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亜鉛
Zinc

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[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版最終アクセス確認日:2024年12月
これは医療関係者向けです。平易な言葉で書かれた概要については、「一般の方へ:亜鉛(Zinc)」をご覧ください。
はじめに
亜鉛は、元来、食品に含有される必須ミネラルであり、人工的に添加されたりするほか、ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)としても利用されている。亜鉛は、風邪薬として販売されている一部の風邪トローチや市販薬、義歯用接着クリームにも含まれている。
亜鉛は、細胞の代謝にあらゆる面で関与している。何百となる酵素の触媒活性に必要であり、免疫機能、タンパク質とDNAの合成、創傷治癒、細胞のシグナル伝達と分裂などを強化する役割を担っている[1-4]。また、亜鉛は妊娠期、乳児期、小児期、青年期の健康な成長と発達をサポートし、味覚にも関与している[2,3,5]。
体内の亜鉛の総量は、おおよそ女性で約1.5g、男性で約2.5gである[2]。この亜鉛のほとんどは、骨格筋と骨に貯蔵されている[1-3]。
亜鉛のホメオスタシス(恒常性)を維持するプロセスは、食事からの亜鉛の吸収、消化管への排泄、消化管内腔での再吸収である[2,3]。一般に亜鉛の摂取量が増加すると、吸収量も増加するが、その吸収率は低下する[2,3]。
亜鉛の状態を評価するために、臨床現場では一般的に血清または血漿の亜鉛レベルが使用されている。健康な人の場合、血清または血漿中の亜鉛の量は80~120 μg/dL(12~18 mcmol/L)である[2]。血清亜鉛濃度が女性で70μg/dL、男性で74μg/dL未満であれば、亜鉛の状態が不十分であることを示している。しかし、血清と血漿のどちらの測定法にも重大な限界がある。血清中の亜鉛濃度は、患者の性別や年齢、採血時間(朝か夕方か)と関連があり、食事やサプリメントによる亜鉛摂取量と必ずしも相関があるわけではない[6]。亜鉛濃度は、感染症、ステロイドホルモンの変化、体重減少や疾患による筋肉の異化など、他の要因によっても変動する[1,3]。臨床医は患者の亜鉛の状態を評価する際に、危険因子(カロリー摂取不足、慢性的なアルコール摂取、吸収不良の消化器系疾患など)と亜鉛欠乏症の徴候(乳幼児の成長障害など)を考慮する[1]。
推奨摂取量
亜鉛およびその他の栄養素の推奨摂取量は、全米科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine) の食品・栄養委員会(Food and Nutrition Board:FNB)が策定した食事摂取基準(Dietary Reference Intakes:DRI)で規定されている。DRIとは、健康な人の栄養摂取量を計画・評価するために用いられる一連の基準値の総称である。これらの基準値は年齢や性別によって異なり、次のような項目がある。
- 推奨所要量(推奨量、Recommended Dietary Allowance、RDA):ほぼすべて(97%~98%)の健康な人の栄養所要量を満たすのに十分な1日あたりの平均摂取量であり、個人の栄養的に適切な食事を計画する際によく用いられる。
- 適正摂取量(目安量、Adequate Intake:AI):このレベルの摂取は、栄養の適切性を確保するために想定されており、RDAを策定するためのエビデンス(科学的根拠)が不十分な場合に設定される。
- 推定平均必要量(Estimated Average Requirement:EAR):健康な人の50%の必要量を満たすと推定される1日の平均摂取量。通常、集団の栄養摂取量を評価し、栄養的に適切な食事を計画するために使用される。また、個人の栄養摂取量の評価にも使用できる。
許容上限摂取量(上限量、Tolerable Upper Intake Level:UL):健康への悪影響はないと思われる1日の最大摂取量。
年齢 | 男性 | 女性 | 妊娠 | 乳婦 |
---|---|---|---|---|
誕生0~6カ月* | 2 mg | 2 mg | ||
生後7~12カ月 | 3 mg | 3 mg | ||
1~3歳 | 3 mg | 3 mg | ||
4~8歳 | 5 mg | 5 mg | ||
9~13歳 | 8 mg | 8 mg | ||
14~18歳 | 11 mg | 9 mg | 12 mg | 13 mg |
19歳以上 | 11 mg | 8 mg | 11 mg | 12 mg |
*適正摂取量(AI)、健康な母乳栄養児における亜鉛平均摂取量に相当。
亜鉛の供給源
食品
亜鉛を最も多く含む食品は、食肉(哺乳動物の肉)、魚類、海産物である[3]。牡蠣には他のどの食品よりも多くの亜鉛が含まれているが、米国では牛肉がよく食べられているため、食品からの亜鉛摂取量の20%を占めている[7]。卵や乳製品にも亜鉛が含まれている[3]。豆類、ナッツ類、全粒粉には亜鉛が含まれているが、これらの食品にはフィチン酸塩が含まれているため、亜鉛のバイオアベイラビリティー(生物学的利用能)は動物性食品よりも低い。植物中のリンの貯蔵形態であるフィチン酸塩は、腸内で亜鉛などの一部のミネラルと結合して不溶性の複合体を形成し、亜鉛の吸収を阻害する[1-3,8]。果物や野菜に含まれている亜鉛はわずかである。
