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海外の情報

マルチビタミン/ミネラル(MVM)サプリメント
Multivitamin/mineral (MVM) Supplements

[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2024年12月

このファクトシートは医療関係者向けです。一般的な概要については、「一般向けファクトシート」をご覧ください。

はじめに

米国では、1940年代初頭に最初のマルチビタミン/ミネラル(MVM)およびマルチビタミン(MV)のダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)が発売されて以来、人々はこれらの製品を摂取している [1]。特にMVMサプリメントは人気があり、現在、米国では成人の3分の1が摂取していると推定され、小児や青少年の4分の1がMVMやMVサプリメントを摂取していると言われている [2,3]。2019年の米国におけるサプリメントの全購入額の14%、ビタミン・ミネラルサプリメントの全販売額の38%をMVMとMVサプリメントが占めた[4]。米国のダイエタリーサプリメント全体の売上高は、2020年には推定557億ドルで、そのうちビタミン、ミネラル、またはその両方を含むすべてのダイエタリーサプリメントが212億ドル、そのうちMVMとMVサプリメントが80億ドルであった[4]。

MVMやMVサプリメントには、どのような栄養素をどの程度の量で含まなければならないかといった、基準や規制の定義は示されていない。したがって、これらの用語は、組成が大きく異なる製品を指すことになる[5]。「マルチ」、「マルチプル」などさまざまな名称で呼ばれるこれらの製品は、ビタミンやミネラルなどの成分の組み合わせや配合量を製造業者が決めている。

ここであげられているMVMサプリメントは、多くの種類が市場に出回っている。分類方法の一つとして、次のようなものがある(表1)。

表1:MVMサプリメントの種類
ベーシック(ブロードスペクトラム) ビタミンとミネラルのすべて、またはほとんどを含み、その量がこれらの栄養素の一日摂取量(Daily Value:DV)、推奨所要量(推奨量、Recommended Dietary Allowance:RDA)、または十分な適正摂取量(目安量、Adequate Intake:AI)を超えない1日1回摂取するMVMサプリメント*。ここでは、主にこれらのベーシックでブロードスペクトラムなMVMサプリメントに焦点を当てている。小児用、成人男性・女性用、妊婦用、高齢者用など、それぞれのニーズに合わせて、同じビタミン・ミネラルでも配合量を変えているのが一般的である。
高力価 MVMサプリメントの中には、DV、RDA、AI、場合によっては許容上限摂取量(上限量、Tolerable Upper Intake Level:UL)を大幅に上回る量のビタミンやミネラルが含まれているものもある**。これらのMVMサプリメントには、他の栄養成分や植物成分も含まれている可能性がある。製造業者は、これらのMVMサプリメントを、使用者が毎日摂取できるように、2つ以上の錠剤をパック(包装)にして提供することがある。
特殊化(条件指定型) エネルギー、運動能力の向上、体重管理、免疫機能の改善、目の健康などを目的としたMVMサプリメントは、多くの場合、複数のビタミンとミネラルにコエンザイムQ10プロバイオティクスグルコサミンなどの植物性成分や特殊成分を組み合わせている。これらの製品の中には、DV、RDA、AI、あるいはULを大幅に超える量の栄養素が含まれている場合がある。

*米国科学アカデミー医学研究所(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)の食品栄養委員会(Food and Nutrition Board:FNB)がRDAとAIを制定している。RDAとは、健康な人のほぼ全員(97~98%)の必要量を満たすのに十分な必須栄養素の1日平均摂取量のことである。これら値は、年齢、性別、栄養素によって異なる。FNBは、RDAを策定するのに十分なエビデンス(科学的根拠)がない場合、栄養素のAIを設定し、このレベルでの摂取が栄養の適切性を確保すると仮定している[6]。米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、消費者が総合的な食生活の中で、食品やダイエタリーサプリメントの栄養素の含有量を比較するためにDVを設定した。FDAは、成人および4歳からの小児に対して、各栄養素のDVを1つずつ定めており、DVは通常、その栄養素のRDAまたはAIが最も高いものの1つとなっている。
** 許容上限量は、FNBが多数の栄養素に対して設定したもので、健康に悪影響を与えないと思われる最大1日摂取量である。摂取量がULを超えると、有害作用の潜在的なリスク(危険)が高まる。

この製品カテゴリにとってさらに複雑なのは、多くのダイエタリーサプリメントが、さまざまなビタミンやミネラルを含んでいるにもかかわらず、MVMサプリメントとして表示されていないことである[1]。例えば、製造業者は、ビタミンC、E、セレニウム、亜鉛、β‐カロテンを含む製品を、MVMサプリメントではなく、抗酸化物質配合と表示している可能性がある。

