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海外の情報

大麻(マリファナ)とカンナビノイド
Cannabis (Marijuana) and Cannabinoids

[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2024年12月

マリファナは大麻と同じものか?

しばしば「大麻」と「マリファナ」は意味の区別なく使われるが、まったく同じ意味というわけではない。

  • 「大麻」とは、植物である カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)から得られるすべての製品を指す。
  • 大麻には約540種類の化学物質が含まれている。
  • 「マリファナ」という言葉は、テトラヒドロカンナビノール(tetrahydrocannabinol :THC)を大量に含む植物 Cannabis sativa の一部または製品を指す。THCは、マリファナが人の精神状態に影響を与える主な原因となる物質である。大麻植物の中には、THCをほとんど含まないものもある。米国の法律では、これらの植物はマリファナではなく「産業用大麻」とされている。

このファクトシートでは、植物のカンナビス・サティバ(Cannabis sativa)を指す言葉として「カンナビス」を使用している。

カンナビノイドとは?

カンナビノイドとは、大麻植物に含まれる物質群のことである。

主なカンナビノイドにはどのようなものがあるか?

主なカンナビノイドはTHCとカンナビジオール(cannabidiol:CBD)である。

カンナビノイドは何種類あるのか?

THCとCBD以外にも、100種類以上のカンナビノイドが確認されている。

米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、大麻またはカンナビノイドを医療目的で使用することを承認しているか?

FDAは大麻植物を医療目的で使用することを承認していない。しかし、FDAは個々のカンナビノイドを含む複数の医薬品を承認している。

  • 大麻由来のCBDの精製された形態を含むEpidiolexは、レノックス・ガストー症候群またはドラベ症候群に伴う発作の治療薬として承認された。レノックス・ガストー症候群とドラベ症候群は、まれで重度のてんかん症候群である。
  • ドロナビノール(合成THC)を含有するマリノール(Marinol)およびシンドロス(Syndros)、ナビロン(nabilone、THCに類似した合成物質)を含有するセサメット(Cesamet)がFDAの承認を受けている。ドロナビノールとナビロンは、がん化学療法による吐き気と嘔吐の治療に使用される。また、ドロナビノールは、HIV/AIDS患者の食欲不振と体重減少の治療にも使用される。

THCやCBDを含んだダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)や食品は合法か?

FDAは、THCまたはCBDを含む製品はダイエタリーサプリメント(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)として合法的に販売できないと判断している。THCやCBDが添加された食品は、米国において州をまたいだ商取引では合法的に販売できない。米国州内で合法的に販売できるかどうかは、その州の法律と規制によって異なる。

大麻やカンナビノイドは健康状態の改善に役立つのか?

カンナビノイドを含む医薬品は、特定の稀な形態のてんかん、 がん化学療法に伴う吐き気や嘔吐、HIV/AIDSに伴う食欲不振や体重減少などの改善に役立つ可能性がある。さらに、慢性疼痛および多発性硬化症の症状に対して、大麻やカンナビノイドのわずかな効果を示唆するエビデンス(科学的根拠)もある。大麻は、緑内障には有用ではない。他の疾患に対する大麻やカンナビノイドの研究は初期段階にある。

