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ビタミンB12
Vitamin B12

- 写真に掲載している食材の成分表一覧
[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版最終アクセス確認日:2024年12月
これは一般的な概要です。さらなる情報については、医療従事者向けファクトシートをご覧ください。
ビタミンB12とは?その働きは?
ビタミンB12は、血液細胞と神経細胞を健康に保ち、細胞内の遺伝物質であるDNAの生成を助ける栄養素です。また、ビタミンB12は、疲労や脱力感をもたらす血液疾患である巨赤芽球性貧血の予防にも役立ちます。
ビタミンB12の必要摂取量は?
ビタミンB12の必要摂取量は、年齢によって異なります。下表に年齢別の1日の平均推奨摂取量を、μグラム(μg)で示します:
ライフステージ | 推奨摂取量 |
---|---|
生後0〜6カ月 | 0.4 μg |
7~12カ月の幼児 | 0.5 μg |
1~3歳の小児 | 0.9 μg |
4~8歳の小児 | 1.2 μg |
9~13歳の小児 | 1.8 μg |
14〜18歳の青年 | 2.4 μg |
成人 | 2.4 μg |
妊婦(10代も含む) | 2.6 μg |
授乳婦(10代も含む | 2.8 μg |
ビタミンB12はどんな食品から摂取できますか?
ビタミンB12はさまざまな動物性食品に含まれています。植物性食品は、栄養強化食品でない限りビタミンB12を含有しません。以下のようなさまざまな食品を摂取することによって、ビタミンB12の推奨量を摂取することができます。
- 魚、食肉(哺乳動物の肉)、鶏肉、卵、牛乳、その他の乳製品にはビタミンB12が含まれています。
- あさり、牡蠣、牛レバーはビタミンB12の最も優れた供給源の一部です。
- 朝食用シリアルや栄養酵母などには、ビタミンB12が強化されているものがあります。
ビタミンB12が添加されている食品かどうかは、栄養成分表示のラベルで確認することができます。食品にビタミンB12が自然に含まれている場合、製造業者はラベル表示にビタミンB12を記載する必要はありません。

市販されているビタミン B12のダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)には、どのようなものがありますか?
ビタミンB12は、マルチビタミン/ミネラルサプリメント、ビタミンB群のサプリメント、ビタミンB12のみを含むサプリメント(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)で入手できます。通常、シアノコバラミン(cyanocobalamin)と呼ばれる形態です。その他、アデノシルコバラミン(adenosylcobalamin)、メチルコバラミン(methylcobalamin)、ヒドロキシコバラミン(hydroxycobalamin)が一般的です。ビタミンB12は、舌の下で溶かすタイプのものもあります(舌下ビタミンB12と呼ばれます)。どの形態のビタミンB12が、他と比べて優れているかについては研究で明らかになっていません。
サプリメントに含まれるビタミンB12の量には大きな差があります。500μや1,000μgなど、推奨量よりはるかに多い量のビタミンB12を提供しているものもありますが、体が吸収するのはそのうちのわずかな割合にすぎません。これらの用量は安全であると考えられています。サプリメントに含まれるビタミンB12の量は、サプリメント成分表示を確認してください。
処方薬としてのビタミンB12は、注射で投与することが可能です。通常、ビタミンB12欠乏症の治療には注射剤が使われます。また、ビタミンB12は、鼻に噴霧する鼻用ジェルとして処方されることもあります。
ビタミンB12は足りていますか?
