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カルシウム
Calcium
- 写真に掲載している食材の成分表一覧
［補足］
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準（厚生労働省）」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準（厚生労働省）
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版最終アクセス確認日：2024年12月
これは一般的な概要です。さらなる情報については、「医療従事者向けファクトシート：カルシウム」をご覧ください。
カルシウムとは？その働きは？
カルシウムは、丈夫な骨を作り、維持し、多くの重要な機能を発揮するために、体に必要なミネラルです。カルシウムは、体内で最も多く存在するミネラルです。
体内のカルシウムのほとんどは、骨や歯に貯蔵され、それらを構造化したり硬度を与えたりしています。
筋肉を動かしたり、神経が脳と体の各部分の間でメッセージを伝えたりするために、体にはカルシウムが必要です。また、カルシウムは血管が全身に血液を運ぶのを助け、体内のさまざまな機能に影響を与えるホルモンの分泌を助ける働きもあります。ビタミンD（eJIMサイト内：一般向け・医療関係者向け）は、カルシウムの体内吸収に役立ちます。
カルシウムの必要摂取量は？
カルシウムの必要摂取量は、年齢や性別によって異なります。下表に1日の平均推奨摂取量を、ミリグラム（mg）で示します。
| ライフステージ | 推奨摂取量 |
|---|---|
| 生後0〜6カ月 | 200 mg |
| 7～12カ月の幼児 | 260 mg |
| 1～3歳の小児 | 700 mg |
| 4～8歳の小児 | 1,000 mg |
| 9～13歳の小児 | 1,300 mg |
| 14〜18歳の青年 | 1,300 mg |
| 19～50歳の成人 | 1,000 mg |
| 51～70歳の成人（男性） | 1,000 mg |
| 51～70歳の成人（女性） | 1,200 mg |
| 71歳以上の大人 | 1,200 mg |
| 10代の妊婦および授乳婦 | 1,300 mg |
| 妊娠中および授乳中の成人 | 1,000 mg |
カルシウムはどんな食品から摂取できますか？
カルシウムは、多くの食品に存在します。以下のようなさまざまな種類の食品を食べることで、カルシウムの推奨量を摂取することができます:
- 牛乳、ヨーグルト、チーズは、米国では、ほとんどの人にとってカルシウムの主な供給源となっています。
- 骨付きのイワシやサケの缶詰にはカルシウムが含まれています。
- ケール、ブロッコリー、白菜[青梗菜]など特定の野菜にもカルシウムが含まれています。
- カルシウムは、多くのフルーツジュースや、 大豆 やアーモンド飲料などの代用乳、豆腐やすぐに食べられるシリアルの一部のブランドなど、一部の飲料に添加されています。これらの食品にカルシウムが添加されているかどうかについては、製品ラベルを確認してください。
- ほとんどの穀物（パン、パスタ、栄養強化されていないシリアルなど）には、カルシウムは多く含まれていません。しかし、人は頻繁に穀物を食べるので、その分多くのカルシウムを摂取することになります。
市販されているカルシウムのダイエタリーサプリメント（栄養補助食品）には、どのようなものがありますか？
カルシウムは、多くのマルチビタミン・ミネラルサプリメント（eJIMサイト内：一般向け・医療関係者向け）、カルシウムサプリメント、カルシウムとビタミンDなどの他の栄養素を含むサプリメント（eJIMサイト内：一般向け・医療関係者向け）に含まれています。サプリメントに含まれるカルシウムの量を確認するには、サプリメント成分表示を確認してください。
ダイエタリーサプリメントに含まれるカルシウムには、主に炭酸カルシウムとクエン酸カルシウムの2つの形態があります。炭酸カルシウムは、食事と一緒に摂ると最もよく吸収されます。TumsやRolaidsなど一部の市販の制酸剤にも、炭酸カルシウムが含まれているものがあります。
クエン酸カルシウムは空腹時でも満腹時でもよく吸収されます。胃酸が少ない人（高齢者に多い）は、炭酸カルシウムよりもクエン酸カルシウムの方が吸収しやすいとされています。
サプリメントや栄養強化食品に含まれるその他のカルシウムの形態には、硫酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、微結晶性ヒドロキシアパタイトカルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウムなどがあります。
カルシウムは1回に500mg以下で摂取するときが最も吸収が良いとされています。例えば、1,000mg/日のカルシウムをサプリメントから摂取する場合、一度に摂取するよりも、1日2回に分けて少量ずつ摂取する方が良いとされています。