亜鉛が強化された朝食用シリアルは、米国の食生活における亜鉛の主要な供給源となっている[3]。米国の小児および青年期の人では、1日の亜鉛摂取量の12.1%から18.4%が強化食品から摂取されている[9]。
食品から吸収される亜鉛の量は、食事に含まれる植物性食品(つまりはフィチン酸塩)の量によって、5%から50%以上まで幅がある[3]。動物性食品と植物性食品を組み合わせた混合食や食事からの亜鉛の吸収は、動物性食品のみを含む食事からの吸収よりも低い[10]。
表2は、さまざまな食品とその1食分あたりの亜鉛含有量を示す[11]。
食品(1オンスは約28g、1カップは240ml) | 1回当たりの 摂取量(mg) |
%DV* |
---|---|---|
牡蠣(東部)、養殖、生、3オンス(約85g) | 32 | 291 |
牡蠣(太平洋産)、加熱調理、3オンス(約85g) | 28.2 | 256 |
牛肉、サーロイン、ロースト、3オンス(約85g) | 3.8 | 35 |
ワタリガニ、調理済み、3オンス(約85g) | 3.2 | 29 |
朝食用シリアル類、亜鉛の1日摂取量25%添加、1食分 | 2.8 | 25 |
シリアル、オーツ、通常またはインスタント、非栄養強化、水で過熱調理、1カップ(240ml) | 2.3 | 21 |
かぼちゃの種、ロースト、1オンス(約28g) | 2.2 | 20 |
豚肉、ヒレ肉(チョップ)、骨付き、焼いたもの、3オンス(約85g) | 1.9 | 17 |
七面鳥、むね肉、皮なし、ロースト、3オンス(約85g) | 1.5 | 14 |
チーズ、チェダー、1.5オンス(約42g) | 1.5 | 14 |
エビ、加熱調理、3オンス(約85g) | 1.4 | 13 |
レンズ豆、茹でたもの、1./2カップ(120ml) | 1.3 | 12 |
イワシ、オイル漬け缶詰、骨付きの身、水切り、3オンス(約85g) | 1.1 | 10 |
ギリシャヨーグルト(プレーン)、6オンス(約170g) | 1.0 | 9 |
牛乳、乳脂肪1%、1カップ(240ml) | 1.0 | 9 |
ピーナッツ、乾煎り、1オンス(約28g) | 0.8 | 7 |
玄米、長粒米、加熱調理、1/2カップ(120ml) | 0.7 | 6 |
卵、大、1個 | 0.6 | 5 |
赤インゲン豆、缶詰、1/2カップ(120ml) | 0.6 | 5 |
パン、全粒粉、1切れ | 0.6 | 5 |
魚、鮭、加熱調理、3オンス(約85g) | 0.5 | 5 |
ブロッコリ、刻み、加熱調理、1/2カップ(120ml) | 0.4 | 4 |
白米、長粒米、加熱調理、1/2カップ(120ml) | 0.3 | 3 |
パン、精白、1切れ | 0.2 | 2 |
プチトマト、生、1/2カップ(120ml) | 0.1 | 1 |
ブルーベリー、生、1/2カップ(120ml) | 0.1 | 1 |
*DV = 1日摂取量。米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、消費者が総合的な食生活の中で、食品やダイエタリーサプリメントの栄養素の含有量を比較するためにDVを設定した。亜鉛のDVは、成人および4歳以上の小児で11mgである[12]。FDAは、亜鉛が食品に添加されていない限り、亜鉛含有量を食品ラベルに表記することを要求していない。DVの20%以上を含む食品は、その栄養素を多く含む供給源と考えられるが、DVの低い割合の食品も健康的な食生活に寄与している。
米国農務省(U.S. Department of Agriculture:USDA)のFoodData Central[英語サイト]では、多くの食品の栄養素含有量をリストアップし、栄養素含有量別および食品別に整理された、亜鉛を含む食品の総合リストを提供している。
ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)
亜鉛は、亜鉛だけを含むサプリメント、亜鉛と他の成分を組み合わせたサプリメント、そして多くのマルチビタミン/マルチミネラル製品(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)で利用できます [13]。サプリメントは、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、グルコン酸亜鉛など、さまざまな形態の亜鉛のいずれかを含む[14]。ダイエタリーサプリメントのラベルの栄養成分表には、亜鉛含有化合物の総重量ではなく、製品に含まれる亜鉛の元素の量が記載されている。
クエン酸亜鉛やグルコン酸亜鉛を含むサプリメントからの亜鉛の吸収率は、若年成人では約61%と同程度であり、酸化亜鉛を含むサプリメントからの吸収率は50%である [15]。亜鉛のサプリメントと同時に25mg以上の元素鉄を含むサプリメントを摂取すると、亜鉛の吸収と血漿中の亜鉛濃度が低下する可能性がある[16-19]。しかし、栄養強化食品や強化食品に添加されている鉄は、亜鉛の吸収を阻害することはない。
その他の供給源
亜鉛を含む製品には、ホメオパシー薬と表示されたものや、風邪の治療や予防、インフルエンザ症状の対処、免疫システムの健康維持のために市販されている鼻腔スプレーがある。
