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海外の情報

ビタミンD
Vitamin D

写真に掲載している食材の成分表一覧
位置 食品 100gあたりの
含有量(μg)
A 魚介類・いわし類・しらす干し・半乾燥品 61
B 魚介類・いわし類・缶詰・味付け 20
C 魚介類・しろさけ・イクラ 44
D 魚介類・身欠きにしん 50
E 魚介類・べにさけ・生 33
F きのこ類・きくらげ・乾 85.4
G 魚介類・あんこう・きも・生 110
H 魚介類・さんま・みりん干し 20
I 魚介類・いわし類・まいわし・丸干し 50
J 魚介類・ぼら・からすみ(かたくちいわし・田作り) 33(30)

[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2024年12月

ここではビタミンDの概要を読者にわかりやすく解説しています。詳細については、「医療関係者向け:ビタミンD」をご覧ください。

ビタミンDとCOVID-19については「COVID-19 に対するダイエタリーサプリメント」[英語サイト]をご覧ください。

ビタミンDとは?その働きは?

ビタミンDは、健康のために必要な栄養素です。ビタミンDは、骨を丈夫にする主成分の一つであるカルシウムの吸収を助けます。ビタミンDは、カルシウムとともに、骨を薄く、弱くして骨折しやすくする疾患である骨粗しょう症の発症を予防する働きがあります。ビタミンDは体の他の機能にも必要です。筋肉を動かすのに必要であり、神経が脳と体の間でメッセージを伝達するのにも必要です。侵入してきた細菌やウイルスを撃退するために、免疫系はビタミンDを必要とします。

ビタミンDの必要摂取量は?

ビタミンDの必要摂取量は、年齢によって異なります。下表に1日の平均推奨量を、マイクログラム(µg)と国際単位(International Units: IU)で示します。

ビタミンDの1日の平均摂取推奨量
ライフステージ 推奨摂取量
生後0〜12カ月 10 µg (400 IU)
1~13歳の小児 15 µg (600 IU)
14〜18歳の青年 15 µg (600 IU)
19~70歳の成人 15 µg (600 IU)
71歳以上の成人 20 µg (800 IU)
妊婦および授乳婦(10代も含む) 15 µg (600 IU)

ビタミンDはどんな食品から摂取できますか?

ビタミンDを自然に含む食品はほとんどなく、米国人の食生活では栄養強化食品がビタミンD摂取の大部分を占めています。食品や飲料に含まれるビタミンDの量については、栄養成分表示で確認してください。

  • 米国の牛乳はほとんどすべて、1カップあたり約3μg(120IU)のビタミンDが強化されています。豆乳、アーモンドミルク、オートミルクなど、植物性の代替品も同様に強化されているものが多くあります。しかし、チーズやアイスクリームなど、牛乳を原料とする食品は、通常、栄養強化されていません。
  • ビタミンDは、多くの朝食用シリアルや、一部のブランドのオレンジジュース、ヨーグルト、マーガリンなどの食品に添加されています。
  • 脂肪分の多い魚(マス、サケ、マグロ、サバなど)と魚の肝油は、天然のビタミンD供給源として最も優れています。
  • 牛レバー、卵黄、チーズには少量のビタミンDが含まれています。
  • きのこ類はビタミンDを少し含みますが、紫外線を照射してビタミンDの含有量を増やしたきのこもあります。

ビタミンDは太陽から摂ることができますか?

素肌が太陽に当たると、体内でビタミンDが作られます。ほとんどの人が、この方法で少なくともいくらかはビタミンDを摂っていることになります。しかし、雲や煙霧(スモッグ)、加齢、肌の色が黒いと、肌が作るビタミンDの量が減ってしまいます。また、窓越しの日光では肌がビタミンDを作りません。

日光による紫外線は皮膚がんの原因となる可能性があるため、日光に当たる時間は制限することが重要です。日焼け止めはビタミンDの生成を制限しますが、健康の専門家は、数分以上太陽の下にいるときは、紫外線防御効果(sun protection factor:SPF)15以上の日焼け止めを使用することを推奨しています。

市販されているビタミンDのダイエタリーサプリメントには、どのようなものがありますか?