ほとんどの米国人は、普段の食事から十分なビタミンB12を摂っています。しかし、食品からビタミンB12を吸収するのが困難な人もいます。ビタミンB12は、2段階のプロセスで食品から体内に吸収されます。まず、胃の中の塩酸が、ビタミンB12を結合しているタンパク質から切り離します。次に、遊離したビタミンB12は、内因子と呼ばれる胃で作られるタンパク質と結合し、一緒に体内に吸収されます。
ダイエタリーサプリメントに含まれるビタミンB12は、タンパク質と結合していないので、最初の段階は必要ありません。しかし、サプリメントに含まれるビタミンB12は、内因子と結合しないと吸収されません。
自己免疫疾患の一つである悪性貧血の人は、内因子が作れません。その結果、食品やダイエタリーサプリメントからビタミンB12を吸収することが困難となります。
ビタミンB12の欠乏は、高齢者の3%から43%が影響を受けていると言われています。あなたが今かかっている医療機関で、ビタミンB12が不足しているかどうかを調べるために、ビタミンB12の値を検査することが可能です。
特定の集団では十分にビタミンB12を摂取できなかったり、吸収できなかったりする可能性があります:
- 高齢者の多くでは、食品に自然に含まれるビタミンB12を吸収するために必要な胃の中の塩酸(胃酸)が十分ではありません。そのため、50歳以上の人は、ビタミンB12の大部分を栄養強化食品やダイエタリーサプリメントから摂取する必要があります。なぜなら、多くの場合、50歳以上であっても、これらの供給源からビタミンB12を吸収することはできるからです。
- 萎縮性胃炎と呼ばれる自己免疫疾患の人は、胃の中で塩酸と内因子があまりに少ないため、ビタミンB12が十分に吸収されないかもしれません。
- 悪性貧血の人は、ビタミンB12を吸収するのに必要な内因子が作られません。その結果、食品やダイエタリーサプリメントからビタミンB12を吸収することが困難となります。医師は通常、悪性貧血をビタミンB12の注射で治療しますが、非常に高用量のビタミンB12を経口投与することも有用かもしれません。
- 胃や腸の手術(例えば、減量手術、あるいは胃の部分切除または全切除)を受けた人は、ビタミンB12を吸収するのに十分な塩酸(胃酸)と内因子が作られないかもしれません。
- セリアック病やクローン病など、胃や小腸に疾患のある人は、ビタミンB12の吸収が十分でないかもしれません。
- ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義者:動物性食品を一切摂取しない人)など、動物性食品をほとんど食べない人は、食事から十分なビタミンB12を摂取できないかもしれません。動物性食品だけが自然の状態でビタミンB12を含んでいます。妊婦や授乳婦が厳格なベジタリアンやビーガンである場合、乳児もビタミンB12が欠乏するかもしれません。
ビタミンB12が不足するとどうなりますか?
ビタミンB12は、1日に食べる量の1,000倍から2,000倍も体内に蓄えられているため、ビタミンB12欠乏の症状が現れるまでに数年かかると考えられます。
ビタミンB12が欠乏すると、倦怠感や脱力感を感じるかもしれません。これらは、ビタミンB12欠乏症の特徴である巨赤芽球性貧血の症状です。また、青白い肌、動悸、食欲不振、体重減少、不妊症などの症状が出るかもしれません。手足がしびれたり、ピリピリしたりすることがありますが、これは神経に問題がある徴候です。ビタミンB12欠乏症によるその他の症状には、平衡感覚障害、うつ、精神錯乱、認知症、記憶力の低下、口および舌の痛みなどがあります。
乳児の場合、ビタミンB12欠乏症の徴候として、成長不良、定型発達の遅れ、巨赤芽球性貧血などがあります。
ビタミンB12欠乏症は、巨赤芽球貧血のない人でも神経系を損傷する可能性があるため、できる限り早く欠乏症を治療することが重要です。
ビタミンB12が健康に及ぼす影響にはどのようなものがありますか?