さらに、研究者らは、これらの製品の潜在的な健康影響を評価するための研究において、MVMサプリメントを異なる方法で定義している(または、まったく定義していない場合もある)。例えば、医療研究・品質調査機構(Agency for Healthcare Research and Quality:AHRQ)は、慢性疾患の予防におけるMVMサプリメントの役割に関するエビデンスに基づくレビューにおいて、MVMサプリメントを「少なくとも3種類のビタミンとミネラルをUL値以下の量で含み、ハーブ、ホルモン、医薬品を含まない製品」と定義した[7]。ある研究チームは、MVMサプリメントを「ストレスタブ型」「治療型」「1日型」と、より曖昧に分類しており、これらの製品にもMVが含まれていると思われる[8]。また、別のチームでは、12種類のビタミンすべてと10種類のミネラルを含む「フルスペクトラム」製品をMVMサプリメントと定義している[9]。ダイエタリーサプリメントに関する調査報告書の中には、ミネラルを含む製品と含まない製品を総称して「マルチビタミン」と呼んでいるものがある。ダイエタリーサプリメントに関する政府の各種調査や一般的な食品摂取頻度調査でも、MVとMVMサプリメントの定義が異なっていたり、異なる事例が含まれていたり、異なる製品について質問されている。

MVMサプリメントの定義がさまざまで、製造業者が製品の組成を自由に変更できるため、異なる研究では同じ組成の製品が使用されないため、MVMサプリメントの潜在的な健康影響に関する研究はさらに複雑になる。MVMサプリメントの効果(またはリスク(危険))が研究によって明らかになるかどうかは、MVMサプリメントに含まれる栄養素の組み合わせと量に大きく依存し、これらの研究結果は、市場に存在する多種多様なMVMサプリメントに一般化できるものではない。

マルチビタミン/ミネラルの使用範囲

2017~2018年の米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)から、米国におけるダイエタリーサプリメントの使用状況を解析したところ、MVMサプリメント(3種類以上のビタミンと少なくとも1種類のミネラルを含む製品と定義)が最もよく消費されているサプリメントであることがわかった。過去30日以内にMVMサプリメントを利用したのは、20~39歳の男女で24.0%、40~59歳で29.8%、60歳以上で39.4%であった[10]。小児・青少年のMVMサプリメントの使用率は、2歳までが11.0%、2~5歳が34.6%、6~11歳が29.5%、12~19歳が17.3%であった[11]。2011年から2014年のNHANESデータの先行解析によると、19歳以上の米国成人人口の31.2%が過去30日間にMVMサプリメントを摂取したと報告している[2]。

全体として、女性は男性(28.3%)よりもMVMサプリメントを摂取する割合が高い(34.0%) [2]。性・年齢別の摂取率は、19〜30歳が男性19.5%、女性26.1%、31〜50歳が男性25.1%、女性33.0%、51〜70歳が男性34.5%、女性36.2%、71歳以上が男性40.9%、女性44.0%となっている。

また、MVMサプリメントの摂取は、サプリメントを摂取している女性の子供、高齢者、教育水準が高く、収入が高く、健康的なライフスタイルや食事をしていて、体格指数(body-mass index:BMI)が低い人、米国西部の住民に多く見られる[1,2]。MVMサプリメントの摂取は、白人と比べて喫煙者やアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、ネイティブアメリカンなど特定の民族・人種の間では一般的ではない。

マルチビタミン/ミネラルと健康

MVMサプリメントを利用する理由はさまざまである。ここでは、栄養摂取量を増やし、健康を増進したり慢性疾患を予防したりするためのMVMサプリメントの使用に関するエビデンスを要約している。

栄養素の摂取量増加

MVMサプリメントの摂取は、栄養摂取量を増加させ、食事だけでは必要量を満たせない人が推奨量のビタミンやミネラルを摂取するのに役立つ [9,12]。

FNBは、栄養素のRDAとAIは、食事から1日平均で摂取するためのレベルであることを指摘している[6]。FNBは、MVMのような広域な栄養素補給が食事の不足を補うことができる、あるいはどの程度まで補うことができるかについては触れていない。それにもかかわらず、一部の使用者は、MVMサプリメントの摂取を食事や栄養の「保険」と考えている。これは、1940年代にMiles Laboratories社がダイエタリーサプリメントのOne-A-Dayシリーズを販売するために初めて導入した概念である [13]。

また、MVMサプリメントは、使用者が一部の栄養素の摂取量がUL値を上回ってしまう可能性を高めてしまうかもしれない[14]。ビタミンやミネラルの単品サプリメントも摂取しているMVMサプリメントの使用者では、栄養の過剰摂取がさらに起こりやすい[15]。