義歯用接着剤クリームの中には、接着性を高めるために17~34mg/gの亜鉛を含むものがある[20]。指示通りに使用すれば、これらの製品から1日当たり0.5~1.5gの亜鉛を摂取することになるが、その程度であれば心配はない。しかし、慢性的な過剰使用は亜鉛中毒を引き起こし、銅欠乏症や神経系疾患を引き起こす可能性がある。このような毒性は、合計2.4 g以上の義歯クリームチューブを毎週少なくとも1本、数年間使用している人で報告されている[21-23]。多くの義歯用クリームは亜鉛を排除するように改良されている。

亜鉛の摂取状況
米国ではほとんどの人が十分な量の亜鉛を摂取しているが、特定の年齢層、特に高齢者は、ほとんど摂取していない可能性がある。食品からの1日の平均亜鉛摂取量は、2~11歳の小児で7.6~9.7mg/日、12~19歳の小児と10代で10.1mg/日、19歳以上の男性で13mg/日、女性で9.2mg/日である[24]。食品とサプリメントからの1日の平均亜鉛摂取量は、2~11歳の小児で8.4~10.4mg/日、12~19歳の小児と10代で10.7mg/日、男性で16.4mg/日、女性で12.6mg/日である。20~40歳の妊婦では、亜鉛の平均摂取量は食品のみから12.4mg/日、食品とサプリメントから22.7mg/日である[25]。
米国の2~8歳の小児のうち、食品やサプリメントからの亜鉛の摂取量がEARを下回っているのは1%未満である。14~18歳の男児では、1%がEARを下回る摂取量である [9]。しかし、この年齢層の女児では、その割合は20.9%とはるかに高い。2005年から2016年の米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)のデータによると、19歳以上の米国成人のうち、15%が亜鉛の摂取量がEARを下回っている [26]。
米国では、2011~2014年のNHANESデータの解析によると、10歳未満の小児の3.8%、10歳以上の男性の8.6%、女性の8.2%の血清亜鉛濃度が年齢と性別の充足のための血清亜鉛のカットオフ値を下回っている[6,8]。研究者らは、統計的定義に基づいてBiomarkers of Nutrition for Development Zinc Expert Panelが作成したカットオフを使用した。10歳未満の小児で57~65μg/dL、10歳以上の女性で69~70μg/dL、10歳以上の男性で61~74μg/dL [8]。
血清または血漿濃度に基づく亜鉛欠乏症は、低所得国や中所得国においてはるかに一般的である[27]。各国の食糧に含まれる亜鉛とフィチン酸の解析と発育阻害の有病割合に基づく推定によると、世界人口の約17%は亜鉛欠乏症であると考えられている[28]。
亜鉛欠乏症
亜鉛は全身で多くの働きをするため、亜鉛欠乏症はさまざまな組織や臓器に影響を与える [29]。亜鉛欠乏症は、皮膚、骨、消化器系、生殖器系、中枢神経系、免疫系などに影響を及ぼす可能性がある [29]。
亜鉛欠乏症の症状は年齢によって異なる[29]。乳幼児や小児では、下痢が一般的な徴候である。年長児になると、脱毛症、成長の遅れ、頻繁な感染症がより一般的になる。乳幼児でも小児でも、亜鉛欠乏症は成長を損ない、食欲不振や成人になってからの生殖機能に問題が生じさせる可能性がある[2,3,27,30]。多くの低・中所得国を含む、(肉や魚などから)吸収可能な亜鉛の摂取量が少ない集団では、亜鉛欠乏症は、乳幼児の疾病率(早産や低体重出産など)や死亡率、母親の疾病率、出生時の有害事象のリスク(危険)を高め、妊娠中の女性やその乳児の健康に影響を及ぼす[27]。また、亜鉛欠乏症は、味覚や嗅覚に支障をきたすことがある[5]。高齢者における亜鉛欠乏症は、創傷治癒の遅れや認知機能・心理的機能の変化を引き起こす可能性がある[29]。
亜鉛不足のリスク群
以下のグループは、亜鉛の摂取量が不十分である可能性が最も高いグループである。
胃腸障害の人または肥満手術を受けた
一般的に、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD、潰瘍性大腸炎やクローン病を含む)または胃腸の切除を伴う肥満手術の人は亜鉛が不十分であることが多い。これは、食事の摂取不足、吸収低下、炎症の結果としての尿中排泄増加のためである[31,32]。IBD患者の約15~40%は、疾患進行期および寛解期に亜鉛欠乏症である[31,32]。亜鉛欠乏症の患者は、IBDに関連する症状(貧血、出血、腹部や肛門周囲の瘻孔など)のリスク(危険)が高まり、入院や手術が必要となる可能性が高くなる。亜鉛の補充はこれらのリスク(危険)を減らすかもしれない[31]。
新たにセリアック病と診断された人の約50%は、亜鉛が不足または欠乏するリスク(危険)が高い。このリスク(危険)には、亜鉛の吸収不良や粘膜炎症が関与している可能性がある[33,34]。セリアック病患者がグルテンを含む食品を避けても、これらの欠乏が続くことがある[34]。
ベジタリアン(特にビーガン)
ベジタリアンは通常、亜鉛と結合して吸収を阻害するフィチン酸塩を含む豆類や全粒粉を大量に食べるため、ベジタリアン食からの亜鉛のバイオアベイラビリティー(生物学的利用能)は非ベジタリアン食より低い[2]。さらに、肉には生物学的に利用可能な亜鉛が多く含まれている[35]。その結果、ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義者:動物性食品を一切摂取しない人)は、通常、非ベジタリアンよりも亜鉛の食事からの摂取量が少なく、血清亜鉛濃度も低くなっている[36]。
ベジタリアンとビーガンの人は、豆類、穀物、種子を調理する前に数時間水に浸すなど、フィチン酸塩による亜鉛の結合を減らし、亜鉛のバイオアベイラビリティを高める特定の調理法を用いるとよい[37]。さらに、発酵食品に含まれる有機酸が亜鉛の吸収を高めるかもしれない[37]。ベジタリアンやビーガンの人にも、亜鉛のサプリメントが有用であるかもしれない [38]。
