。

小児に対して最も頻繁に用いられた補完療法または関連製品は、天然物2(魚脂、メラトニン、プロバイオティクス)、カイロプラクティックまたはオステオパシーマニピュレーションでした。

小児に対して補完療法が最も頻繁に用いられたのが、背部痛または頸部痛、他の筋骨格疾患、鼻風邪またはせき風邪、不安またはストレス、注意欠陥・多動性障害(attention-deficit hyperactivity disorder:ADHD)または注意欠陥障害(attention-deficit disorder:ADD)、不眠症または睡眠障害でした。

小児による天然物や心身療法を含む補完療法の使用に関するNHISの研究から得られた追加情報を知りたい方は、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health’s:NCCIH(旧NCCAM)) のウェブのNHIS統計ページ[英語サイト]をご覧ください。

2 これには、ビタミンやミネラルは含まれません。

*ビタミンやミネラル以外のサプリメントをさす

引用:Black LI, Clarke TC, Barnes PM, Stussman BJ, Nahin RL.『米国内の4-17歳の子供の間での補完療法の使用 』 (国民健康聞き取り調査 2007-2012年)『米国国立保健医療統計報告書( no 78)』Hyattsville, MD:(米国国立保健医療統計センター. 2015年)

引用:Black LI, Clarke TC, Barnes PM, Stussman BJ, Nahin RL.『米国内の4-17歳の子供の間での補完療法の使用 』 (国民健康聞き取り調査 2007-2012年)『米国国立保健医療統計報告書( no 78)』Hyattsville, MD:(米国国立保健医療統計センター. 2015年)

*ビタミンやミネラル以外のサプリメントをさす

引用:Black LI, Clarke TC, Barnes PM, Stussman BJ, Nahin RL.『米国内の4-17 歳の子供の間での補完療法の使用』(国民健康聞き取り調査 2007-2012年)『米国国立保健医療統計報告書( no 78)』Hyattsville, MD:(米国国立保健医療統計センター. 2015年)

その他の研究で、補完療法また関連製品を使用したり、施されたりしたアメリカの小児は、年齢や健康状態がさまざまであることが示されました。例えば、

  • お茶や植物性サプリメントを、幼児の約10%が与えられています。大抵はぐずり泣きやお腹が痛い場合です。
  • ビタミンやミネラルの入ったサプリメントを、2~ 8歳の小児の約40%が与えられています。しかし、その年齢群は概して食事で十分な栄養が摂れます。
  • 特に10代の若者は、スポーツ能力が向上したり、エネルギー水準が増進したり、減量を助長すると謳っている製品を使う傾向があります。
  • 不安、筋骨格疾患、再発性頭痛を含む慢性の病状のある小児は、そうでない小児よりも、補完療法を使う傾向があり、大抵は既存の治療と併用しています。

科学的観点から見た小児に対する補完療法の安全性および副作用

  • サプリメントが原因で、毎年、約23,000件の救急外来があります。その患者の多くは、減量またはエネルギー補充製品を使用したことから心臓の不調をきたした若者です。救急外来受診者の5分の1は小児で、その大半は、大人が見ていないときに、ビタミンまたはミネラルを摂取していました。(サプリメントは、小児用安全包装が義務付けられていません。)
  • サプリメントには、薬物、化学物質、鉱物などの混入物が含まれていることがあります。
  • 小児は、体が小さく、発達中の臓器、未熟な免疫システムのために、大人よりもサプリメントに対してアレルギーやその他の有害反応が起きやすいのです。
  • いくつかの製品の中には使用して健康状態が悪化するものもあります。例えば、エキナセアは、ブタクサの一種であるため、ブタクサに敏感な人は、エキナセアにも反応することがあります。
  • 米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、市販薬のうち、ホメオパシーとして分類されている喘息医療品を、信頼しないようにと警告しています。ホメオパシー療法やサプリメントの安全性または有効性はFADによって評価されていません。さらに詳しく知りたい方は、NCCIH のウェブサイトの、ホメオパシーのページNCCIH’s Web page on homeopathy[英語サイト]をご覧ください。
  • 生体フィードバック(行動療法)、誘導イメージ法、催眠療法、マインドフルネス、ヨガなどの心身療法は、多様な健康状態(不安やストレスなど)にある小児に対して有効であるという最上のエビデンスがあり、低リスクでもあります。しかし、一般的な補完療法である脊椎マニピュレーションは、稀に深刻な合併症が起こります。

さらに考慮しなければならないこと

  • 子供が免許を持つ医療スタッフから的確な診断を受けたことを確認しましょう。
  • 補完療法の潜在的なリスク(危険)やベネフィット(利点)についての知識を養っておきましょう。
  • 子供のかかりつけの医療スタッフに、使用を検討している、またはすでに使用している補完療法のベネフィットや潜在的なリスクについて相談しましょう。
  • 10代のお子さんにも、かかりつけの医療スタッフに使用を検討している補完療法について相談するよう促しましょう。
  • 通常の医療や処方薬の使用を遅らせたり、安全で有効だと立証されていない補完療法や関連製品に置き換えたりしてはいけません。
  • 医療スタッフが、補完療法の使用を勧めるのであれば、その治療薬を奨励された用量や期間を超えて、増やしてはいけません(多いから効くというわけではありません)。
  • 補完療法の効果について、心配なことがある場合は、些細なことでも子供のかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。
  • すべての薬剤や危険と思われるその他の製品と同様に、サプリメントも子供の見えないところ、手の届かないところにしまっておきましょう。
  • NCCIH(旧NCCAM)のウェブサイトでは、小児や10代の若者向けのサプリメント心身療法においての安全情報を提供しています。
  • 子供のかかりつけの医療スタッフ全員に子供の使用している補完・統合療法について相談しましょう。自分の子供の健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