ビタミンDは、マルチビタミン/マルチミネラル(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)のサプリメントに含まれています。さらに、ビタミンDのみ、またはビタミンDと他の栄養素を組み合わせたダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)にも含まれています。サプリメントに含まれるビタミンDは、D2(エルゴカルシフェロール)とD3(コレカルシフェロール)の2種類です。どちらも血中ビタミンDを増加させますが、D3はD2よりも血中ビタミンDをより多く、より長く増加させるかもしれません。ビタミンDは脂溶性なので、脂肪を含む食事やおやつと一緒に摂ると吸収率が高まります。

ビタミンDは足りていますか?

ビタミンDは食品や日光、ダイエタリーサプリメントから摂取するため、十分な量を摂取できているかどうかを知るには、血液検査で血中のビタミンD量を測定するのが一つの方法です。血液中のビタミンDは、25-ヒドロキシビタミンDと呼ばれ、ナノモル/リットル(nmol/L)またはナノグラム/ミリリットル(ng/mL)で測定されます。1 nmol/Lは0.4 ng/mLと同じです。つまり、例えば、50 nmol/Lは20 ng/mLと同じです。

  • 50 nmol/L (20 ng/mL) 以上であれば、ほとんどの人が骨と全身の健康を保つのに十分なレベルです。
  • 30 nmol/L (12 ng/mL)以下では低すぎるため、骨が弱くなり、健康に影響を与えるかもしれません。
  • 125nmol/L(50ng/mL)を超えると、高すぎて健康問題を引き起こすかもしれません。

米国では、ほとんどの人が十分なビタミンDの血中濃度を有しています。しかし、ほぼ4人に1人は、ビタミンDの血中濃度が低すぎるか、骨や全身の健康にとって不十分な状態にあると言われています。

一部の特定の集団では他と比べて十分にビタミンDを摂取できていない可能性があります:

  • 母乳育児の乳児母乳だけでは、乳児に十分な量のビタミンDを与えることはできません。母乳育児をしている乳児には、毎日10μg(400IU)のビタミンDを補充する必要があります。
  • 高齢者加齢に伴い、日光を浴びてビタミンDを作る肌の能力は低下していきます。
  • 外出を控えたり、体や頭を覆ったりして、肌が日光にさらされることが少ない人 。また、日焼け止めは、肌が生成するビタミンDの量を制限します。
  • 肌の色素が濃い人ほど、日光に当たって作るビタミンDは少なくなります。
  • クローン病、セリアック病、潰瘍性大腸炎など、脂肪の吸収を制限する疾患を持つ人。摂取したビタミンDは脂肪と一緒に腸で吸収されるため、脂肪の吸収が悪いとビタミンDも吸収されにくくなるからです。
  • 肥満の人あるいは胃にバイパス手術を受けた人。他の人よりも多くのビタミンDを必要とするかもしれません。

ビタミンDが不足するとどうなりますか?

子供の場合、ビタミンD欠乏症は、骨が柔らかく、弱く、変形し、痛みを伴う疾患である「くる病」が引き起こされます。10代の若者や大人の場合、ビタミンDが欠乏症は、骨の痛みや筋力低下を引き起こす骨軟化症を引き起こします。

ビタミンDが健康に及ぼす影響にはどのようなものがありますか?