カルシウムサプリメントは、人によっては、ガス、膨満感、便秘を引き起こす可能性があります。これらの症状がある場合は、カルシウムの摂取量を1日のなかで分散させる、食事と一緒にサプリメントを摂取する、摂取するカルシウムの形態を変えるなどの方法を試してみてください。
カルシウムは足りていますか？
米国では、特に以下に該当する多くの人たちが、食品やサプリメントから推奨量以下のカルシウムしか摂取していません。
- 4〜18歳の子供や若者
- 黒人またはアジア人
- 貧困状態にある50歳以上の大人
以下のような特定の集団では、他と比べて十分にカルシウムを摂取できていない可能性があります：
- 閉経後 の女性閉経後は、体内でのカルシウムの吸収や保持が少なくなります。時間が経つと、骨がもろくなることもあります。
- 牛乳を飲まない人乳製品を食べない人 。乳製品はカルシウムの豊富な供給源ですが、乳糖不耐症の人、牛乳アレルギーの人、ビーガン（完全菜食主義者：動物性食品を一切摂取しない人）は、他のカルシウム供給源を探す必要があります。無乳糖または低乳糖の乳製品、骨付き魚の缶詰、ケール、ブロッコリー、白菜などの野菜、カルシウム強化のフルーツジュース、大豆やアーモンド飲料、豆腐、シリアル食品などの牛乳代替食、カルシウムを含むダイエタリーサプリメントなどの選択肢があります。
カルシウムが不足するとどうなりますか？
カルシウムの摂取量が少なすぎると、以下のようないくつかの症状を引き起こす可能性があります。
- 骨粗鬆症は、骨が弱くもろくなり、転倒や骨折のリスク（危険）を高める疾患です。
- くる病：骨が柔らかく弱くなる子供の疾患。
- 骨軟化症：子供や大人の骨が柔らかくなる。
カルシウムが健康に及ぼす影響にはどのようなものがありますか？
カルシウムが健康にどのような影響を与えるのかを解明するための研究が行われています。ここでは、研究結果の例をいくつか紹介しています。
高齢者の骨の健康
30歳前後を過ぎると、骨は徐々にカルシウムを失っていきます。中高年になると骨量の減少が加速し、骨が弱くもろくなったり（骨粗鬆症）、骨折したりすることがあります。骨量の減少は、一般的に女性に多く見られますが、男性にも起こる可能性があります。
骨の健康状態は、骨密度検査で測定し、健康で丈夫な骨か、弱くて薄い骨かがわかります。ビタミンDの有無にかかわらず、カルシウムサプリメントが高齢者の骨密度を増加させるという研究結果もありますが、そうでないものもあります。さらに、カルシウムサプリメントが骨折の予防に役立つかどうかも明らかではありません。食品またはサプリメントからより多くのカルシウムを摂取することが、高齢者の骨の健康を改善するかどうかをよりよく理解するためには、さらなる研究が必要です。
がん
食品やサプリメントからカルシウムを多く摂取している人は、 大腸 や直腸のがんのリスクが低いという研究結果もありますが、そうでない研究もあります。乳製品からカルシウムを多く摂取している男性は、前立腺がんのリスクが高くなることを示す研究もあります。他の種類のがんについては、カルシウムは、がんに罹るリスクやがんで死亡するリスクには影響しないようです。食品またはダイエタリーサプリメントからのカルシウム摂取が、がんのリスクに影響するかどうかをよりよく理解するためには、さらなる研究が必要です。
心疾患
カルシウムは脂肪と結びつき、体内に吸収される脂肪の量を減らすことが可能です。カルシウムサプリメントが心疾患に影響を与えないという研究結果もあれば、逆にカルシウムサプリメントが心疾患のリスクを高める可能性があるという研究結果もあります。全体として、専門家は、食品やサプリメントからビタミンDを摂取してもしなくても、カルシウムの摂取は心疾患のリスクや心疾患で死亡するリスクには影響しないと考えています。（後述の「カルシウムが害を及ぼす可能性はないのですか？」の項目をご覧ください。)
子癇前症
子癇前症は、妊娠後期に起こる重篤な合併症です。症状としては、高血圧や尿蛋白増加などがあります。カルシウムサプリメントは、カルシウムの摂取量が少なすぎる妊婦の子癇前症のリスクを軽減する可能性があります。そのため、多くの専門家は、カルシウム摂取量の少ない女性には、妊娠中にカルシウムサプリメントを摂取することを勧めています。
体重管理
乳製品やサプリメントから摂取したカルシウムが、減量に役立つのか、あるいは体重増加を防ぐのかは、研究によって明確に示されていません。カルシウムを多く摂取することが有用であるとする研究もありますが、そうでない研究もあります。さらなる情報については、「dietary supplements for weight loss（減量のためのダイエタリーサプリメント）」[英語サイト]をご覧ください。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームは、心疾患、脳卒中、糖尿病などのリスクを高める深刻な病態です。次の3つ以上に該当する人は、メタボリックシンドロームです。
- 腹囲が大きい
- 血中脂肪（トリグリセリド)の値が高い
- 高密度リポ蛋白質 コレステロール (善玉コレステロール)の値が低い
- 高血圧
- 高血糖
カルシウムの摂取量を増やすことにより、女性ではメタボリックシンドロームのリスクを下げられる可能性がありますが、男性ではそうではないことを示唆する研究結果もあります。より多くの研究が必要です。