補完療法の施術者を選ぶ

子供のために補完療法の施術者を探している場合は、通常の治療を探すのと同じくらい注意深く、考えて探しましょう。施術者について以下のことを確認しましょう。

NCCIH(旧NCCAM)のウェブサイトでは、補完療法の施術者についての更なる情報[英語サイト]を掲載しています。[eJIMサイト内日本語訳]

消費者向け情報

  • 小児および10代の若者に向けた心身療法の安全性について知っておくべき7つのこと
  • 小児および10代の若者に向けたサプリメントの安全性について知っておくべき5つのこと

医療関係者向け情報

関連するファクトシート

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト:https://nccih.nih.gov/[英語サイト]
Email:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine: NLM)のサービスであるPubMed®には、公表文献の情報および(ほとんどの場合)科学・医学雑誌の論文からの短い要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed(PubMedで探す補完療法の情報)[英語サイト]をご覧ください。

ウェブサイト:www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed[英語サイト]

■ Cochrane Database of Systematic Reviews(システマティックレビューのコクランデータベース)

システマティックレビューのコクランデータベースは、国際的非営利組織であるコクラン・ライブラリー により作成されたエビデンスに基づくレビューのコレクションです。これらのレビューは、医療介入に関する臨床試験の結果を要約しています。要約は無料です。レビュー全文は購読のみです。

ウェブサイト:https://www.cochranelibrary.com[英語サイト]

■ 米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements:ODS)

ODSは、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。情報源として、出版物(「サプリメント:知っておきたいこと」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、「PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)」[英語サイト]などを提供しています。

ウェブサイト:http://ods.od.nih.gov[英語サイト]
Email:info@nccih.nih.gov

■ 米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)

FDAは食品、医薬品、サプリメント、医療機器、および化粧品などの数多くの製品の安全性を監督します。サプリメントについてのウェブページはこちら

米国内の無料通話:1-888-463-6332
ウェブサイト:www.fda.gov[英語サイト]

■ 米国連邦公正取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)

FTCとは公正な取引を監督・監視する連邦政府の機関です。A key area of its work is the regulation of advertising (except for prescription drugs and medical devices).

米国内の無料通話:1-877-382-4357
ウェブサイト:www.ftc.gov[英語サイト]

■ NIH Clinical Research Trials and You(NIHクリニカル・リサーチ・トライアル・アンド・ユー)

国立衛生研究所(NIH)[米国]が開設したウェブサイトです。一般の人々に、臨床試験の重要性や、どうすれば臨床試験に参加できるのかを知ってもらうために開設されました。サイトには、臨床試験に関する質問と回答、臨床試験の情報を探す方法(ClinicalTrials.govなどの情報検索サイトやその他の情報源)、臨床試験に参加した人の体験談などが掲載されています。臨床試験は、病気を予防、診断、治療するうえで、よりよい方法を見つけ出すために必要な試験です。

ウェブサイト:www.nih.gov/health/clinicaltrials/[英語サイト]

参考文献

その他の参照文献

監訳:大野智、富塚啓貴(島根大学)

不安症(不安障害)
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2024年12月

不安とは何か?

時折不安になることは、人生の正常な一部です。多くの人は健康やお金、家族の問題などを心配します。しかし、不安症には一時的な心配や恐怖以上のものがあります。不安症の人にとって、不安は消えることはなく、時間とともに悪化する可能性があります。このような症状は、仕事、学業、人間関係など日常生活に支障をきたす可能性があります。

不安症には、全般性不安症、パニック症(パニック障害)、社交不安症、さまざまな恐怖症関連症状など、いくつかの種類があります。

不安の徴候や症状は?

全般性不安症

全般性不安症(Generalized anxiety disorder:GAD)は通常、持続的な不安感や恐怖感を伴い、日常生活に支障をきたすことがあります。時折物事を心配したり、ストレスの多いライフイベントによって不安を経験するのとは違います。GADに罹患している人は、何年もとは言わないまでも、何カ月も頻繁に不安に襲われます。

GADの症状には以下のようなものがあります:

パニック症(パニック障害)

パニック症の人は、予期せぬパニック発作を頻繁に起こします。パニック発作とは、明確な危険や誘因がないにもかかわらず、突然、強い恐怖や不快感、自制心を失う感覚に襲われることです。パニック発作を経験したすべての人がパニック症を発症するわけではありません。

パニック発作の間、人は以下のような経験をします:

  • 心臓のドキドキや高鳴り
  • 発汗
  • 震えやヒリヒリ感
  • 胸痛
  • 差し迫った運命の予感
  • コントロール不能感

パニック症の人は、次の発作がいつ起こるかを心配し、パニック発作を連想させる場所、状況、行動を避けることによって、将来の発作を積極的に防ごうとすることが多いようです。パニック発作は1日に数回と頻繁に起こることもあれば、年に数回とまれに起こることもあります。

社交不安症または 障害

社交不安症とは、他人から監視されたり、批判されたりすることへの強烈で持続的な恐怖です。社交不安症の人々にとって、社会的状況に対する恐怖は、自分ではコントロールできないほど強く感じられるかもしれません。人によっては、この恐怖が仕事に行くこと、学校に通うこと、日常生活を送ることの妨げになることもあります。

社交不安症の人は、以下のような経験をすることがあります:

  • 赤面、発汗、震え
  • 心臓のドキドキや高鳴り
  • 胃痛
  • 体の姿勢が硬い、または声が小さすぎる。
  • 初対面の人と目を合わせたり、一緒にいたりするのが苦手。
  • 自意識過剰や、人から否定的に評価されることへの恐れ

恐怖症関連症状

恐怖症とは、特定の物や状況に対する強い恐怖、あるいは嫌悪のことです。状況によっては不安になるのは現実的なことですが、恐怖症の人が感じる恐怖は、その状況や対象によって引き起こされる実際の危険とは比例しません。