ビタミンB12が健康にどのような影響を与えるのかを解明するための研究が行われています。ここでは、研究結果の例をいくつか紹介しています。
がん
ビタミンB12の値が高い人は、がんのリスクが高いという研究結果があります。しかし、他の研究では、ビタミンB12が少ない人の方が、がんのリスクが高い、あるいはビタミンB12の濃度は、がんのリスクには影響しないことが示されています。ビタミンB12のレベルが、がんのリスクに影響するかどうかを理解するためには、より多くのエビデンス(科学的根拠)が必要です。
心疾患と脳卒中
ビタミンB12サプリメント(他のビタミンB群とともに)は、心臓発作や脳卒中のリスクを高める可能性があるホモシステインの血中濃度を低下させます。しかし、ホモシステインを減少させるにもかかわらず、これらのビタミンが心血管疾患や脳卒中の発症リスクを低減させることはないという研究結果が出ています。
認知症および認知機能
ほとんどの研究で、認知症やアルツハイマー病の有無にかかわらず、ビタミンB12の血中濃度が低くても、高齢者の認知機能低下のリスクには影響しないことが示されています。高齢者の認知機能に対するビタミンB12補給の有用性をより良く理解するために、より多くの臨床試験が必要です。
エネルギーと持久力
製造業者は、エネルギー、運動パフォーマンス、持久力のためのビタミンB12サプリメントを、しばしばプロモーション(宣伝・販売促進)しています。しかし、食事から十分なB12を摂取している人には、ビタミンB12はこれらの有用性をもたらすことはありません。

ビタミンB12が害を及ぼす可能性はないのですか?
ビタミンB12は、高容量を摂取しても害はないとされています。
ビタミンB12は、医薬品あるいは他のダイエタリーサプリメントと相互作用しますか?
ビタミンB12サプリメントは、服用している薬と相互作用したり、その働きを阻害する可能性があります。以下に、いくつかの例を挙げます。
胃酸分泌抑制剤
胃酸分泌抑制剤は、胃食道逆流症や消化性潰瘍など、特定の消化器系疾患の治療のために使用されます。これらの薬は、胃の中の塩酸(胃酸)の分泌を減らすことによって食品からのビタミンB12の吸収を妨げ、ビタミンB12欠乏症を引き起こす可能性があります。胃酸分泌抑制剤には、オメプラゾール(Prilosec)、ランソプラゾール(Prevacid)、シメチジン(Tagamet)、ラニチジン(Zantac)があります。
メトホルミン
メトホルミンは、糖尿病予備軍および糖尿病の治療に使用されます。メトホルミンは、ビタミンB12の吸収を低下させ、ビタミンB12の血中濃度を低下させる可能性があります。
あなたが使用しているすべてのダイエタリーサプリメント、処方薬、市販薬について、今かかっている医療機関※の医師、薬剤師およびその他の医療従事者に伝えてください。
使用しているダイエタリーサプリメントが、あなたの薬と相互作用し得るかどうかについて教えてくれるでしょう。また、あなたが服用している薬が、体内での他の栄養素の吸収や利用に影響し得るかどうかについても説明してくれるでしょう。
ビタミンB12と健康的な食生活
米国連邦政府の「Dietary Guidelines for Americans(米国の食事指針)[英語サイト]」によれば、「栄養の多くを食品や飲料から摂取するべきである」と指摘されています。食品には、健康によいとされるビタミン、ミネラル、食物繊維やその他の成分が含まれています。場合によって、栄養強化食品やダイエタリーサプリメントは、他の方法では1つまたは複数の栄養素の必要量を満たすことができない場合(例えば、妊娠などの特定のライフステージ)に有用です。健康的な食生活の構築についての詳細は、「Dietary Guidelines for Americans(米国の食事指針)」と米国農務省の「MyPlate(私の食事)」[英語サイト]をご覧ください。
ビタミンB12に関する詳しい情報を得たい時は?
- ビタミンB12に関する一般的な情報:
- 医療関係者向け:ビタミンB12
- Vitamin B12(ビタミンB12)[英語サイト](MedlinePlus)
- ビタミンB12含有食品についての詳細な情報:
- USDA’s FoodData Central [英語サイト]
- Nutrient List for vitamin B12 (listed by food or by vitamin B12 content) (ビタミンB12の栄養素リスト(食品別[英語サイト]またはビタミンB12含有量別[英語サイト]))(USDA)
- ダイエタリーサプリメント選択に関するアドバイス:
- 健康的な食事パターンに関する情報:
(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)
2025年6月19日
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
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