以下の項目では、特定の健康状態に対する大麻またはカンナビノイドについての研究をまとめている。

疼痛
  • 慢性的な疼痛、特に神経障害性疼痛(神経の損傷や外傷に伴う疼痛)に対する大麻やカンナビノイドの効果についての研究が行われている。
  • 2018年に報告されたレビューでは、がん性疼痛以外のさまざま種類の慢性疼痛に対する大麻またはカンナビノイドに関する47件の研究(参加者4,743例)について検証し、わずかな有益性のエビデンスが認められた。大麻/カンナビノイドを摂取した人の29%が痛みを30%軽減したのに対し、プラセボ(不活性物質)を摂取した人の26%が軽減していた。差が小さすぎるため、患者にとって意味がない可能性がある。有害事象(副作用)は、大麻/カンナビノイドを摂取している人の方が、プラセボを摂取している人よりも多く見られた。
  • 神経障害性疼痛に対する大麻ベースの医薬品に関する16件の研究による2018年に報告されたレビューでは、そのほとんどがナビキシモルス(nabiximols、商品名Sativex:THCとCBDの両方を含むマウススプレーで、一部の国では承認されているが米国では承認されていない)と呼ばれるカンナビノイド製剤を検証しており、これらの医薬品がプラセボよりも優れた鎮痛効果をもたらすという質が低い~中程度のエビデンスが得られた。しかし、これらの研究は少数の人を対象としており、偏りがある可能性もあるため、データの信頼性は高くない。大麻由来の医薬品を服用した人は、プラセボを服用した人と比較して、副作用を理由に研究から脱落する傾向が高かった。
  • 慢性疼痛を評価したカンナビノイドに関する28件の研究(参加者2,454例)による2015年に報告されたレビューでは、カンナビノイドを服用している人の疼痛指標の改善が概ね認められたが、ほとんどの研究で統計的有意差に達していなかった。しかし、疼痛が30%以上軽減したと報告した患者の平均数は、プラセボと比較してカンナビノイドの方が多かった。
オピオイドの使用を減らすことに役立つ
  • 動物を対象とした研究では、オピオイドとTHCを併用使用することで、より少ない量のオピオイドで疼痛コントロールができる可能性があるというエビデンスが得られた。
  • 2017年に報告されたレビューでは、疼痛治療のためにオピオイドとカンナビノイドを併用使用した人を対象とした研究について検証した。これらの研究は、カンナビノイドによって、より少量のオピオイドで疼痛をコントロールできるようになる可能性を評価するためにデザインされた。9件の研究(総参加者750例)のうち3件(参加者642例)では、参加者はカンナビノイドまたはプラセボを摂取する群に無作為に割り付けられる質の高い研究デザインが用いられていた。これらの結果には一貫性がなく、質の高い研究でも、カンナビノイドがオピオイドの使用を減少させる可能性を示すものはなかった。
  • 研究者らは、大麻の利用(例えば、「医療大麻法」、特定の症状の患者が大麻を入手できるようにする州法)が、オピオイド使用の変化やオピオイドの有害性の変化と関連しているかどうかを調べるために、複数の集団の統計データを検証した。しかし、その結果には一貫性がなかった。
    • 医療用大麻法が制定されている州では、メディケア(Medicare、米国の高齢者および障害者向け公的医療保険制度)の加入者において、オピオイドと、大麻で代替可能なすべての薬剤の両方で、処方率が低いことが明らかとなった。しかし、国民健康調査のデータ(メディケアに加入している人に限らない)によると、医療用大麻の使用者は非使用者に比べて、処方薬を服用していると回答する割合が高かった。
    • 1999~2010年までのデータの解析により、医療用大麻法のある州では、オピオイド鎮痛薬の過剰摂取による死亡率が低いことが示されたが、同等の解析を2017年まで延長したところ、この種の過剰摂取による死亡率が高いことが示された。
    • 2004~2014年までの調査データの解析により、医療用大麻法の成立は、非医療目的の処方オピオイドの使用量減少とは関連がないことがわかった。したがって、医療用大麻を入手できる人は、処方オピオイドの代わりに医療用大麻を利用しているとは考えにくい。
不安

人を対象とした研究から得られたわずかなエビデンスにより、大麻またはカンナビノイドが不安を和らげるのに役立つ可能性があることが示唆されている。社交不安障害を有する人24例を対象とした1件の研究により、CBDの摂取後はプラセボの摂取後よりも、人前で話すシミュレーションテストにおいて不安が和らいだことが明らかとなった。4件の研究により、カンナビノイドは慢性疼痛の人の不安に役立つ可能性があることが示唆されている。ただし、研究の参加者は必ずしも不安障害を有しているわけではなかった。