妊娠中または授乳中の女性
妊娠中は胎児の成長に合わせて亜鉛の必要量が増えるため、FNBは妊娠中の女性が同年齢の非妊娠女性より3mg/日多く亜鉛を摂取することを推奨している[1,3]。同様に、授乳中の女性も亜鉛の必要量は4mg/日増加する。
2001~2014年のNHANESのデータによると、米国では妊婦の11%が食品とサプリメントからの亜鉛の総摂取量がEARを下回っている[25]。妊娠中の血清亜鉛濃度が低いと、子癇前症や低出生体重児のリスク(危険)が高まる可能性がある[39,40]。妊娠中の定期的な亜鉛補充は、低出生体重児、死産、新生児死亡のリスクを下げないようだが、早産のリスクを下げるかもしれない[41]。
授乳期には、亜鉛を多く含む食品を十分に摂取することで、母乳中の亜鉛濃度が増加することを示す研究もある[42,43]が、すべてではない[44]。授乳期の亜鉛補充が母乳の亜鉛含有量を増やすかどうかについても、エビデンスは相反している[45,46]。
母乳のみで育てられた年長児
母乳中の亜鉛濃度は生後1カ月でピークに達し、その後9カ月目までに約75%減少する[3]。この急激な低下により、生後6カ月以降の乳児の亜鉛の必要量は母乳だけでは十分に摂取することができない[3,47]。母乳に加えて、7~12カ月の乳児が亜鉛を含む月齢に応じた食品または調整乳を摂取することを推奨している[1]。
鎌状赤血球症(sickle cell disease :SCD)の小児
SCDの小児は、鉄過剰症の治療に用いられるキレーション療法の結果として、亜鉛の不足または欠乏のリスク(危険)が高い [3,48]。SCDで亜鉛が不足している小児は、同年齢の小児に比べて身長が低く、体重も少ないことが多く、成熟の遅れ、血管閉塞性疼痛発作(体のある部分の血流が止まること)、それに伴う入院のリスクが高い [48]。亜鉛の補充は、SCDの小児の成長を促進し、細菌感染、入院、および血管閉塞性疼痛発作のリスク(危険)を減少させるかもしれない[3,48,49]。
アルコール使用障害のある人
アルコール使用障害のある人の30~50%で低亜鉛状態が認められる[1,50]。エタノールの摂取は亜鉛の腸管吸収を低下させ、亜鉛の尿中排泄を増加させる[1,50,51,52]。さらに、アルコール使用障害のある人の多くは、摂取する食品の種類と量は限られているため、亜鉛摂取量が不十分となる [53,54]。

亜鉛と健康
ここでは、亜鉛が関与すると考えられる疾患や障害として、風邪、小児の肺炎、小児および成人のHIV、(感染症に起因することが多い)小児の急性下痢、加齢黄斑変性症(age-related macular degeneration:AMD)、2型糖尿病(type 2 diabetes:T2D)を取り上げる。亜鉛とCOVID-19については「COVID-19 に対するダイエタリーサプリメント」をご覧ください。
風邪
研究者らは、亜鉛が鼻粘膜におけるライノウイルスの結合と複製を直接阻害し、炎症を抑制することによって、風邪の症状の重症度と持続時間を減らす可能性があるという仮説を立てている [55,56]。風邪に対する亜鉛サプリメントの有用性を検証する研究では、亜鉛は通常、口や喉に一時的に「貼り付ける」トローチやシロップで投与され、これらの部位でライノウイルスと接触するようにする。
風邪に対する亜鉛の有用性を検証した臨床試験の結果は一貫していない。しかし、全体として、トローチやシロップの形態の亜鉛サプリメントは、風邪をひいた直後に摂取すると、症状の重症度ではなく期間を短縮するようである[57-60]。
ある臨床試験では、成人50例が風邪をひいてから24時間以内に酢酸亜鉛トローチ(亜鉛13.3mg)またはプラセボを起きている間の2~3時間ごとに、風邪の症状がある限り摂取した。亜鉛トローチは、プラセボと比較して、風邪の罹病期間を3日、風邪の症状(咳、鼻汁、筋肉痛)の重症度を有意に減少させた[61]。別の臨床試験では、実験的に風邪を誘発した成人273例が、最大14日間、グルコン酸亜鉛(亜鉛13.3mg)または酢酸亜鉛(5.0mgまたは11.5mg)のトローチを1日6個、起きている間に2~3時間おきに摂取する群と、プラセボを摂取する群に無作為に割り付けられた[62]。グルコン酸亜鉛のサプリメントは、プラセボよりも風邪の罹病期間が1日短かったが、トローチは症状の重症度に影響を与えなかった。さらに、5.0mgと11.5mgの酢酸亜鉛トローチは、風邪の罹病期間と重症度のいずれにも影響を及ぼさなかった。同じ報告に記載されている2件目の試験では、風邪をひいた成人281例を対象に、グルコン酸亜鉛も酢酸亜鉛トローチも、プラセボと比較して風邪症状の罹病期間や重症度に影響を与えなかった[62]。
2021年に報告されたシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、市中感染型ウイルス性呼吸器感染症にかかった、またはライノウイルスを接種された参加者総数5,446例(ほとんどが65歳未満の成人)を含む28件のランダム化比較試験(上記の3件を含む)が対象であった[57]。ほとんどの試験では、酢酸亜鉛またはグルコン酸亜鉛のトローチの形態で、1日の総用量45~300mgを2週間まで投与されたが、いくつかの試験では鼻腔スプレーやゲルが使用されている。亜鉛を含む製品を使用した参加者では、プラセボを使用した参加者より平均2日早く症状が治まった。しかし、1日の平均的な症状の重症度は、亜鉛を投与した人と投与しなかった参加者の間で差はなかった。先のシステマティックレビューの著者らは、75mg/日を超える用量の亜鉛トローチの使用は風邪の罹病期間を短縮したが、それ以下の用量では有用性がなかったと結論づけた[59]。
