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ビタミンB6
Vitamin B6

- 写真に掲載している食材の成分表一覧
[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版最終アクセス確認日:2024年12月
これは一般的な概要です。さらなる情報については、医療従事者向けファクトシートをご覧ください。
ビタミンB6とは?その働きは?
ビタミンB6はビタミンで、多くの食品に天然に含まれています。身体は、代謝に関わる100を超える酵素反応のためにビタミンB6を必要としています。また、ビタミンB6は、妊娠中や幼児期の脳の発達、免疫機能にも関与しています。
ビタミンB6の必要摂取量は?
ビタミンB6の必要摂取量は、年齢によって異なります。下表に1日の平均推奨摂取量を、ミリグラム(mg)で示します。
ライフステージ | 推奨摂取量 |
---|---|
生後0〜6カ月 | 0.1 mg |
7~12カ月の幼児 | 0.3 mg |
1~3歳の小児 | 0.5 mg |
4~8歳の小児 | 0.6 mg |
9~13歳の小児 | 1.0 mg |
14〜18歳の青年(男児) | 1.3 mg |
14〜18歳の青年(女児) | 1.2 mg |
19~50歳の成人 | 1.3 mg |
51歳以上の大人(男性) | 1.7 mg |
51歳以上の大人(女性) | 1.5 mg |
妊婦(10代も含む) | 1.9 mg |
授乳婦(10代も含む) | 2.0 mg |
ビタミンB6はどんな食品から摂取できますか?
ビタミンB6は、多くの食品に天然に含まれ、ほかの食品に添加されることもあります。以下のようなさまざまな食品を摂取することによって、ビタミンB6の推奨量を摂取することができます。
- 鶏肉、魚、内臓肉にはビタミンB6が豊富に含まれています。
- ジャガイモやその他の澱粉質の野菜は、米国人の主要なビタミンB6供給源の一つです。
- 果物(柑橘類を除く)も、米国人の主要なビタミンB6供給源です。

市販されているビタミンB6のダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)には、どのようなものがありますか?
市販されているサプリメント(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)には、通常ピリドキシンの形でビタミンB6が含まれています。ほとんどのマルチビタミン・ミネラルサプリメント(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)は、ビタミンB6を含まれています。ビタミンB6のみ、あるいはビタミンB6と他のビタミンB群を含むダイエタリーサプリメントもあります。
ビタミンB6は足りていますか?
ほとんどの米国人は、普段の食事から十分なビタミンB6を摂っています。しかし、特定の集団では他と比べて十分にビタミンB6を摂取できていない可能性があります:
- 腎臓が正常に機能しない人々(腎透析を受けている人や腎移植を受けた人を含む)
- 自己免疫疾患を持つ人々(例えば、関節リウマチ、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、または炎症性腸疾患などのように、免疫系が誤って自分の健康な組織を攻撃してしまう疾患)
- アルコール依存症の人
ビタミンB6が不足するとどうなりますか?
ビタミンB6欠乏症は、米国ではまれです。十分なビタミンB6が摂取できないと、さまざまな症状を引き起こします。例えば、貧血、かゆみを伴う発疹、口唇の荒れ、口角のひびわれ、舌の腫れなどです。ビタミンB6が極度に低下した場合に起こるこれ以外の症状として、抑うつ、錯乱、免疫機能の低下があります。乳児が十分なビタミンB6を摂取できないと、刺激に敏感になったり、極度の聴覚過敏やけいれん発作を引き起こしたりします。
ビタミンB6が健康に及ぼす影響にはどのようなものがありますか?
ビタミンB6が健康にどのような影響を与えるのかを解明するための研究が行われています。ここでは、研究で明らかになったいくつかの例をご紹介します。
心血管疾患
ある種のビタミンB(葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6など)は、血中のホモシステイン(アミノ酸の一種)レベルを低下させることによって、心血管疾患のリスク(危険)を低下させる可能性があるのではないかと考える一部の科学者らがいます。ビタミンB群のサプリメントによって血中のホモシステインレベルは低下しますが、実際には心疾患または脳卒中のリスクや重症度は低下しないことが研究で示されています。
がん
血中のビタミンB6レベルが低い人は、大腸がんなど、一部のがんのリスクが上がる可能性があります。しかし、これまでの研究で、ビタミンB6サプリメントが、がんを予防したり、がんによる死亡率を下げたりするという結果は示されていません。
認知機能
血中のビタミンB6レベルの高い高齢者ほど記憶力がよいことが、一部の研究で示されています。しかし、健康な人あるいは認知症の人が、ビタミンB6サプリメント(ビタミンB6単独またはビタミンB12(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)または葉酸(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)との併用)を摂取しても、認知機能あるいは気分の改善はみられないようです。
月経前症候群
ビタミンB6の摂取が月経前症候群(Premenstrual Syndrome:PMS)に及ぼす潜在的ベネフィット(利益)は、まだ確かなものではありません。しかし、ビタミンB6サプリメントが、不機嫌、易刺激性(易怒性)、物忘れ、腹部膨満、不安などのPMS症状を軽減する可能性があることを示す研究もあります。
妊娠中の悪心・嘔吐(つわり)
妊娠初期の数カ月間に、少なくとも半数の女性が悪心、嘔吐あるいはその両方を経験します。米国産婦人科学会(American College of Obstetricians and Gynecologists)は、いくつかの研究結果に基づき、妊娠中の悪心や嘔吐に対して、医師の診察のもとでビタミンB6サプリメントを摂取することを推奨しています。