複数の研究の結果から、ある人は栄養保険のためにMVMサプリメントを利用し、ある人はMVMサプリメントが過剰摂取につながる可能性があることが示された。

例えば、ある研究では、ロサンゼルスとハワイに住む45歳以上の男女90,771例の多民族コホートにおいて、食生活とMVMサプリメントの利用について評価した[16]。研究者らは、食事頻度調査票を用いた参加者の食事からの栄養摂取量と、一般的に使用されている2種類のMVMサプリメントの栄養組成を用いてMVMサプリメント(23%が摂取)からの栄養摂取量を算出した。検討された17種類の栄養素のうち、適切な摂取量を摂っている人の割合は、食事のみから摂取している場合、男性で約74~76%、女性で約72~75%であったが、MVMサプリメントを使用することにより、男性で84%、女性で83%とその割合が高まった。摂取量が最も向上したのは、ビタミンA(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、ビタミンE(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)と亜鉛(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)であった。しかし、MVMサプリメントの使用者はいくつかの栄養素を過剰摂取している。10~15%がビタミンA、ビタミンE、鉄分、亜鉛を過剰摂取しており、48~61%がナイアシンを過剰摂取していた。

複数の研究によると、MVMサプリメント使用者は非利用者との比較で、食事から摂る微量栄養素が多い傾向にあることがわかった[15]。皮肉なことに、MVMサプリメントにより最も有益性(ベネフィット)を受けると思われる栄養不足ハイリスク(危険)群ほど、MVMサプリメントを摂っていないという傾向がみられた[1]。妊娠中および授乳中の人、成人女性、非ヒスパニック系黒人、低所得者層、低体重または肥満の人は、1種類以上の栄養素の摂取不足のリスク(危険)が最も高いグループに属している [9]。

2001~2014年のNHANESの20~40歳の妊娠中の米国人1,003例の全国代表サンプルの横断的解析では、多くの人が食事だけでは多くの栄養素を推奨量より少い量を摂取していることがわかった [17]。ダイエタリーサプリメントを摂取していた 69.8%では、多くの栄養素の摂取不足のリスク(危険)が低くなっていた(最も利益が得られそうなものとしては妊産婦用MVMサプリメント)。例えば、ビタミンAは食品だけでは27.7%が摂取不足であったが、サプリメントを含めると15.5%に減少した。しかし、サプリメントの使用により、鉄(27.9%)と葉酸(33.4%)(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)について摂取量がULを一部上回っている妊婦の割合がそれぞれ増加した。

カナダでは、ほぼすべての妊産婦用MVMサプリメントが1,000 μg/日の葉酸を提供している。したがって、多くの人が食事からだけでは推奨される量の葉酸塩を摂取していないにもかかわらず、これらのサプリメントを摂取し、この栄養素を強化した食品を摂取している妊婦の葉酸摂取量は、この栄養素のUL(1,000 μg)を超えていた[18]。米国でも、妊産婦用MVMサプリメントに含まれる葉酸の量は通常800または1,000μgであり、赤ちゃんの神経管欠損症のリスク(危険)を減らすための推奨量(400μg)よりはるかに多い[19]。

健康の増進または慢性疾患の予防

健康増進や疾病予防のためのMVMの潜在的価値に関する研究のほとんどは、観察研究であり、MVMサプリメントを摂取することを選択した個人と摂取しなかった個人を比較したものである。食生活やライフスタイルが健康的な人ほどサプリメントを利用する傾向があるため、健康的な行動から得られる利益とは異なる健康上の利益をサプリメントの使用に帰することは困難である[13]。いくつかの研究では、MVMサプリメントの使用による健康上の利益または害の可能性が示唆されているが、他の研究では知見は得られていない。これらの研究の参加者は、さまざまな栄養素の組み合わせや量を含む多種多様なMVMサプリメントを使用していた。

MVMサプリメントが疾病リスク(危険)に影響を与える可能性を判断するには、ダイエタリーサプリメントを摂取するグループとプラセボを摂取するグループに無作為に割り付ける臨床試験の方が、観察研究よりも優れている。しかし、ランダム化臨床試験(randomized clinical trial:RCT)は、疾患リスク(危険)を示唆する中間バイオマーカーを単に特定する以上の効果を示すには、十分な期間が必要なため、ほとんど実施されていない。観察研究と同様、RCTの中にはMVMサプリメントの使用が健康によい可能性を示唆するものもあるが、そのような利点はないとするものもある。しかし、同じ栄養素の組み合わせと量のMVMサプリメントを使用したRCTは2つとなかった。