風邪の症状の重症度と罹病期間を軽減するために亜鉛を含むトローチ、ゲル、スプレーの使用に関して一般的な推奨を行う前に、最適な投与量、製剤、投与スケジュールを決定するための追加研究が必要である[58-60]。
小児の肺炎
低所得国では、5歳未満の小児の全死亡の15%、全小児期死亡の19%を肺炎が占めている[63]。低亜鉛状態により、小児では肺炎にかかりやすく、病状が重篤となり、死亡リスク(危険)が高くなる[64-67]。
いくつかの臨床試験では、肺炎の罹患率に対する亜鉛補充の有用性や肺炎の補助的な治療法としての有用性が検討されている。2016年に報告された、低所得国での6件の試験を対象としたコクランレビューでは、2~59カ月の小児総数5,193例に10~20mgの亜鉛を最長20カ月間補充したところ、肺炎の罹患率および有病率がプラセボより低くなった[63]。
しかし、ほとんどの研究では、小児の肺炎治療に亜鉛のサプリメントを補助的に使用しても、死亡率や回復までの期間には影響しないことが示唆されている。2020年に報告されたシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、低・中所得国において、ほとんどが重篤な肺炎の2~60カ月児を含む11件の臨床試験を対象とした[68]。肺炎による死亡率および重篤な肺炎からの回復までの期間は,10~20 mg/日の亜鉛のサプリメントを7~14日間または退院まで補充した小児とプラセボを補充した小児で差がなかった。生後2カ月~60ヶ月の小児2,216例を対象とした6件のプラセボ対照試験の別のメタアナリシスでは、亜鉛の補充は重篤な肺炎による死亡率を減少させるが、治療の失敗や抗菌薬治療の変更の割合は減少させないことがわかった[69]。
小児および成人におけるHIV
HIVに感染すると、食品からの亜鉛の吸収と代謝が低下する [3]。また、HIV感染者は下痢をすることが多いため、亜鉛が過剰に失われる可能性がある。これらの理由から、HIV感染者は血漿や血清の亜鉛レベルが低いことが多い。
複数の臨床試験で、HIV感染に対する罹患率や死亡率を管理するために亜鉛の補充は有益な効果があることが得られた。例えば、ある試験では、HIVに感染し、血漿亜鉛レベルが75μg/dLより低い成人231例を、亜鉛のサプリメント(女性なら12mg/日、男性なら15mg/日)とプラセボに18カ月間ランダムに割り付けた[70]。亜鉛のサプリメントは、免疫不全イベント(CD4+T細胞数が200cells/mL未満)の発症率を76%、下痢の発症率を60%減少させたが、死亡率には影響を与えなかった。イランで行われた別の試験では、成人HIV患者146例を、亜鉛50mg/日、セレニウム(セレン)200μg/日、またはプラセボに無作為に割り当て6カ月間補充し、さらに3カ月間参加者を追跡調査したところ、亜鉛のサプリメントは日和見感染の割合を減少させたが、CD4+ T細胞数は改善しなかった[71]。
しかし、2件のコクランレビューおよび別の試験(いずれのコクランレビューにも含まれていない)では、HIVに感染したさまざまな集団における亜鉛を含む微量栄養素の補充とプラセボの潜在的な有益性を評価した結果、肯定的でなかった。HIV感染児に対する微量栄養素の補充に焦点を当てた最初のコクランレビューでは、南アフリカのHIV感染児総数128例を対象に、ビタミンA(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)を併用または併用せずに10mg/日の亜鉛を最長15カ月間投与した2件の試験が含まれている[72]。そのうちの1件の試験では、亜鉛の補充はビタミンAと比較して有益な効果をもたらさなかったが、もう1件の試験では、亜鉛の補充によって水様性下痢のリスク(危険)がプラセボよりも49%低いことがわかった。
その後のコクランレビューでは、成人HIV患者に対する微量栄養素のサプリメントを評価し、参加者総数826例を対象にした亜鉛のサプリメント(12~50mg/日を14日間から18カ月間または90mgを1週間ごとに6カ月間補充)のプラセボ対照試験が6件含まれている [73]。著者らは、亜鉛のサプリメントは亜鉛の状態を改善するかもしれないが、CD4+T細胞数やウイルス量にはほとんど有用性がなく、死亡率や下痢の頻度には決定的な有用性がない、と結論づけた。タンザニアのHIV感染妊婦400例を対象とした試験では、出産後6週間まで亜鉛25mg/日を補充しても、プラセボと比較して、出生体重、妊娠期間、胎児死亡率、HIVの早期母子感染率に差がなかった[74,75]。さらに、亜鉛の補充は、母親のウイルス量、CD4+、CD8+、CD3+ T細胞数には影響を与えなかった。しかし、サプリメントはベースラインと産後6週間の間のヘモグロビン濃度の上昇を鈍化させた。
亜鉛のサプリメントがHIV感染者に有用であるかどうかについては、さらなる研究が必要である。
小児急性下痢
急性下痢は、低所得国の小児では高い死亡率に関連しており、年間約 525,000人の死亡原因となっている[76,77]。亜鉛は、特に亜鉛欠乏症が一般的に見受けられる低所得国において、小児の急性下痢の治療に使用されている。研究者らは、亜鉛の有益な効果は、適応免疫をサポートし、消化器系の粘膜の完全性を維持する役割において生じると考えている[76]。