恐怖症の人:

  • 恐怖の対象や状況に遭遇することを不合理に、あるいは過剰に心配することがある。
  • 恐怖を感じる対象や状況を避けるために、積極的に行動する。
  • 恐怖の対象や状況に遭遇すると、すぐに強い不安に襲われる。
  • 強い不安を抱えながら、避けられない物や状況に耐える。

恐怖症や恐怖症関連症状にはいくつかの種類があります:

  • 特定恐怖症(別名:単純恐怖症):
    その名が示すように、特定恐怖症の人は、特定の種類の物や状況に対して強い恐怖を感じたり、強い不安を感じたりする。具体的な恐怖症の例としては、以下のようなものがあります:

    • 飛行恐怖症
    • 高所恐怖症
    • クモ、犬、ヘビなど特定の動物に対しする恐怖症
    • 注射恐怖症
    • 血液恐怖症
  • 社交不安症(旧名称:社会恐怖症):
    社交不安症の人は、社会的状況やパフォーマンス状況に対する全般的な強い恐怖や不安を持つ。不安に関連した行動や言動が他人から否定的に評価されることを心配し、恥ずかしいと感じるようになる。この心配のために、社交不安症の人はしばしば社交的な状況を避けるようになる。社会不安症は、職場や学校環境など、さまざまな状況で現れる可能性がある。

  • 広場恐怖症:
    広場恐怖症の人は、以下の状況のうち2つ以上に強い恐怖を感じる:

    • 公共交通機関の利用
    • 広い空間にいること
    • 閉鎖された空間にいること
    • 列に並ぶこと、人ごみにいること
    • 家以外のところに一人でいること

    広場恐怖症の人は、パニックのような反応やその他の恥ずかしい症状が出た場合、その場を離れることが難しい、あるいは不可能かもしれないと考えるため、こうした状況を避けることが多いようです。最も重度の広場恐怖症になると、家に閉じこもるようになります。

  • 分離不安症:
    分離不安は子どもだけが抱えるものと思われがちです。しかし、大人でも分離不安症と診断されることがあります。分離不安症の人は、親しい人と離れることを恐れます。自分たちが一緒にいない間に、愛する人に何か悪いことが起こるのではないかと心配することが多いようです。この恐怖が、一人でいることや愛する人から離れることを避けさせます。別離の悪い夢を見たり、別離が起こりそうになると気分が悪くなったりすることもあります。

  • 選択的緘黙(かんもく)症:
    不安に関連するややまれな症状に選択性緘黙症があります。選択性緘黙症は、言語能力が正常であるにもかかわらず、特定の社会的状況において話すことができない場合に起こります。選択性緘黙症は通常5歳以前に発症し、極度の内気、社会的恥ずかしさへの恐怖、強迫的特徴、引きこもり、しがみつき行動、かんしゃくを伴うことが多いようです。選択性緘黙症と診断された人は、しばしば他の不安症とも診断されます。

不安の危険因子は何ですか?

研究者らは、遺伝的要因と環境的要因の両方が不安症の発症リスク(危険)に寄与していることがわかっています。

不安症の危険因子はそれぞれのタイプによって異なります。しかし、一般的な危険因子には次のようなものがあります:

  • 子供の頃、新しい状況下で人見知りをしたり、苦痛や緊張を感じたりする。
  • ストレスの多いネガティブな出来事や環境にさらされる。
  • 生物学的親族に不安症またはその他の精神疾患の既往歴がある。

不安症状は、以下のような要因によって生じたり、悪化したりします:

  • 甲状腺疾患や不整脈などの健康状態
  • カフェイン、その他の物質/医薬品

不安症かもしれないと思ったら、今かかっている医療機関※で身体検査を受けると、症状を診断し、適切な治療法を見つけることができるかもしれません。

不安はどのように治療しますか?

不安症は一般に、精神療法、薬物療法、またはその両方によって治療されます。不安を治療する方法はたくさんあるので、今かかっている医療機関※と協力して、自分に最適な治療法を選ぶ必要があります。

心理療法

心理療法または「トークセラピー」は、不安症の人を支援することが可能です。心理療法が有用であるためには、あなたの特定の不安に向けられ、あなたのニーズに合ったものである必要があります。

認知行動療法

認知行動療法(Cognitive behavioral therapy:CBT)は、不安症の人々を支援することが可能な心理療法の一例です。不安や恐怖を感じることが少なくなるように、状況に対するさまざまな考え方、行動、反応の仕方を教える療法です。CBTはよく研究されており、心理療法のゴールドスタンダード(最も標準的とされる手法)です。

エクスポージャー療法(曝露法、曝露反応法)は、不安症の治療に用いられるCBT法です。エクスポージャー療法は、不安症の根底にある恐怖に直面することに焦点を当て、人々が避けてきた活動に参加できるようにするものです。エクスポージャー療法は、リラクゼーション・エクササイズとともに用いられることもあります。

アクセプタンス・コミットメント・セラピー

一部の不安症に対するもう1つの治療法として、アクセプタンス・コミットメント・セラピー(Acceptance and commitment therapy:ACT)があります。ACTは否定的な思考に対して、CBTとは異なるアプローチをとります。マインドフルネスや目標設定などの戦略を用いて、不快感や不安を軽減します。CBTに比べ、ACTは新しい心理療法であるため、その有用性に関するデータは少ないです。

薬物療法

薬物療法は不安症を治癒できるものではありませんが、症状を和らげるのに有用であると考えられます。精神科医やプライマリ・ケア医などの医療提供者は、不安に対する医薬品を処方することが可能です。米国では、一部の州では、専門的な訓練を受けた心理士が精神科の医薬品を処方することも許可されています。不安症と闘うために使用される最も一般的な医薬品の分類は、抗うつ薬、抗不安薬(ベンゾジアゼピン系など)、β遮断薬です。