がん

一部の専門家は、MVMサプリメントの使用によりがんリスク(危険)が低減したり、がんの転帰が改善したりするかもしれないという仮説を立てている。これは、MVMサプリメントに含まれる特定の栄養素が発がんや腫瘍の進行を抑制するかもしれないからである。がんに焦点を当てたMVMサプリメントの研究は、観察研究であった。研究者らは、MVMサプリメント使用と全がんリスク(危険)またはさまざまな種類のがん(乳がん、前立腺がん、大腸がんなど)のリスク(危険)との関連、およびがん関連死亡との関連について検討した。

MVMサプリメントの使用とがんリスク(危険)との関連性に関するエビデンスとしては、2010年8月までに報告された8件のコホート研究およびケースコントロール研究のメタアナリシスで、MVおよびMVMサプリメントの消費と乳がんリスク(危険)との関連性が評価されている[20]。これらの研究(全体として質が低い)は、20~79歳の女性、合計355,034例を含み、MVとMVMサプリメントを摂取した人は少なくとも3年間は摂取したことになる。MVとMVMサプリメントを少なくとも10年間毎日使用しても、その女性たちの乳がんリスク(危険)はサプリメント非使用者と同じであった。しかし、このメタアナリシスのある研究では、平均9.5年間にわたり、MVまたはMVMサプリメント(ほとんどの場合、RDAレベルに近い量の栄養素)を摂取したと報告したスウェーデン人女性35,329例の25.5%において、これらのサプリメントを摂取しなかった女性よりも乳がんのリスク(危険)が19%高かった[21]。

別の大規模な前向き研究では、50~71歳の男女489,640例を16年間追跡して、MVおよびMVMサプリメント(ほとんどが「治療用またはtheragran [ビタミン不足を補うための強化サプリメント]」「1日1回」「ストレスタブ」と表現されるMVMサプリメント)の使用とがんのリスク(危険)との関連性を検証した[8]。研究開始時に毎日1個以上のMVまたはMVMサプリメントを摂取していると報告した男女は、非使用者に比べて大腸がんの発症リスク(危険)が18%低かった。毎日MVまたはMVMサプリメントを摂取した男性は、前立腺がんのリスク(危険)が3%、肺がんのリスク(危険)が8%、白血病のリスク(危険)が16%(毎日1回以上MVまたはMVMサプリメントを摂取すると26%高くなる)など、がん全体のリスク(危険)が2%高くなることがわかった。女性では、毎日MVまたはMVMサプリメントを摂取しても、中咽頭がんが46%増加した以外は、がんの発症リスク(危険)全体には影響しなかった。毎日1つ以上のMVまたはMVMサプリメントを摂取していた女性は、中咽頭がんのリスク(危険)が53%高かったが、白血病のリスク(危険)は35%低かった。すべての結果は、単一のビタミンまたはミネラルサプリメントの使用などの潜在的な交絡因子を除外するために調整された。

MVMサプリメントの使用とがん関連死亡の関連についての研究には、Women's Health Initiativeに参加した浸潤性乳がんの女性7,728例を診断後平均7.1年間追跡したものがある[22]。ベースライン時、37.8%がMVMサプリメント(通常20〜30種類のビタミンとミネラルを含む)を摂取していると報告した。乳がんによる死亡率(コホートの6.7%)は、MVMサプリメント使用者が非使用者より30%低かった。さらに、白人の中年以上の男女776,902例を対象に、毎日のMVまたはMVMサプリメントの使用と16年間の大腸がん死亡率との関連を調べた研究がある[23]。研究期間中、4,517例が大腸がんで死亡した。MV または MVMサプリメント(組成の定義は不明)の使用は、非使用者に比べて結腸癌死亡のリスク(危険)を11%減少させた。しかし、1日2杯未満のアルコール摂取者では、MVやMVMサプリメントの使用による予防効果はなかった。一方、それ以上の摂取者では、MVMサプリメントの使用は大腸がん死亡のリスク(危険)を29%減少させることが示された。

心血管疾患(Cardiovascular disease:CVD)

一部の専門家は、MVMサプリメントに含まれる特定の栄養素が血圧を下げたり、血管機能に影響を及ぼしたり可能性があるため、MVMサプリメントの使用がCVDの発症やCVDによる死亡率を減らすかもしれないと仮定している。この可能性については、観察研究と臨床試験(介入研究)の両方で検討されている。