カルシウムが害を及ぼす可能性はないのですか？
カルシウムの摂取量が多いと、心疾患や前立腺がんのリスクが高まる可能性を示唆する研究結果もあります。
血中および尿中のカルシウム濃度が高いと、筋肉の緊張の低下、腎機能の低下、リン酸値の低下、便秘、吐き気、体重減少、極度の倦怠感、頻尿、心拍数の異常、心疾患による死亡リスクの増加などを引き起こす可能性があります。しかし、血液や尿中のカルシウム濃度が高いのは、通常、副甲状腺ホルモン高値、がんなどの健康状態が原因であり、カルシウムの摂取量が多いことが原因ではありません。
カルシウムの1日の上限値は、食品、飲料、サプリメントなど、すべての供給源からの摂取量を含み、以下の通りです。
| 年齢 | 上限値 |
|---|---|
| 生後0〜6カ月 | 1,000 mg |
| 7～12カ月の幼児 | 1,500 mg |
| 1～8歳の小児 | 2,500 mg |
| 9～18歳の小児 | 3,000 mg |
| 19～50歳の成人 | 2,500 mg |
| 51歳以上の成人 | 2,000 mg |
| 10代の妊婦および授乳婦 | 3,000 mg |
| 妊娠中および授乳中の成人 | 2,500 mg |
カルシウムは、医薬品あるいは他のダイエタリーサプリメントと相互作用しますか？
カルシウムのダイエタリーサプリメントは、特定の医薬品と相互作用または阻害する可能性があり、一部の医薬品は体内のカルシウム濃度を低下させる可能性があります。ここでは、いくつかの例をご紹介します。
- ドルテグラビル（Dovato, Tivicay）は、HIVを治療するための医薬品です。ドルテグラビルと同時にカルシウムサプリメントを摂取すると、薬の血中濃度が低下する可能性があります。この相互作用を避けるために、ドルテグラビルをカルシウムサプリメントを摂取する2時間前または6時間後に服用してください。
- レボチロキシン（Synthroid、Levoxylなど）は、甲状腺機能低下症や甲状腺がんの治療に使用される甲状腺ホルモンです。レボチロキシンは、炭酸カルシウムサプリメントを摂取してから4時間以内に服用すると、うまく吸収されません。
- リチウム（Eskalith, Lithobid）は、双極性障害の治療に用いられます。リチウムの長期使用、またはリチウムとカルシウムサプリメントを一緒に使用すると、血液中のカルシウム濃度が異常に高くなることがあります。
- キノロン系抗生物質（例：シプロフロキサシン［Cipro］、ゲミフロキサシン［Factive］、モキシフロキサシン［Avelox］）は、カルシウムサプリメントを摂取してから2時間以内に服用すると、うまく吸収されないと言われています。
あなたが使用しているすべてのダイエタリーサプリメント、処方薬、市販薬について、今かかっている医療機関※の医師、薬剤師およびその他の医療従事者に伝えてください。摂取しているダイエタリーサプリメントが、処方薬または市販薬と相互作用あるいは阻害を起こす可能性はないのか、あるいはそれらの医薬品が、体内でのカルシウムなどの栄養素の吸収、利用、分解の過程において阻害する可能性がないのかについて教えてくれるでしょう。
カルシウムと健康的な食事
米国連邦政府の「米国の食事指針（Dietary Guidelines for Americans）」によると、人は栄養素の大部分を食べ物や飲み物から摂取することが望ましいとされています。食品には、健康によいとされるビタミン、ミネラル、食品繊維やその他の成分が含まれています。場合によって、栄養強化食品やダイエタリーサプリメントは、他の方法では1つまたは複数の栄養素の必要量を満たすことができない場合（例えば、妊娠などの特定のライフステージ）に有用です。健康的な食生活の構築についての詳細は、「米国の食事指針（Dietary Guidelines for Americans）」［英語サイト］と米国農務省（U.S. Department of Agriculture：USDA）の「私の食事（MyPlate）」［英語サイト］をご覧ください。
カルシウムに関する詳しい情報を得たい時は？
- カルシウムに関する一般的な情報
- 医療関係者向け：カルシウム
- Calcium [英語サイト] and Calcium in diet（カルシウムと食事に含まれるカルシウム）[英語サイト], （MedlinePlus）
- カルシウム含有食品についての詳細な情報：
- USDAの FoodData Central［英語サイト］
- Nutrient List for calcium (listed by food or by calcium content)（特定の食品のカルシウム含有量（食品別[英語サイト] ／カルシウム含有量順[英語サイト] ））（USDA）
- ダイエタリーサプリメント購入に関するアドバイス
- 健康的な食事パターンに関する情報：
（※補足：原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。）
更新日：2025年6月19日
監訳：大野智（島根大学） 翻訳公開日：2021年3月12日
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