亜鉛の補充は、低所得国で小児の下痢の期間を短縮するのに役立つことが臨床試験で示されている。2016年に報告されたコクランレビューでは、急性または持続的下痢のある1カ月から5歳の小児10,841例を対象に、亜鉛の補充の有用性をプラセボと比較した33件の試験が含まれている[78]。ほとんどの研究は、亜鉛欠乏症の割合が高いアジアの国々で実施された。研究者らは、酢酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛の形態で亜鉛を投与した。最も一般的な用量は20mg/日で、約半数の研究では亜鉛を2週間投与した。著者らは、確実性が低い、あるいは中等度のエビデンスに基づき、亜鉛の補充は6カ月以上の小児の下痢の期間を約半日短縮し、下痢が少なくとも7日以上続く可能性を27%減少させると結論づけた。しかし、6カ月未満の小児では、亜鉛の補充は下痢の平均期間や7日間の下痢の持続に影響を与えなかった。さらに、著者らが、確実性が高いと判断したエビデンスでは、亜鉛の補充により、栄養不良の徴候のある小児の下痢の期間が約1日短縮されることが示された。
2018年に報告されたシステマティックレビューおよびメタアナリシスでも同様の知見であった。このレビューでは、主に低・中所得国の小児32,430例含む174件の研究を対象とし、急性下痢や胃腸炎に対する亜鉛の単独使用や他の治療法との併用について検証した[79]。小児の急性下痢および胃腸炎の罹病期間の短縮において、特に、 Saccharomyces boulardii (プロバイオティクス)またはスメクタイト(ミネラルを含む天然粘土)と組み合わせた場合、亜鉛は検証した中で最も有用な介入の一つであると著者らは結論づけた。解析の結果、亜鉛の単独または併用により、下痢の罹病期間が約3/4から1日と1/2日短縮されることがわかった。
世界保健機関(World Health Organization:WHO)と国際連合児童基金(United Nations Children's Fund:UNICEF)は、小児急性下痢の治療に対して短期間の亜鉛補充(10~14日間、1日20mg、6カ月未満の乳児には10mg)を推奨している[80]。下痢に対する亜鉛の補充についてのほとんどの試験は、低所得国で実施されている[76]。栄養状態の良い小児の下痢の罹病期間に対して、亜鉛のサプリメントの有用性はわずかであるかもしれない。
加齢黄斑変性症(age-related macular degeneration:AMD)
AMDは、高齢者における著しい視力低下の主な原因となっている[81]。人間の網膜には高い亜鉛濃度があり、亜鉛と抗酸化物質の両方を含むサプリメントが、網膜の細胞損傷を防ぐことによって、AMDの進行と視力低下を遅らせるかもしれないことが研究で示されている[3,82,83]。
観察研究によるエビデンスによると、亜鉛の摂取量の多さとAMDのリスク(危険)の低さとの間に関連性があることが示唆されている。オランダで行われた55歳以上の成人4,170例を対象とした人口ベースのコホート研究では、平均8年間の追跡期間において、食事からの亜鉛摂取はAMDのリスク(危険)と逆相関していた[84]。同様に、オーストラリアの49歳以上の成人2,464例を対象とした研究では、5年および10年間の追跡調査において、食品およびサプリメントからの亜鉛摂取量が上位10位(15.8mg/日以上)の参加者は、他のすべての10位の参加者と比較して、あらゆるAMDのリスク(危険)が44%低く、早期AMDのリスク(危険)が46%低いことが示された[85]。
臨床試験の結果、亜鉛の補充は、特定の抗酸化物質と組み合わせて、AMDの進行を遅らせるベネフィット(有益性)があることが確認された。Age-Related Eye Disease Study(AREDS)は、進行性AMDのリスク(危険)が高い(すなわち、片眼が中程度のAMDまたは進行性AMDで、もう一方の眼の視力が良好)50~80歳の参加者4,757例を対象とした臨床試験である[83]。AREDSでは、亜鉛80mg(酸化亜鉛)、β-カロチン15mg(7,500μg RAE)、ビタミンE 180mg(400IU)(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)、ビタミンC 500mg(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)、銅2 mgを含むサプリメントを5年間摂取した参加者は、プラセボを摂取した参加者よりもAMD進行リスク(危険)が25%低いことが示された。
AREDS2研究の追跡調査では、参加者4,203例を対象に中央値で5年間の追跡調査を行い、AMDの進行を抑制するAREDSのサプリメントの価値が確認された[86]。また、AREDS2では、亜鉛25mg(元の製剤の約3分の1)を含む製剤でも、進行性AMDの予防効果は同様であることが示された。しかし、AREDS2はオリジナルのAREDS研究よりも参加者が少なく、低用量亜鉛製剤を使用した人も半数以下だったため、研究者らはこの知見を予備的なものとみなしている。米国国立眼科研究所(National Eye Institute)は、80mgの亜鉛を含有するAREDS製剤の使用を推奨している [87,88]。
AMDを発症した、または発症しつつある人は、亜鉛の摂取およびAREDSで用いられたサプリメント製剤について、今かかっている医療機関※に相談することが望ましい。
2型糖尿病(Type 2 Diabetes:T2D)