うつ

抗うつ薬はうつ病の治療に用いられますが、不安症の治療にも有用です。これらは、気分やストレスをコントロールする特定の化学物質の脳の使い方を改善するのに有用であるかもしれません。あなたの症状を改善し、管理しやすい副作用を持つ抗うつ薬を見つける前に、いくつかの異なる抗うつ薬を試す必要があるかもしれません。

抗うつ薬は効き始めるまでに数週間かかることがあるため、その効果について結論を出す前に、薬にチャンスを与えることが重要です。抗うつ薬の服用を開始した場合、医療提供者の助言なしに服用を中止しないでください。今かかっている医療機関※では、あなたがゆっくりと安全に投与量を減らせるよう手助けしてくれます。抗うつ薬を突然中止すると、離脱症状が現れる可能性があります。

場合によっては、25歳未満の小児、青年、および成人は、抗うつ薬を服用する際、特に服用開始後の最初の数週間、または服用量が変更された際に、自殺念慮または自殺行動が増加するかもしれません。このため、抗うつ薬を服用しているあらゆる年齢の人は、特に治療開始後数週間は注意深く観察する必要があります。

抗不安薬

抗不安薬は、不安やパニック発作、極度の恐怖や心配の症状を軽減するのに有用である可能性があります。最も一般的な抗不安薬はベンゾジアゼピン系薬剤と呼ばれます。ベンゾジアゼピン系薬剤は全般性不安症の第一選択薬として用いられることがありますが、ベネフィット(有益性)と欠点の両方があります。

ベンゾジアゼピン系薬剤は不安を和らげるのに有用で、抗うつ薬よりも早く効果が現れます。しかし、人によってはこれらの薬に耐性ができ、同じ効果を得るためにはより高用量が必要になります。依存するようになる人さえいます。

こうした問題を避けるため、医療提供者は通常、ベンゾジアゼピン系薬剤を短期間処方します。

ベンゾジアゼピン系薬剤の服用を突然中止した場合、離脱症状が出たり、不安が再発したりするかもしれません。したがって、ベンゾジアゼピン系薬剤はゆっくりと減量する必要があります。今かかっている医療機関※は、あなたがゆっくりと安全に投与量を減らせるよう手助けしてくれます。

β遮断薬

β遮断薬は高血圧の治療に用いられることが多いですが、心拍の速さ、震え、振戦、赤面などの不安の身体的症状を和らげるのに有用です。これらの医薬品は、短期間服用すれば身体的症状を抑えるのに有用です。また、急性の不安を軽減するために「必要に応じて」使用することも可能であり、予測可能な形のパフォーマンス不安を予防することができます。

正しい薬物療法の選択

医薬品の種類によっては、特定の種類の不安症により効果的であるかもしれないため、どの医薬品が自分に最適かを特定するために、医療提供者と緊密に協力する必要があります。カフェイン、市販の風邪薬の一部、違法薬物、ハーブ系サプリメントなどの特定の物質は、不安症の症状を悪化させたり、処方された医薬品と相互作用したりするかもしれません。どの物質が安全で、どの物質を避けるべきかを知るために、医療提供者に相談する必要があります。

適切な医薬品の種類、量、治療計画の選択は、専門家の管理の下で行われ、その人のニーズと医療状況に基づいたものである必要があります。適切な医薬品が判明するまで、今かかっている医療機関※と一緒にいくつかの医薬品を試すかもしれません。

サポートグループ

不安症のある人の中には、自助グループや支援グループに参加し、自分の問題や成果を他の人と共有することが有益な人もいるかもしれません。サポートグループは対面でもオンラインでも利用できます。ただし、サポートグループのメンバーから受けるアドバイスは慎重に用いる必要があり、医療提供者が推奨する治療に取って代わるものではありません。

ストレス対処法

運動、マインドフルネス、瞑想などのストレス管理技術も不安症状を軽減し、心理療法の有用性を高める可能性があります。これらの技法があなたの治療にどのように有用であるかは、医療提供者と話すことで詳しく知ることができます。

不安症の臨床試験はどのように探すことができますか?

臨床試験は、疾患や症状・病態を予防、発見、治療する新しい方法を検証する研究です。臨床試験の目的は、新しい検査や治療が有効かどうか、安全かどうかを判断することです。臨床試験に参加することは個人にとってベネフィット(有益性)はありますが、参加者は、臨床試験の第一の目的は、新しい科学的知識を得ることであり、将来、他の人々がより良く助けられるようにすることであることを認識する必要があります。

米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health:NIMH)や国内の研究者らは、患者や健康なボランティアを対象に多くの研究を行っています。何年も前に臨床試験で明らかになったことのおかげで、今日、私たちは新しく、より良い治療の選択肢を持つことができます。明日の医療の飛躍的進歩の一翼を担いましょう。臨床試験について、そのベネフィット(有益性)とリスク(危険)、そして臨床試験があなたに適しているかどうか、今かかっている医療機関※に相談してください。

さらに詳しく知りたい方、あるいは研究施設をお探しの方は、こちらをご覧ください:

不安についてさらなる情報

無料のパンフレットと共有可能なリソース

マルチメディア

連邦政府リソース

調査と統計

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

更新日:2025年3月10日

監訳:大野智(島根大学)

メンタルヘルス
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年1月

メンタルヘルスの問題は一般的です。アメリカでは、毎年1年間に成人の約4分の1がメンタルヘルスに何かしらの影響を受け、成人の半数近くが生涯のある時点で影響を受けます。

世界保健機関(World Health Organization:WHO)によると、精神疾患は、先進国において、他のどの疾患群よりも多くの障害のとして占めています。うつ病や双極性障害などの不安および気分障害は、最も高頻度にみられるメンタルヘルスの問題です。