ビタミンB6が害を及ぼす可能性はないのですか?
ビタミンB6は、食品や飲料から過剰に摂取することはほとんどありません。しかし、高用量のビタミンB6を1年以上にわたってサプリメントから摂取すると、重度の神経障害を引き起こし、体の動きをコントロールできなくなる可能性があります。そのような症状は、サプリメントの使用を中止すれば通常は治まります。ビタミンB6の過剰摂取によって起こるその他の症状には、痛みを伴い外観を損なう皮膚病変、光線過敏症、悪心や胸やけなどがあります。
ビタミンB6の1日の上限値は、食品、飲料、サプリメントなど、すべての供給源からの摂取量を含み、以下の通りです。この値は、医療上の理由で医師の指導下でビタミンB6を摂取している人には該当しません。
年齢 | 上限値 |
---|---|
生後0〜12カ月 | 設定数値なし |
1~3歳の小児 | 30 mg |
4~8歳の小児 | 40 mg |
9~13歳の小児 | 60 mg |
14〜18歳の青年 | 80 mg |
成人 | 100 mg |
専門家の中には、ビタミンB6の下限値を推奨する人もいます。例えば、2023年に欧州食品安全機関(European Food Safety Authority)が定めたビタミンB6の上限量は、すべての成人で1日当たり12mg、乳幼児と小児では年齢に応じて1日当たり2.2~10.7mgの範囲内となっています。
ビタミンB6は、医薬品あるいは他のダイエタリーサプリメントと相互作用しますか?
ビタミンB6サプリメントは、服用している薬と相互作用したり、その働きを阻害する可能性があります。以下に、いくつかの例を挙げます。
- ビタミンB6サプリメントは、結核の治療に使用される抗菌薬であるサイクロセリン(商品名:Seromycin)と相互作用し、この薬が引き起こす可能性のある発作や神経細胞障害を悪化させる可能性があります。
- ある種のてんかん治療薬は、ビタミンB6レベルを低下させ、薬が発作を制御する力を弱める可能性があります。
- 喘息やその他の肺疾患を治療するテオフィリン(Aquaphyllin、Elixophyllin、Theolair、Truxophyllinなど多数)を使用すると、ビタミンB6レベルが低下し、発作を誘発する可能性があります。
あなたが摂取・服用しているすべてのサプリメントおよび医薬品について、今かかっている医療機関※の医師、薬剤師、その他の医療従事者に話してください。
利用しているサプリメントが、処方薬または市販薬と相互作用あるいは阻害を起こす可能性はないのか、あるいはそれらの医薬品が、体内での栄養素の吸収、利用、分解の過程において阻害する可能性がないのかについて教えてくれるでしょう。
ビタミンB6と健康的な食生活
米国連邦政府の「米国の食事指針(Dietary Guidelines for Americans)」によると、人は栄養素の大部分を食べ物や飲み物から摂取することが望ましいとされています。食品には、健康によいとされるビタミン、ミネラル、食物繊維やその他の成分が含まれています。場合によって、栄養強化食品やダイエタリーサプリメントは、他の方法では1つまたは複数の栄養素の必要量を満たすことができない場合(例えば、妊娠などの特定のライフステージ)に有用です。健康的な食生活の構築についての詳細は、「米国の食事指針(Dietary Guidelines for Americans)」[英語サイト]と米国農務省(U.S. Department of Agriculture:USDA)の「私の食事(MyPlate)」[英語サイト]をご覧ください。
ビタミンB6に関する詳しい情報を得たい時は?
- ビタミンB6に関する一般的な情報:
- 医療関係者向け:ビタミンB6
- Vitamin B6(ビタミンB6)[英語サイト](MedlinePlus)
- ビタミンB6含有食品についての詳細な情報:
- USDAの FoodData Central[英語サイト]
- Nutrient List for vitamin B6 (listed by food or by vitamin B6 content) (ビタミンB6の栄養素リスト(食品別[英語サイト]またはビタミンB6含有量別[英語サイト])(USDA)
- ダイエタリーサプリメント選択に関するアドバイス:
- 健康的な食事パターンに関する情報:
(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)
更新日:2025年6月19日
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
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