ビタミンDが健康にどのような影響を与えるのかを解明するための研究が行われています。ここでは、研究結果の例をいくつか紹介しています:

骨の健康と骨粗鬆症

ビタミンDとカルシウムが長期的に不足すると、骨がもろくなり、骨折しやすくなります。この状態を骨粗鬆症といいます。何百万人もの高齢の女性や男性が骨粗鬆症を患っているか、発症のリスク(危険)があります。また、筋肉はバランスを保ち転倒を防ぐため、健康な骨のためにも重要です。ビタミンDが不足すると、筋肉が弱くなり、痛みを感じるかもしれません。

推奨量のビタミンDとカルシウム(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)を食品(必要に応じてサプリメント)から摂取することは、健康な骨の維持と骨粗鬆症の予防に役立ちます。ビタミンDとカルシウムのサプリメントを摂取すると、高齢者の骨強度がわずかに増加しますが、転倒や骨折のリスクを減らすかどうかは明らかではありません。

がん

ビタミンDは、乳がん、結腸がん、直腸がん、または肺がんの発症リスクを低減することはないようです。ビタミンDが、前立腺がんのリスクや生存率に影響を与えるかどうかは明らかではありません。なお、ビタミンDの血中濃度が非常に高いと、膵臓がんのリスクも高めるかもしれません。

臨床試験では、ビタミンDのサプリメント(カルシウム入り、またはなし)は、がんに罹るリスクには影響しないかもしれないが、がんで死亡するリスクはわずかに減少するかもしれないことが示唆されています。ビタミンDが、がんの予防や、がんに関連する死亡に果たす役割について、より深く理解するためにさらなる研究が必要です。

心疾患

ビタミンDは、健康な心臓や血管、正常な血圧を保つために重要な栄養素です。複数の研究では、ビタミンDのサプリメントが、心疾患の主な危険因子である血中コレステロール値や高血圧を減らすのに役立つかもしれないことが示されています。他の研究では、ベネフィット(有益性)はないとされています。過体重の人や肥満の人は、1日20μg(800IU)を超える量のビタミンDとカルシウムを摂取すると、かえって血圧を上昇させるかもしれません。全体的に、臨床試験の結果、たとえビタミンDの血中濃度が低くても、心疾患を発症したり、心疾患で死亡したりするリスクを減らすことはできないとされています。

うつ病

ビタミンDは、脳が正常に機能するために必要な栄養素です。複数の研究では、ビタミンDの血中濃度の低さと、うつ病のリスクの増加との間に関連性があることがわかっています。しかし、臨床試験の結果、ビタミンDのサプリメントを摂取しても、うつ病の予防や症状の緩和にはならないことがわかっています。

多発性硬化症(Multiple sclerosis:MS)

赤道付近に住んでいる人は、日光を浴びる機会が多く、ビタミンD濃度が高くなります。また、脳から全身にメッセージを伝える神経に影響を与える疾患であるMSを発症することもほとんどないようです。多くの研究で、血中ビタミンD濃度の低さとMSの発症リスクとの間に関連性があることがわかっています。しかし、研究者らは、ビタミンDのサプリメントがMSを防ぐ可能性について、実質的に研究できていません。MSの患者がビタミンDのサプリメントを摂取しても、症状の悪化や再発を抑えることはできないことが臨床試験で示されています。

2型糖尿病

ビタミンDは、体内の血糖値を調整する働きがあります。しかし、糖尿病のある人とない人を対象にした臨床試験では、ビタミンDの補充は、血糖値、インスリン抵抗性、ヘモグロビンA1c値(過去3カ月間の血糖値の平均値)を改善しないことが示されています。他の研究でも、ビタミンDのサプリメントが糖尿病予備軍のほとんどの人の糖尿病の発症を止めることはないことが示されています。

減量

ビタミンDのサプリメントを飲んだり、ビタミンDを多く含む食品を食べたりしても、体重は減少しません。

ビタミンDが害を及ぼす可能性はないのですか?