不安、うつ病、季節性情動障害(seasonal affective disorder:SAD)など、さまざまなメンタルヘルスの問題に対する補完・統合医療が研究されています。

  • リラクゼーション法や音楽のようないくつかの補完療法は、医療処置などのストレスの多い状況での不安を緩和するのに有用な可能性があります。補完療法が不安障害の管理に役立つかどうかは、ほとんどわかっていません。
  • 鍼治療、音楽療法、ヨガが、うつ病に有用な可能性があるというエビデンスがいくつか存在します。セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は、限られた患者の軽度から中等度の大うつ病(major depressive disorder:MDD)に対して、標準的な抗うつ剤と同様の効果があるかもしれないというエビデンスがいくつか存在しますが、そのエビデンスはまだ決定的なものではありません。しかしながら、セントジョーンズワートは、多くの医薬品と危険な、ときに生命を脅かす形で相互作用する可能性があります。オメガ3脂肪酸の補充がうつ病に有用かどうかは不明です。現在の研究では、S-アデノシル-L-メチオニン(S-adenosyl-L-methionine:SAMe)もイノシトールも、うつ病の治療のために使用することは支持されていません。
  • 季節によって発症したり消失したりするうつ病の一種であるSADについては、光療法がSADの既往歴のある人々に対する予防治療として有用な可能性があるという一部のエビデンスが存在します。研究では、SAD患者が使用するのに適した認知行動療法の一種が症状を緩和するのに有用であり、その有効性は、治療者によるセッションをさらに受けることなく次の冬まで続く可能性があることが示されています。しかし、ビタミンDの補充がSADの症状を緩和するのに有用であるかどうかは不明です。SADに対するビタミンD以外のサプリメントに関する研究はほとんど行われていません。

メンタルヘルスに問題があるかもしれないと感じたら、医療スタッフに相談しましょう。

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけの医療スタッフなど)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

消費者向け情報

医療関係者向け情報

関連するファクトシート

監訳:大野智、富塚啓貴(島根大学)

ストレス
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2022年4月

ストレスとは、感情的または身体的な緊張感のことです。それは、イライラしたり、怒ったり、不安になったりするような、あらゆる出来事や思考から生じる可能性があります。

ストレスとは、挑戦や要求に対する身体の反応です。短時間であれば、ストレスは危険を回避したり、期限に間に合わせたりするのに役立つなど、プラスに働くこともあります。しかし、ストレスが長期間続くと健康を損なう恐れがあります。

助けが必要な時期を見極める

対処するのに苦労している場合、またはストレスの症状が治まらない場合は、専門家に相談する段階かもしれません。

緊急の問題を抱えている場合、または自傷行為を考えている場合は、電話、テキストメッセージ、またはチャットで988(米国)に連絡してください。この3桁の番号は、現在全米で活動している「988 Suicide & Crisis Lifeline(988 自殺と危機のライフライン)」につながります。このライフラインは、自殺の危機や精神的苦痛を感じている人に、24時間体制で秘密厳守のサポートを提供します。

あなたやあなたの知り合いが精神疾患を患っていたり、精神的に苦しんでいたり、心の健康に不安がある場合、助けを得る方法があります。さらなる情報については、「助けを求める」をご覧ください。

要点は?

リラクゼーション法

リラクゼーション法を使用してリラックス反応を作り出すことで、ストレスの悪影響を打ち消すことができます。リラクゼーション法は、2型糖尿病患者において、血圧、炎症性サイトカイン、酸化ストレスを低減し、血糖コントロールを改善する可能性があるというエビデンス(科学的根拠)があります。

リラクゼーション法では、心身を落ち着かせるために、呼吸法と心地よい考えやイメージに意識を集中させることを組み合わせることがしばしばおこなわれます。リラクゼーション法の例としては、自律訓練法、バイオフィードバック(生体自己制御)、深呼吸、誘導イメージ療法、漸進的弛緩法、自己催眠などがあります。

  • 深い呼吸
    • ゆっくりとした深い呼吸(横隔膜呼吸とも呼ばれる)のエクササイズは、血圧を適度に下げ、コルチゾール(体内の主要なストレスホルモン)のレベルを下げるかもしれないことが研究で示されています。
    • 2019年に報告された3件の研究のレビュー(参加者総数880例)では、横隔膜呼吸法がストレスの軽減に役立つかもしれないことを示唆する予備的なエビデンスが得られました。精神面(メンタルヘルス)での自己評価や、コルチゾール値や血圧などの身体的な指標において、有望な肯定的変化が認められました。
    • 深い呼吸は、2型糖尿病患者の血糖値(血液中のグルコースまたは糖の濃度)を下げるというエビデンスがあり、この症状の標準治療に追加するのに有用であるかもしれないと考えられています。
  • バイオフィードバック(生体自己制御)
    • 2018年に報告されたレビューでは、リラクゼーション法とバイオフィードバックが、血圧の低下に役立つかもしれないとしていますが、29件の研究のデータは質が低いものから非常に低いものであったため、それらの実施については弱い推奨しかなされていません。
    • 心拍変動(heart rate variability:HRV)バイオフィードバックについては、いくつかの研究がなされています。参加者総数484例を含む24件のあるレビューでは、HRVバイオフィードバックが自己申告のストレスや不安の軽減に役立つことが明らかになり、研究者らは、フィットネストラッカーのようなウェアラブルデバイスの開発がさらに進み、有望なアプローチになると見ています。
  • 漸進的筋弛緩法
    • 漸進的筋弛緩法は、人によってはストレス緩和効果をもたらし、不安や抑うつに良い影響を与えるかもしれないことが研究で明らかにされています。
    • 2016年の研究では、漸進的筋弛緩が妊娠中の血圧を低下させる可能性があることが示されました。