てんかん
  • カンナビノイド、主にCBDは、他の医薬品ではコントロールするのが困難なてんかんに関連する痙攣発作の治療に対し研究されてきた。エピディオレックス(CBD経口剤) は、次の2つのてんかん性脳症に関連する痙攣発作の治療薬としてFDAに承認されている。レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut syndrome)およびドラベ症候群(Dravet syndrome)。(てんかん性脳症は、小児期に発症し、頻繁な痙攣発作と重篤な認知機能障害を伴う発作性疾患の一群である。)カンナビノイドが、他の一般的なてんかんに役立つかどうかを結論づけるには、十分な研究が行われていない。
緑内障
  • 緑内障は、眼の視神経を損傷し、視力低下や失明につながる可能性のある疾患群である。早期治療により、多くの場合、重篤な視力低下を防ぐ可能性がある。眼圧(眼の内側から外側にかかる圧力)を下げることで、疾患の進行を遅らせることができる。
  • 1970年代と1980年代に実施された研究では、大麻や大麻由来物質が眼圧を下げる可能性が示されたが、すでに使用されている治療法ほどの効果はないことが示された。大麻を使用した製品の限界の一つとして、眼圧に影響を与える時間が短いことがあげられる。
  • 最新の動物研究では、CBDを目に直接使用すると、好ましくない眼圧の上昇が起こる可能性が示されている。
HIV/AIDSの症状
  • 意図しない体重減少は、HIV/AIDS患者にとって問題となる可能性がある。FDAは、1992年にHIV/AIDS患者の体重減少に伴う食欲不振の治療に対し、カンナビノイド製品のドロナビノールを承認した。この承認は、主に139例を対象としたドロナビノールの食欲および体重変化に対する影響を評価した研究に基づいている。
  • HIV/AIDS患者の食欲や体重減少に対する大麻やカンナビノイドの研究は他にもいくつかあるが、それらの研究は短期間であり、少数の人しか組み入れられておらず、結果が偏っている可能性がある。全体として、HIV/AIDSの人に対する大麻/カンナビノイドは有益であるというエビデンスは限られている。
炎症性腸疾患
  • 炎症性腸疾患は、消化管が炎症を起こす疾患群を指す。潰瘍性大腸炎とクローン病が代表的な疾患である。症状として、腹痛、下痢、食欲不振、体重減少、発熱などがある。症状は軽度なものから重篤なものまであり、数カ月から数年の間消えて、その後再発するようなこともある。
  • 2018年に報告されたレビューでは、活動性クローン病の人を対象に、吸引大麻またはカナビスオイルとプラセボとを比較した3件の研究(総参加者93例)について検証した。この疾患の臨床的寛解に関して、大麻/カナビスオイル群とプラセボ群との間に差は認められなかった。大麻やカナビスオイルを使用している人の一部で症状が改善したが、好ましくない副作用が出た人もいた。大麻やカナビスオイルの潜在的な有益性(ベネフィット)が潜在的な有害性を上回っているかどうかは明らかにされていない。
  • 2018年に報告されたレビューでは、活動性潰瘍性大腸炎患者を対象に、吸引大麻またはCBDカプセルとプラセボとを比較した2件の研究(参加者92例)について検証した。CBDの研究では、臨床的寛解に関して、2群間に差は認められなかったが、CBDを摂取している人でより多くの副作用が認められた。吸引大麻の研究では、大麻群において8週間後に疾患活動性の指標が低下した。副作用に関する情報は報告されていない。
過敏性腸症候群
  • 過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)は、便通の変化(下痢、便秘、またはその両方)を伴う腹痛の繰り返しと定義されている。消化管(gastrointestinal:GI)の機能障害の1つであり、脳と腸の連携に関連している。
  • IBSの症状に大麻/カンナビノイドを使用することが注目されているが、この症状に対する大麻/カンナビノイドの使用については、人での研究はほとんど行われていない。したがって、大麻またはカンナビノイドが有用である可能性は不明である。
トゥレット症候群による運動障害
  • 2015年に報告された、36例の参加者を対象とした2件の小規模なプラセボ対照試験のレビューでは、合成THCカプセルがトゥレット症候群の患者のチックの重症度を大幅に改善する可能性が示唆されている。
多発性硬化症
  • 多発性硬化症の症状に対し、ドロナビノール、ナビロン、大麻抽出物、ナビキシモルス(nabiximols、商品名:サティベックス。THCとCBDを含有するマウススプレー。米国以外の25カ国以上で承認されている)、吸引大麻など、複数の大麻/カンナビノイド製品が研究されている。
    • 複数のカンナビノイド製剤を対象とした17件の研究(総参加者3,161例)のレビューによると、カンナビノイドは多発性硬化症患者の痙縮 (患者による評価)、疼痛、膀胱の問題にわずかな改善をもたらしたが、客観的評価基準で測定した場合、カンナビノイドは痙縮を有意に改善しなかったことが示された。
    • 総参加者1,134例を対象とした6件のプラセボ対照臨床試験のレビューでは、カンナビノイド(ナビキシモルス、ドロナビノール、およびTHC/CBD)は、プラセボと比較して、多発性硬化症患者の痙縮に対するアシュワーススケール(Ashworth scale、痙縮評価指標 )において平均改善度が大きいと結論づけられたが、統計的有意には達しなかった。
    • 2014年に米国神経学会(American Academy of Neurology)が発行したエビデンスに基づいたガイドラインでは、ナビキシモルスは、主観的な痙縮症状の改善におそらく効果があり、客観的な痙縮指標や膀胱性尿失禁を減少させるにはおそらく効果がなく、多発性硬化症に関連する振戦を軽減するにはおそらく効果がない可能性があると結論づけた。このガイドラインでは、2件の小規模研究に基づいて、多発性硬化症患者における吸引大麻の効果を評価するにはデータが不十分であると結論づけた。
    • 多発性硬化症および痙縮を有する患者におけるナビキシモルスに関する3件の研究(参加者666例)による2010年に報告された解析では、ナビキシモルスは、通常3週間以内に主観的な痙縮を減少させ、他の治療に加えてナビキシモルスを投与された人の約3分の1で痙縮が30%以上改善したことが明らかになった。ナビキシモルスはある程度安全であると考えられた。
がん化学療法に伴う吐き気と嘔吐
  • がん化学療法に伴う吐き気や嘔吐を治療するためのカンナビノイド製品のドロナビノールまたはナビロンに関する23件の研究(参加者1,326例)の2015年に報告されたレビューでは、これらの製品はプラセボよりも有用であり、この目的に使用される他の薬と同等の効果が得られたことが明らかになった。しかし、カンナビノイド薬を服用すると、めまいや眠気などの副作用を感じた人が多かった。
  • がん化学療法に伴う吐き気や嘔吐を治療するためのドロナビノールおよびナビロンに関する研究は、主に1980年代と1990年代に行われたもので、当時の化学療法の種類や制吐剤の選択肢を反映したものであり、現在のものではない。
心的外傷後ストレス障害(Post traumatic Stress Disorder:PTSD)
  • PTSDの人の一部は、症状を和らげようと大麻やそれを原料とした製品を使用し、効果があると信じている人もいるが、実際に役立つかどうかについての研究はほとんど行われていない。
    • 1件の非常に小規模な研究(10例)では、カンナビノイド製品のナビロンは、PTSDに関連した悪夢を和らげるのにプラセボよりも効果があった。
    • 複数の観察研究(大麻を使用するかどうかを自分で選択したPTSDの人に関するデータを集めた研究)では、大麻がPTSD症状に有用か有害かについての明確なエビデンスは得られていない。
睡眠問題
  • 健康問題(多発性硬化症、PTSD、慢性疼痛など)を有する人を対象とした大麻またはカンナビノイドに関する研究の多くは、睡眠に対する効果について検証してきた。多くの場合、大麻/カンナビノイドを摂取している人において、睡眠の質の向上、睡眠障害の減少、または眠りにつくまでの時間の短縮に関するエビデンスが認められている。しかし、大麻製品が睡眠に直接影響を与えたのか、あるいは疾患の症状が改善したために睡眠が改善したのかどうかは不明である。他の疾病を患っていない人の睡眠障害に対する大麻/カンナビノイドが与える影響については不明である。

