海外の情報

女性の健康
Women’s Health

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

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英語版最終アクセス確認日：2024年12月

健康やウェルネスの問題には、女性特有のものもあれば、一般的に男性よりも女性に多いものもあります。女性は男性よりも抑うつ状態になりやすく、禁煙が困難で、更年期のホルモンの変化により骨量の急激な減少を経験するかもしれません。

更年期

一部の薬は、ホットフラッシュ（ほてり）など、悩ましい更年期の症状が出たときに役立つかもしれません。ブラックコホシュ、レッドクローバー、大豆などの補完療法で症状が緩和したと報告する女性もいます。(ただし、いずれの製品も有用性が証明されているわけではなく、一部は肝障害など潜在的な危険性を引き起こすこともあるかもしれません。)ヨガ、太極拳、催眠療法、鍼治療などの心身療法は、更年期の症状の一部に役立つかもしれません。しかし、これらの製品や療法を試す前に、必ず医療機関に相談するのがよいでしょう。
更年期の症状、ブラックコホシュ、レッドクローバー、大豆それぞれの詳細については、米国国立補完統合衛生センター（National Center for Complementary and Integrative Health：NCCIH）のファクトシート［英語サイト］をご覧ください。（eJIMサイト内翻訳）

尿路感染症

クランベリーは、尿路感染症（Urinary Tract Infections：UTI）によいとプロモーション（宣伝・販売促進）されており、過去に尿路感染症になったことがある女性においては、この感染症のリスク（危険）を減らすのに役立つかもしれないとするエビデンス（科学的根拠）があります。しかし、一部質の高くない研究もあるため、クランベリーの有用性については今も不明な点があります。

米国食品医薬品局（U.S. Food and Drug Administration：FDA）は、クランベリーのダイエタリーサプリメント（栄養補助食品）（eJIMサイト内：一般向け・医療関係者向け）の製造業者に対し、特定量の毎日の摂取が、尿路感染症を患ったことのある健康な女性の尿路感染症再発リスク（危険）を低減するかもしれないという「限定的な」エビデンスがあることを製品ラベルに記載することを認めています。クランベリー果汁飲料についても同様の記載が許可されていますが、エビデンスについては「限定的であり、一貫性がない」ことを明記しなければいけません。

クランベリーは、既に発症している尿路感染症に対する治療法として有用であることは示されていません。尿路感染症の症状がある場合は、今かかっている医療機関※を受診してください。

詳細については、NCCIHファクトシート「クランベリー」［英語サイト］をご覧ください。（eJIMサイト内日本語訳）

妊娠中および授乳中

ヨガは他の身体的な運動と同様に、適切な予防措置を取れば、妊娠中でも安全で有益な可能性があります。ヨガは、妊娠中のストレスや不安、抑うつの軽減に役立つかもしれません。妊娠中の人は、今かかっている医療機関※に相談し、運動してはいけない医学的な理由がないことを確認し、妊娠中にヨガなどの運動を調整する必要があるかどうかを教えてもらいましょう。

ショウガは妊娠中の軽い嘔気や嘔吐に有用であるかもしれません。しかし、妊娠中の使用が安全であるというエビデンスは決定的なものではありません。妊娠中にショウガのダイエタリーサプリメントの使用を検討している場合は、今かかっている医療機関※に相談してください。授乳中にショウガを使用しても安全かどうかについては、ほとんどわかっていません。

フェヌグリーク（コロハ）というハーブは、授乳中の母乳分泌を促進すると考えられてきました。しかし、フェヌグリークが実際にこのような効果があるかどうかは不明で、研究結果もまちまちです。授乳中に食品に含まれる量以上のフェヌグリークを摂取した場合の安全性については、ほとんどわかっていません。妊娠中に食品に含まれる量以上のフェヌグリークを摂取することは安全ではありません。動物と人の両方で、先天異常のリスク（危険）増加との関連性がみとめられています。

詳細については、NCCIHファクトシート「ヨガ、ショウガ、とフェヌグリーク（コロハ）」をご覧ください。

ダイエタリーサプリメントと妊娠

米国疾病予防管理センター（Centers for Disease Control and Prevention：CDC）は、妊娠可能年齢にあるすべての女性に対し、サプリメントや強化食品から1日あたり400マイクログラム（μg）のビタミンB群の葉酸を摂取することを推奨しています。妊娠前および妊娠中の葉酸の摂取は、脳や脊椎の先天異常の予防に役立ちます。ほとんどのマルチビタミン/マルチミネラル（eJIMサイト内：一般向け・医療関係者向け）のサプリメントには、適切な量の葉酸が含まれています。ラベルを確認しましょう。

妊娠中にビタミン／ミネラル以外のダイエタリーサプリメントの摂取を考えている場合は、今かかっている医療機関※に相談しましょう。サプリメントの中には、妊娠中の使用は安全ではないかもしれないものや、安全性が不確かなものがあるかもしれません。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は、骨量や骨密度が減少することで骨の強度が低下し、骨折のリスク（危険）が高まる骨の疾患です。閉経後の女性や高齢の男性における骨折の主な原因となっています。

大豆イソフラボン混合物を含むダイエタリーサプリメントは、おそらく閉経後の女性の骨の健康に有益な効果をもたらしますが、エビデンスは完全に一致するものではありません。レッドクローバーにもイソフラボンが含まれていますが、更年期女性の骨密度に対する有用性については、わずかな研究しか行われておらず、その結果も一貫していません。

詳細については、NCCIHのファクトシート大豆とレッドクローバーをご覧ください。

（※補足：原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。）

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター（National Center for Complementary and Integrative Health：NCCIH）の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話：1-888-644-6226
テレコム・リレー・サービス（Telecommunications relay service：TRS）7-1-1
ウェブサイト：https://www.nccih.nih.gov [英語サイト]
E-mail：info@nccih.nih.gov（メール送信用リンク）

■ 科学を知ろう

NCCIHと米国国立衛生研究所（National Institutes of Health：NIH）は、科学研究の基礎と用語を理解し、自分の健康について十分な情報を得た上で意思決定できるようにするためのツールを提供しています。科学を知ろうは、インタラクティブなモジュール、クイズ、ビデオなどのさまざまな教材や、消費者が健康情報を理解できるように設計された連邦政府のリソースから有益なコンテンツへのリンクを提供しています。

Explaining How Research Works（研究のしくみを知る）［英語サイト］(NIH)
科学を知ろう：科学雑誌の論文を理解する方法
 Understanding Clinical Studies（臨床試験を理解する）［英語サイト］(NIH)

■ PubMed®

米国国立医学図書館（National Library of Medicine, PubMed®：NLM）のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報（掲載号、出版年月日など）および（ほとんどの場合）その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「補完・統合医療に関する情報をPubMed® で検索する方法」をご覧ください。

Yoga for Health—Systematic Reviews/Reviews/Meta-analyses（健康のためのヨガ-システマティックレビュー/レビュー/メタアナリシス）[英語サイト]

Yoga for Health—Randomized Controlled Trials（健康のためのヨガ-ランダム化比較試験）[英語サイト]

ウェブサイト： https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/［英語サイト］

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米国国立補完統合衛生センター（National Center for Complementary and Integrative Health：NCCIH）は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関※の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関※に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳：大野智（島根大学）　翻訳公開日：2025年6月19日

ご注意：この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所［米国］、国立補完統合衛生センター［米国］、国立がん研究所［米国］のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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