ビタミンDは摂り過ぎると害になる可能性があります。血中のビタミンD濃度が非常に高い場合(375nmol/Lまたは150ng/mL以上)、嘔気、嘔吐、筋力低下、錯乱、痛み、食欲不振、脱水、過度の排尿と渇き、腎臓結石を引き起こす可能性があります。ビタミンDの濃度が極端に高くなると、腎不全や不整脈を引き起こし、死に至る可能性もあります。ビタミンDの高値は、ほとんどの場合、ダイエタリーサプリメントからビタミンDを過剰に摂取することによって引き起こされます。ビタミンDは、肌が作る量を制限しているため、日光から過剰に摂るようなことはできません。

ビタミンDの1日の上限値は、食品、飲料、サプリメントなど、すべての供給源からの摂取量を含み、マイクログラム(μg)と国際単位(IU)で以下の通りです。しかし、ビタミンD欠乏症の治療のために、今かかっている医療機関※が一定期間、この上限値を超える量を推奨するかもしれません。

ビタミンDの安全な上限値
年齢 上限値
生後0〜6カ月 25 µg (1,000 IU)
7~12カ月の幼児 38 µg (1,500 IU)
1~3歳の小児 63 µg (2,500 IU)
4~8歳の小児 75 µg (3,000 IU)
9~18歳の小児 100 µg (4,000 IU)
19歳以上の成人 100 µg (4,000 IU)
妊婦および授乳婦(10代も含む) 100 µg (4,000 IU)

ビタミンDは、医薬品あるいは他のダイエタリーサプリメントと相互作用しますか?

はい、ビタミンDのサプリメントは、一部の医薬品と相互作用するかもしれません。以下に、いくつかの例を挙げます。

  • オルリスタット(Xenical、alli)は、減量のための医薬品です。食事やサプリメントから体内に吸収されるビタミンDの量を減少させる可能性があります。
  • コレステロールを下げるスタチン系薬剤は、高用量のビタミンDのサプリメントを摂取している場合、十分に効果を発揮しないかもしれません。アトルバスタチン(Lipitor)、ロバスタチン(Altoprev、Mevacor)、シンバスタチン(FloLipid、Zocor)が含まれます。
  • プレドニン(Deltasone、Rayos、Sterapred)などのステロイドは、ビタミンDの血中濃度を低下させる可能性があります。
  • チアジド系利尿薬 (Hygroton、Lozol、Microzideなど)は、ビタミンDのサプリメントを飲んでいると、血中カルシウム濃度が高くなりすぎる可能性があります。

あなたが摂取・服用しているすべてのダイエタリーサプリメントおよび処方薬、市販薬について、今かかっている医療機関※、医師、薬剤師、その他の医療関係者に伝えてください。

使用しているダイエタリーサプリメントが、あなたの薬と相互作用し得るかどうかについて教えてくれるでしょう。また、あなたが服用している薬が、体内での他の栄養素の吸収や利用に影響し得るかどうかについても説明してくれるでしょう。

ビタミンDと健康的な食生活

米国連邦政府の「米国の食事指針(Dietary Guidelines for Americans)」によると、人は栄養素の大部分を食べ物や飲み物から摂取することが望ましいとされています。食品には、健康によいとされるビタミン、ミネラル、食物繊維やその他の成分が含まれています。場合によって、栄養強化食品やダイエタリーサプリメントは、他の方法では1つまたは複数の栄養素の必要量を満たすことができない場合(例えば、妊娠中などの特定のライフステージにおいて)に有用です。健康的な食生活の構築についての詳細は、「米国の食事指針(Dietary Guidelines for Americans)」[英語サイト]と米国農務省の「私の食事(MyPlate)」[英語サイト]をご覧ください。

ビタミンDに関する詳しい情報を得たい時は?

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

米国国立衛生研究所(National Institutes of Health :NIH)のダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)が作成したこのファクトシートは、情報を提供するものであり、医師のアドバイスの代わりになるものではありません。ダイエタリーサプリメントに関する興味・関心、疑問、利用法、何があなたの健康全般のために最善となり得るかについて知りたい場合は、今かかっている医療機関※(医師、管理栄養士、薬剤師などの医療従事者)に相談することをお勧めします。この文書内で特定の製品やサービス、または機関や専門家団体からの推奨について言及した場合でも、その製品、サービス、専門家のアドバイスに対しダイエタリーサプリメント室(ODS)が支持を表明するものではありません。
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更新日:2025年6月19日

監訳:大野智、的場千佳(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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