T2D患者では、亜鉛の濃度が低いことが多い[2,3]。そのため、研究者らは、亜鉛の枯渇が糖尿病の進行に関与しているかもしれないと仮定している。
いくつかの観察研究で、亜鉛の摂取量とT2Dリスクとの関連性が見出されている。米国、オーストラリア、スウェーデン、インド、日本で実施された、18~84歳の男女総数146,027例を含む16件の観察研究のシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、亜鉛の摂取量が最も多い参加者は最も少ない参加者に比べてT2Dのリスク(危険)が13%低かった[89]。居住地域が結果に与える影響を解析したところ、亜鉛摂取量とT2Dリスク(危険)との関連は農村部で行われた研究でのみ有意であり、都市部で行われた研究は有意ではなかった。
臨床試験では、亜鉛のサプリメントがT2Dのリスク(危険)低減やその合併症の管理に有用かどうかが評価されている。2015年に報告された、T2D予防のための亜鉛の補充に関する臨床試験エビデンスのコクランレビューでは、参加者総数128例を含む3件の試験のみが選択基準を満たした[90]。これらの研究では、1日30mg~100mgの亜鉛(硫酸亜鉛または亜鉛アミノキレート)を4~12週間投与したが、研究報告に関連情報がないため、これらの研究の質を評価することができなかった。コクランレビューの著者らは、T2D予防のための亜鉛の補充の使用について結論を下す根拠となるエビデンスが不足していると結論づけた。
しかし、コクランレビュー以降に公表された研究では、より肯定的な結果が得られている。T2D患者総数424例を含む9件のプラセボ対照試験のシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、6~52週間の亜鉛補充(7mg/日~150mg/日)の脂質プロファイルへの影響を評価した[91]。サプリメントは、トリグリセリドと総コレステロールの血清レベルに有益な効果を示したが、血清低密度リポタンパク質(low-density lipoprotein:LDL)コレステロールと高密度リポタンパク質(high-density lipoprotein:HDL)コレステロールのレベルには影響を与えなかった。
2件目のシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、27件の臨床試験(2015年のコクランレビューの2件を含む)において、低用量の亜鉛のサプリメント(25mg/日未満)と高用量のサプリメント(25~75mg/日)のT2Dと心血管疾患の危険因子に対する有用性を比較した[92]。亜鉛のサプリメントは、6~106歳までの総数1,042例(ただし、ほとんどの研究では20~70歳の成人を含む)に4週間~12カ月間(平均11週間)、プラセボは974例に投与された。低用量および高用量の亜鉛のサプリメントは評価したいくつかのアウトカムに有益な効果を示したが、亜鉛の低用量および長期の投与はより多くの危険因子を改善した。例えば、亜鉛のサプリメントを12週間未満投与した研究では、空腹時血糖値、インスリン抵抗性、トリグリセリド値に有益な効果が見られ、一方、サプリメントを長期間投与した研究では、空腹時血糖値、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、トリグリセリド、総コレステロール、およびLDLコレステロール値などにプラスの効果が見られた。感度分析では、亜鉛の投与量はこれらの結果に有意な影響を及ぼさなかった。
3件目のシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、亜鉛のサプリメント(亜鉛4~240mg/日、平均35mg/日)またはプラセボを、T2Dの18歳以上の成人総数1,700例に1~12カ月間投与した32件の試験において、T2Dの予防と管理に対する亜鉛のサプリメントの有用性を評価した(ただし、含まれる1件は6~10歳の小児を対象としていた)[93]。サプリメントは、空腹時グルコース、食後2時間グルコース、空腹時インスリン、インスリン抵抗性、糖化ヘモグロビン、およびC反応性タンパク質のレベルを低下させた。血糖値指標は、亜鉛の投与量(30mg/日未満、30mg/日以上)、補充期間(1カ月、1カ月以上)によっても変わらなかった。
また、妊娠糖尿病患者における亜鉛の補充の潜在的なベネフィット(有益性)についても研究されている。妊娠糖尿病患者263例を含む5件のプラセボ対照試験のシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、亜鉛の補充(4~30mg/日の亜鉛とビタミンE、マグネシウム、カルシウム、ビタミンD、またはその組み合わせ)が代謝状態に及ぼす影響を評価した[94]。サプリメントは空腹時血糖値、インスリン、およびインスリン抵抗性に有益な効果を示したが、LDLや総コレステロール値には影響を与えなかった。しかし、この解析には亜鉛を他の栄養素と組み合わせて投与した研究が含まれているため、亜鉛単体の潜在的な寄与は評価できない。
T2D患者の4分の1が糖尿病性足潰瘍を発症し、切断に至る可能性がある[95]。糖尿病性足潰瘍を治療するための栄養的介入に関するコクランレビューでは、参加者60例を対象に、亜鉛50mg(硫酸亜鉛の形)またはプラセボを12週間投与する1件の試験を含んでいた[96]。著者らは、亜鉛のサプリメントが糖尿病性足潰瘍に経時的に影響を与えるかどうかは不明であると結論づけた。