大麻やカンナビノイドの安全性

大麻とカンナビノイドの安全性については、複数の懸念が提起されている。

  • 大麻の使用は自動車事故のリスク増加と関連している。
  • 妊娠中の大麻の吸引は、低体重児出産に関連している。
  • 大麻を使用する人の中には、渇望感、離脱症状、自制の欠如、個人的および職業的な責任への悪影響などの症状を伴う大麻使用障害を発症する人もいる。
  • 大麻を使用している青少年は、成人よりも大麻使用障害を発症する可能性が4~7倍高いと言われている。
  • 大麻の使用は、高齢者の外傷リスクの増加と関連している。
  • 大麻の使用、特に頻繁に使用することは、統合失調症やその他の精神病(重篤な精神疾患)の素因を持つ人の発症リスクが高くなることと関連している。
  • マリファナは起立性低血圧(立ちくらみ)を引き起こす可能性があり、失神や転倒の危険性を高める可能性がある。
  • FDAはTHCを含むベイピング製品を使用しないよう一般の人に警告している。このタイプの製品は、ベイピング(マリファナなどの蒸気を吸い込むこと)に関連する重篤な肺損傷の報告症例の多くに関与している。
  • 小児が意図せずに大麻やその製品を摂取し、救急外来での治療や入院を必要とするほど重篤な状態にかかったという報告が多数ある。THCを含むキャンディーを誤って摂取して体調が悪くなった人では、一般的に小児は成人よりも重篤な症状があり、長い入院期間が必要であった。
  • 長期間大量の大麻を使用していた人の一部には、再発する重篤な嘔吐を伴う症状がみられた。
  • 大麻/カンナビノイド製品が微生物、農薬、その他の物質で汚染されているという報告がある。
  • 一部の大麻/カンナビノイド製品には、ラベルの記載とは大幅に異なる量のカンナビノイドが含まれている。

CBDが害を及ぼす可能性はないのですか?