瞑想とマインドフルネス

  • マインドフルネス
    • マインドフルネス瞑想は、集中力と明晰さを維持し、現在への認識を高める能力を養う実践法で、不安や抑うつなどのストレス症状を軽減し、睡眠の改善に役立つかもしれないことが現在のエビデンスによって示唆されています。
      • 2022年に報告された研究では、マインドフルネスを実践した参加者は、知覚ストレスと不安のレベルが著しく低下し、炎症状態のいくつかの主要なメディエーターのバランスも改善されたことが明らかになりました。
      • 2021年に報告された、大学生を対象に行われた研究では、マインドフルネスは心理的苦痛の低いレベルと関連しており、この集団における苦痛の尺度を減らすために、マインドフルネスに基づく簡単な介入が有用であることがわかりました。
      • 2019年に報告された18件の研究のレビューでは、マインドフルネス瞑想の介入が、睡眠障害を有するさまざまな集団において睡眠の質を有意に改善するという、中等度の強さのエビデンスが見出されました。
      • 2018年に報告された、職場のストレスやワークエンゲージメントに対するマインドフルネスベースのプログラムを検証した科学文献のレビューでは、マインドフルネスに基づく介入は、体内のストレス指標を改善するための有望な手段であるかもしれないとしています。
  • 瞑想
    • 2017年に報告された、瞑想とストレスの生理的マーカーに関する研究のレビューでは、集中的注意瞑想に関する8件の研究が含まれており、このタイプの瞑想が血圧とコルチゾールのレベルを下げることがわかりました。
    • 2009年に報告された、NCCIHが資金を提供した、大学生298例を含む試験の結果、超越瞑想(Transcendental Meditation:TM)の実践が高血圧発症リスクの高い人の血圧を下げるかもしれないことが示唆されました。また、瞑想を実践することで、心理的苦痛、不安、抑うつ、怒り・敵意、対処能力などに役立つ可能性があることが示唆されました。
    • 米国心臓協会(American Heart Association)の文献レビューと科学的声明では、血圧を下げるためにTMを使用することを支持するエビデンスがあることが示唆されています。しかし、レビューでは、TMが血圧を下げるという点で、他の瞑想法と比べて本当に優れているかどうかは、直接比較した研究(head-to-head study)が少ないため、不確かであることが示されています。
    • 2014年に公表された統合腫瘍学会の診療ガイドラインでは、乳がん治療を受ける患者のストレス、不安、抑うつ、倦怠感を軽減するための支持療法として瞑想を推奨しています。ストレス管理、ヨガ、マッサージ音楽療法、エネルギー節約・温存、瞑想は、ストレス軽減、不安、抑うつ、倦怠感、生活の質(Quality of Life:QOL)に対して推奨されています。

ヨガ

  • ストレス管理のためのヨガに関するいくつかの研究は、すべてではありませんが、ストレスに関連する身体的または心理的な指標の改善を示しています。
    • 2020年に報告された、12件の健康な成人のストレス管理を目的としたさまざまなタイプのヨガを対象としたレビューでは、すべての研究において、自覚的ストレスの指標に対するヨガの有益な効果が示されました。
    • 2014年に報告されたレビューに含まれる、ストレス管理を目的としたヨガに関する17件の古い研究のうち、12件の研究では、ストレスに関連する身体的または心理的指標の改善が見られました。
    • 2018年に報告された、参加者90例を含む18件の研究では、8週間と16週間のジムヨガがストレスや心理的健康に及ぼす影響を検証しました。その結果、対照群と比較した場合、ヨガを実践した人は、ストレスや不安が有意に減少し、一般的な心理的健康が改善され、ウェルビーイング(well-being)が向上することがわかりました。
    • 2017年に公表された、米国がん協会(American Cancer Society)の診療ガイドラインでは、乳がん治療中および治療後の統合療法のエビデンスに基づく使用について、不安・ストレス軽減のためにヨガを推奨しています。

安全性

  • 瞑想やマインドフルネスの実践技法は、通常、リスク(危険)が少ないとされています。しかし、これらの施術・療法について潜在的な有害な作用を検証した研究は少ないため、安全性について明確な声明を出すことはできません。
  • リラクゼーション法は、健康な人には一般的に安全と考えられています。ほとんどの研究では、好ましくない副作用の報告はありませんでした。しかしながら、時には、不安増大、侵入思考(望まない非自発的な思考)、自制心を失う恐れなど好ましくない経験が報告される場合もあります。
  • まれに特定のリラクゼーション法によって、てんかんまたは特定の精神疾患がある患者や乱用または心的外傷の既往歴がある人に、症状引き起こしたり、症状が悪化したりするかもしれないとする報告があります。
  • ヨガは、資格のあるインストラクターの指導のもとで適切に行えば、健康な人にとって安全な身体活動の一形態であると一般に考えられています。しかし、他の身体活動と同様に、怪我をすることがあります。最も多いのは捻挫や肉離れで、体の部位では膝や下腿を負傷することが多いようです。重篤な怪我はまれです。ヨガに伴う怪我のリスクは、衝撃の機会が多い運動よりも低くなります。ヨガの安全性についてのさらなる情報については、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)のウェブサイト「Yoga:知っておくべきこと」をご覧ください。
  • 高血圧の場合、今かかっている医療機関※が処方する治療計画に従うことが重要です。治療計画に従うことは、高血圧の重篤な合併症を予防したり、遅らせたりすることが可能であるため、重要です。高血圧に対して補完療法・統合医療を検討している場合、今かかっている医療機関※に相談してください。