全体として、亜鉛の補充がT2D、妊娠糖尿病、糖尿病性足潰瘍の有病率や重症度に与える影響については、現在までのエビデンスでは不十分であり、結論を出すことはできない。
亜鉛過剰摂取による健康上のリスク
亜鉛を大量に摂取すると、嘔気、めまい、頭痛、胃部不快感、嘔吐、食欲不振を引き起こす可能性がある[2,3]。亜鉛を含むサプリメントや義歯用接着クリームの過剰使用により、50mg以上の亜鉛を数週間にわたって使用した場合、銅の吸収を妨げ(低銅状態を引き起こし)、免疫機能を低下させ、HDLコレステロール値を低下させる可能性がある[1-3,97]。食品から得られる亜鉛の量は、多くても50mgであるため、食品に含まれる亜鉛が亜鉛中毒を引き起こすことは考えにくい。サプリメントから非常に高用量の亜鉛(142mg/日)を摂取した場合、マグネシウム(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)の吸収が妨げられ、体内のマグネシウムバランスが乱れるかもしれないことが明らかになった[98]。
少数の報告によると、製品1gあたり最大34mgの亜鉛を含む義歯用接着クリームの過剰使用により、神経症状(感覚性運動失調、脊髄症など)や貧血を引き起こす可能性があるされている。これらの影響を防ぐために、亜鉛を含まない製剤が用意されている[2,20,21]。
FNBは、銅の状態に悪影響を及ぼすレベルに基づいて、健康な個人のための食品とサプリメントからの亜鉛の許容上限摂取量(Tolerable Upper Intake Level:UL)を設定している(表3)[1]。ULは、治療のために亜鉛を摂取している人には適用されないが、このような人は医師の監督下で亜鉛を摂取する必要がある。
年齢 | 男性 | 女性 | 妊娠 | 乳婦 |
---|---|---|---|---|
生後0~6カ月 | 4 mg | 4 mg | ||
生後7~12カ月 | 5 mg | 5 mg | ||
1~3歳 | 7 mg | 7 mg | ||
4~8歳 | 12 mg | 12 mg | ||
9~13歳 | 23 mg | 23 mg | ||
14~18歳 | 34 mg | 34 mg | 34 mg | 34 mg |
19歳以上 | 40 mg | 40 mg | 40 mg | 40 mg |
医薬品との相互作用
亜鉛は一部の薬と相互作用を起こす可能性がある。加えて、複数の薬により亜鉛値に悪影響が及ぶかもしれない。以下に例を記載する。これらの医薬品やその他の薬を常用している人は、自身の亜鉛状態について今かかっている医療機関※に相談する必要がある。
抗菌薬
キノロン系抗菌薬(Cipro®など)やテトラサイクリン系抗菌薬(Achromycin®、Sumycin®など)を亜鉛と同時に使用した場合は、消化管内の亜鉛と相互作用し、亜鉛と抗菌薬の両方の吸収を阻害する可能性がある [99,100]。亜鉛のサプリメントを摂取する2時間前、または4~6時間後に抗菌薬を服用すると、この相互作用を最小限にすることができる[99]。
ペニシラミン
亜鉛は、関節リウマチやウィルソン病の治療に使用されるペニシラミンの吸収と作用を低下させる可能性がある[101]。この相互作用を最小限にするため、亜鉛のサプリメントとペニシラミンとは少なくとも1時間以上間隔を空けて飲む必要がある。
利尿剤
クロルタリドン(ハイグロン、タリトン)やヒドロクロロチアジド(エシドリックス、ハイドロデュリルなど)などのチアジド系利尿薬は、尿中の亜鉛の排泄を増加させる。この排泄の増加により、代わりに血清亜鉛濃度が低下する[102]。
亜鉛と健康的な食生活
連邦政府の「2020-2025年版 米国の食事指針」では、「食品は健康に役立つさまざまな栄養素やその他の成分を提供するため、栄養ニーズは主に食品を通して満たすべきである。…場合によって、強化食品やダイエタリーサプリメントは、他の方法では1つまたは複数の栄養素の必要量を満たすことができない場合(例えば、妊娠などの特定のライフステージ)に有用である。」と記されている。健康的な食生活の構築についての詳細は、「米国の食事指針(Dietary Guidelines for Americans)」[英語サイト]と米国農務省の「私の食事(MyPlate)」[英語サイト]をご覧ください。
「米国の食事指針」では健康的な食事を次のように述べている。
- さまざまな種類の野菜、果物、全粒穀物、無脂肪もしくは低脂肪ミルクと乳製品、油を重視している
- ○ 一部の乳製品は亜鉛の良い供給源である。一部のインスタントの朝食用シリアルには亜鉛が強化されたものもある。
- 海産物、赤肉、鶏肉、卵、マメ科植物(インゲン豆、エンドウ豆)、ナッツ類、種子、大豆食品などのさまざまなタンパク質食品にも含まれる。
- ○ 一部の食肉(哺乳動物の肉)は亜鉛含有量が高いものもある。魚類や海産物は亜鉛の良い供給源である。
- 糖分、飽和脂肪、ナトリウムを多く含む食品や飲料を制限する。
- アルコール飲料を制限する。
- 1日に必要なカロリーの範囲内に収まっている。
(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)
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更新日:2025年6月19日
監訳:大野智、的場千佳(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
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