Epidiolex(FDA承認の処方薬として販売されている精製CBD製品)とは異なり、市販のCBD製品は、ラベルに記載されているよりもCBDの含有量が多かったり少なかったりすることがあり、また、処方薬よりも規制当局の監視が厳しくないため、THCなどの汚染物質が含まれていることもある。

CBDには、覚醒度の低下、気分の変化、食欲減退、下痢などの消化器症状などの副作用がある可能性がある。CBDはまた、THCを常用している人に精神病的作用や認知障害をもたらす可能性がある。さらに、CBDの使用は肝障害、男性の生殖機能への害、他の薬との相互作用と関連している。下痢、眠気、肝機能検査値の異常、薬との相互作用などの副作用は、CBD製品に混入した汚染物質によるものではなく、CBDそのものに起因するものと思われる。これらの副作用は、医薬品としての承認前のEpidiolexの臨床試験に参加した一部の人々にも見られた。

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)による研究助成

NCCIHが資金を援助している複数の研究では、主要ではないカンナビノイド(THC以外の物質)やテルペン(terpenes、大麻に含まれる物質で、香りや味など、植物に特有の特性を与えるもの)を含む、大麻に含まれる物質の潜在的な痛みを緩和する特性や作用機序を検証している。これらの研究の目的は、大麻の成分に関するエビデンスを強化し、痛みの管理に潜在的な役割があるかどうかを検証することである。

NCCIHは、大麻とカンナビノイドに関する以下のような他の研究も支援している。

  • 慢性腰痛患者を対象とした、食用大麻とその成分が疼痛、炎症、思考に及ぼす影響についての観察研究
  • 酵母でカンナビノイドを合成する技術を開発するための研究(大麻植物から得るよりも低コストで合成できる)
  • 大麻の吸引と2型糖尿病との関連を評価する研究

さらに考慮しなければならないこと

  • 医療機関の受診を先延ばしにするために大麻やカンナビノイドを使用すべきではありません。
  • 自分の健康を守るために、自分が行っている補完療法について今かかっている医療機関※に相談しましょう。そうすることで、十分な情報を得た上で意思決定をすることができます。

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

消費者向け

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関連ファクトシート

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレコム・リレー・サービス(Telecommunications relay service:TRS)7-1-1
ウェブサイト: https://www.nccih.nih.gov[英語サイト]
E-mail:info@nccih.nih.gov(メール送信用リンク)

■ 科学を知ろう

NCCIHと米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は、科学研究の基礎と用語を理解し、自分の健康について十分な情報を得た上で意思決定できるようにするためのツールを提供しています。科学を知ろうは、インタラクティブなモジュール、クイズ、ビデオなどのさまざまな教材や、消費者が健康情報を理解できるように設計された連邦政府のリソースから有益なコンテンツへのリンクを提供しています。

Explaining How Research Works(研究のしくみを知る)[英語サイト](NIH)
科学を知ろう:科学雑誌の論文を理解する方法
Understanding Clinical Studies(臨床試験を理解する)[英語サイト](NIH)

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine, PubMed®:NLM)のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「補完・統合医療に関する情報をPubMed® で検索する方法」をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/[英語サイト]

■ MedlinePlus

健康に関する質問に答えるのに役立つリソースを提供するために、MedlinePlus(米国国立医学図書館のサービス)では、国立衛生研究所をはじめ、他の政府機関や健康関連組織からの信頼できる情報をまとめています。

ウェブサイト: https://www.medlineplus.gov/[英語サイト]

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主な参考文献

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謝辞

NCCIHは、この出版物の2019年版からの更新における貢献に対して次の人に感謝します。D. Craig Hopp, Ph.D., Inna Belfer, M.D., Ph.D., and David Shurtleff, Ph.D., NCCIH,

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米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

更新日:2025年6月19日

監訳:大野智、富塚啓貴(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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