NCCIHによる研究助成

現在、米国補完統合医療センター(NCCIH)が資金提供している研究では、以下のようなストレスに関連するさまざまなトピックが検証されています。

  • 州兵新兵の基礎戦闘訓練および入隊後2年間におけるストレス要因への暴露とレジリエンスの育成。
  • 2型糖尿病を有し、自分の症状・疾患に関連した苦痛のレベルが上昇している成人に対する、ストレス軽減を目標としたマインドフルネスに基づく糖尿病教育プログラムの有用性。
  • 関節リウマチ患者の疾患活動性と症状重症度に対する心理的ストレス、ストレス回復力(レジリエンス)、マインドフルネスに基づく有用性。

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレコム・リレー・サービス(Telecommunications relay service:TRS)7-1-1
ウェブサイト:https://nccih.nih.gov/[英語サイト]
Email:info@nccih.nih.gov(メール送信用リンク)

■ 科学を知ろう

NCCIHと米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は、科学研究の基礎と用語を理解し、自分の健康について十分な情報を得た上で意思決定できるようにするためのツールを提供しています。科学を知ろう は、インタラクティブなモジュール、クイズ、ビデオなどのさまざまな教材や、消費者が健康情報を理解できるように設計された連邦政府のリソースから有益なコンテンツへのリンクを提供しています。

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine, PubMed®:NLM)のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed[英語サイト]をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/[英語サイト]

その他のリソース

消費者向け

研究結果

関連するファクトシート

更新日:2022年4月1日

監訳:大野智(島根大学)

ストレスと健康
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2025年10月

ストレスとは、感情的または身体的な緊張感のことです。それは、イライラしたり、怒ったり、不安になったりするような、あらゆる出来事や思考から生じる可能性があります。

ストレスとは、挑戦や要求に対する身体の反応です。短時間であれば、ストレスは危険を回避したり、期限に間に合わせたりするのに役立つなど、プラスに働くこともあります。しかし、ストレスが長期間続くと健康を損なう恐れがあります。

考察

ストレスは正常な感情です。ストレスには主に2種類あります。

  • 急性ストレス。これは短期間のストレスで、すぐになくなります。急ブレーキを踏んだとき、パートナーとケンカしたとき、急斜面をスキーで滑り降りるときに感じるものです。危険な状況を対処するのに役立ちます。また、ストレスは、新しいことや刺激的なことを行うときにも起きます。人は誰でも一度は急性ストレスを抱えるものです。
  • 慢性ストレス。これは長期間にわたって続くストレスです。金銭問題、不幸な結婚生活、仕事上のトラブル、健康上の重大な問題などを抱えている人は、慢性ストレスを抱えているかもしれません。何週間、何カ月も続くようなストレスは慢性ストレスです。慢性ストレスに慣れてしまい、それが問題だと気づかないこともあります。ストレスに対処する方法を見つけなければ、健康問題につながるかもしれません。

ストレスと身体

身体はストレスに反応してホルモンを分泌します。これらのホルモンは脳を覚醒させ、筋肉を緊張させ、心拍数を増加させます。短期間であれば、これらの反応は、ストレスの原因となる状況に対応する上で役立つため、有益となります。これは、身体が自分自身を保護しようとする手段です。
慢性ストレスの場合、危険がなくても、身体が緊張し続けます。時間とともに、このことが以下のような健康問題のリスクを引き起こします:

すでに健康状態に問題がある場合、慢性ストレスはそれを悪化させる可能性があります。

過剰ストレスの徴候

ストレスはさまざまな身体的・精神的症状を引き起こします。これらの症状がストレスによって引き起こされていることに気づかないこともあります。ストレスが影響を与えているいくつかの徴候を以下に示します。

  • 下痢または便秘
  • 物忘れ
  • 頻繁な疼痛
  • 頭痛
  • 気力や集中力の欠如
  • 性機能の問題
  • 顎や首のこわばり
  • 倦怠感
  • 睡眠障害や過剰睡眠
  • 胃のむかつき
  • リラックスするための飲酒や薬物摂取
  • 体重の増減

原因

ストレスの原因は人それぞれです。良い挑戦からも悪い挑戦からもストレスを受けることがあります。一般的なストレスの原因には、以下のようなものがあります:

  • 結婚または離婚
  • 新しい仕事を始める
  • 配偶者または近親者の死
  • 解雇
  • 引退
  • 出産
  • 金銭問題
  • 引越し
  • 深刻な病気
  • 仕事での問題
  • 家庭での問題

複数の問題に対する過度の心配や不安が6カ月以上続く場合は、全般性不安症の可能性があります。

医療専門家に連絡すべきとき

ストレスに押しつぶされそうなとき、あるいはストレスが健康に影響を及ぼしているときは、今かかっている医療機関※に相談してください。また、新たな症状やいつもと違う症状に気づいたら、今かかっている医療機関※に連絡してください。

次のような場合に助けを求めてください:

  • 浮動性めまい、速い呼吸、動悸など、パニック状態がある。
  • 自宅や職場で仕事や機能することができない。
  • 自分でコントロールできないのではないかという心配がある。
  • トラウマとなった出来事の記憶がある。

今かかっている医療機関※が心のケアを専門とする医療機関を紹介してくれる場合もあります。あなたの気持ち、ストレスを感じたり、感じなくなったりする出来事、そしてあなたがその問題を抱えていると思う理由について、その専門家に相談しましょう。人生のストレスを減らす新しい方法に取り組むことも大切です。

もしあなたやあなたの知り合いが自殺を考えているなら、988に電話するかテキストメッセージを送る、または988lifeline.org[英語サイト]にチャットを送ってください。1-800-273-8255(1-800-273-TALK)[米国の電話番号]に電話することもできます。988自殺・クライシス・ライフライン(988 Suicide and Crisis Lifeline)[米国のサポートライン]は、24時間365日、昼夜を問わず、無料で秘密厳守のサポートを提供しています。

また、911(米国の緊急通報用電話番号)または地域の緊急電話番号に電話するか、病院の緊急治療室に行くことも可能です。ためらわないでください。

知人が自殺を図った場合は、すぐに911または地域の緊急電話番号に電話してください。助けを呼んだ後でも、その人を一人にしないでください。

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

別名

不安、緊張感、ストレス、そわそわ感、じれったい、懸念

参考文献

Ahmed SM, Hershberger PJ, Lemkau JP. Psychosocial influences on health. In: Rakel RE, Rakel DP, eds. Textbook of Family Medicine. 9th ed. Philadelphia, PA: Elsevier; 2016:chap 3.

Freedland KE, Carney RM, Lenze EJ, Rich MW. Psychiatric and psychosocial aspects of cardiovascular disease. In: Libby P, Bonow RO, Mann DL, Tomaselli GF, Bhatt DL, Solomon SD, eds. Braunwald's Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine. 12th ed. Philadelphia, PA: Elsevier; 2022:chap 99.

National Institute of Mental Health website. I'm so stressed out! Fact sheet.www.nimh.nih.gov/health/publications/so-stressed-out-fact-sheet.[英語サイト] Accessed June 4, 2024.

更新日:2026年1月28日

監訳:時信亜希子(京都大学)、大野茜(国立国府台医療センター)、大野智(島根大学)

エナジードリンク
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2018年7月

エナジードリンクは活力を増進し、脳の覚醒状態および身体能力を高める商品として広く宣伝されています。エナジードリンクはマルチビタミンの次にアメリカの十代や青年が利用する最も人気がある栄養補助食品です。最もエナジードリンクを利用するのは、18歳~34歳の男性であり、 12歳~17歳の十代の若者のほぼ3分の1がエナジードリンクを定期的に飲用しています。

エナジードリンクの商品には2種類あります。1つは16 オンス(1オンス=28.35g).ボトルなど通常のソフトドリンクに似たサイズで販売されています。もう1つはいわゆる「エナジーショット」と呼ばれる種類で、2~2½ オンスの濃縮液を入れた小さい容器で販売されています。いずれのエナジードリンク商品でも主な成分は、カフェインで、16 オンス ボトルに70~240 mg、エナジーショットに113~200 mg程度含まれています。(比較として、コーラの12 オンス缶には約35 mgのカフェイン、コーヒーの8 オンスカップには約100 mg。)エナジードリンクはカフェイン以外に、ガラナ(ブラジルのココアと呼ばれる別のカフェインのもと)、砂糖、タウリン、朝鮮人参ビタミンB群、グルクロノラクトン 、ヨヒンベカルニチン 、そしてダイダイなどの他の成分を含む場合があります。

エナジードリンクの利用は、重要な安全上の懸念があります。

  • 2007~2011年の間、エナジードリンクに関連した救急外来受診数は倍増しました。2011年では、このような受診の10件中1件は入院となりました。
  • 約25%の大学生がアルコールをエナジードリンクと一緒に消費しており、混ぜていない学生と比べ、かなり多くの頻度で一気飲みをしています。
  • 米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)[英語サイト]は、アルコールをエナジードリンクと混ぜた15~23歳の飲用者は、混ぜてない飲用者と比べ、かなり激しい一気飲み(一回の一気飲みにつき6杯以上飲むなど)をする可能性が4倍多いと報告しています。
  • アルコールをエナジードリンクと混ぜた飲用者は、混ぜていない飲用者よりも、意図しないまたは無防備なセックス、飲酒運転、酔った運転手とのドライブ、もしくはアルコール関連の怪我をより多く報告する傾向にあります。
  • 2011年、エナジードリンクに関連した救急外来全受診の内、42%はアルコールか薬物(マリファナ、市販薬、処方薬など)を飲み物に混ぜたことに関係した受診でした。

要点は?

  • 増えつつある一連のエビデンスが示すように、エナジードリンクは重大な健康への影響があり、特に子供、10代、青年で深刻です。
  • 一部の研究では、エナジードリンクが身体持久力を向上させることが判明していますが、筋肉の強度、筋力における影響についてはそれほどエビデンスがありません。エナジードリンクは注意力を高め、反応時間を改善しますが、手の動作の安定性を低下させる可能性があります。
  • エナジードリンクのカフェイン含有量はかなりばらつきがあり、実際のカフェインの成分はわかりにくいことがあります。飲料として販売されているエナジードリンクもあれば、サプリメントとして販売されているものもあります。いずれの商品のタイプにも、ラベルにカフェイン含有量を表示する義務はありません。

安全性

  • 多量のカフェインは、心拍の乱れ、脈拍や血圧の上昇などの重度の心臓・血管障害を引き起こす場合があります。また、カフェインは子供の発達中の心血管系および神経系に有害な場合があります。
  • カフェインの使用はまた、不安、睡眠障害、消化不良、脱水などと関連している場合もあります。
  • エナジードリンクによく含まれているガラナは、カフェインを含んでいます。そのため、ガラナの追加によりそのドリンクの総カフェイン含有量が増加します。カフェイン入りの飲料をアルコールと一緒に混ぜ飲んだ場合は、どの程度自分が酔っているのかわからないかもしれません。
  • カフェインを一緒に摂取していない場合よりも酔っぱらっていないと感じると同時に、運動神経や反応時間が低下している可能性があります。
  • 多量にエナジードリンクを飲用することは、10代の睡眠パターンを乱し、リスク(危険)な行為に繋がる可能性があります。
  • 容量16オンスのエナジードリンク1本には、54~62 gの砂糖が加えられている場合がありますが、これは1日分に推奨される添加砂糖の最大摂取量を上回ります。

監訳:大野智、富塚啓貴(島根大学)

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。
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翻訳公開日:2021年3月12日
※更新日・監訳については、各項目をご確認ください。
※更新日の記載がない項目は、翻訳公開日以降の更新はありません。

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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