観察研究

MVMサプリメントとCVDリスク(危険)との関連を検討した研究として、Physicians Health Study Iがある。この研究では、40歳以上の男性医師18,530例を前向きに追跡し、そのうち20%がMVまたはMVMサプリメントを平均12.2年間摂取したと報告した[24]。その結果、MVまたはMVMサプリメントの使用と心筋梗塞(myocardial infarction:MI)、脳卒中、CVD死亡などの主要CVDイベントリスク(危険)との間に有意な関連は認められなかった。しかし、サプリメント使用者は、心血管血行再建術(冠動脈形成術または冠動脈バイパス移植術)を受けるリスク(危険)が14%低かった。さらに、20年以上MVまたはMVMサプリメントを使用していると報告した男性は、MVまたはMVMサプリメントを使用していない男性に比べて、主要CVDイベント、脳卒中、虚血性心疾患、心血管血行再建術のリスク(危険)が低いことがわかった。

MVMサプリメントの使用とCVDアウトカムとの関連に関する研究では、心血管イベントや死亡率などいくつかのアウトカムに焦点が当てられている。例えば、16件の前向きコホート研究(上記の研究および下記2件を含む)と2件のRCTの2018年のメタアナリシスでは、MVMサプリメント(3種類以上のビタミンとミネラルを含むと定義)の使用と冠動脈心疾患および脳卒中を含むさまざまなCVDアウトカムのリスク(危険)との関連性を評価している[25]。これらの研究には、平均年齢57.8歳、平均期間11.6年の合計2,019,862例の参加者が含まれている。全体として、MVMサプリメントは、CVDおよび冠動脈心疾患による死亡率、脳卒中の発生および死亡のリスク(危険)の低下など、心血管系のアウトカムの改善とは関連がなかった。

MVMサプリメント使用者のCVDアウトカムに関する別の研究では、NHANES III(1988~1994年)の成人8,678例のMVMサプリメント(3種類以上のビタミンと1種類以上のミネラルを含む製品と定義)とMVサプリメントの使用を、2011年までに報告された死亡率データと比較した[26]。年齢、人種、BMI、血清脂質、血圧などの交絡変数で調整した結果、3年以上のMVMサプリメントの使用は、女性ではCVD死亡率の44%低下と関連していたが、男性ではそうではなかった。

3番目のCVDアウトカム研究は、Women's Health Studyに参加した45歳以上(平均年齢54歳)の女性37,193例のコホートを前向きに追跡したもので、MVMサプリメント(「低用量のビタミンとミネラルが幅広く含まれる」ものと定義)の使用者(38%)と非使用者(62%)の平均16.2年間を調査している。本研究では、心筋梗塞、脳卒中、CVD死亡を含む主要なCVDイベントの発生率が測定された[27]。ベースラインでのMVMサプリメントの使用および経時的なMVMサプリメントの使用の変化は、主要なCVDイベント、心筋梗塞、脳卒中、心血管血行再建術、CVDによる死亡の長期リスク(危険)の変化と関連していなかった。

ランダム化比較試験

RCTでは、主にMVMサプリメントの使用とCVD(または全死亡)アウトカムとの関連に焦点が当てられている。あるRCTでは、少なくとも6週間前に心筋梗塞を発症した50歳以上の1,708例が、27種類の栄養素(多くは推奨量より多い)を含むMVMサプリメントを毎日中央値31カ月(範囲13〜60カ月)、またはプラセボと標準的な医薬品を服用するよう無作為に割り付けられた。本研究の目的は、このサプリメントが心血管系イベントの追加発生や死亡のリスク(危険)を低減させるかどうかを判断することであった[28]。サプリメントを摂取した参加者は、心血管イベントが有意に少なかったわけではないが、多くの参加者がサプリメントやプラセボを指示通りに摂取せず、また他の参加者は早期に研究を中止したため、この知見は慎重に解釈されるべきである。

2021年に報告された9件のRCT(上記の研究を除く)のメタアナリシスでは、22,773例によるMVMサプリメント(ほとんどのビタミンとミネラルを含む製品と定義)の使用と、CVDの総発生率と死亡率、心筋梗塞の発生率と死亡率、脳卒中の発生率と死亡率、全死因死亡率などのさまざまなCVDアウトカムが評価した[29]。MVMサプリメントの使用は、これらのアウトカムのいずれのリスク(危険)も変化させなかった。

白内障 と 加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)

複数の疫学研究や小規模のRCTで、抗酸化物質や亜鉛の摂取量の多さとAMDのリスク(危険)低減との関連が示唆されているが、一貫性はない[30]。

加齢性眼疾患研究(Age-Related Eye Disease Study:AREDS)では、55~80歳でAMD、白内障、またはその両方の症状がある4,757例を、プラセボと高用量のビタミンC(500 mg)、ビタミンE(400 IU)、β‐カロテン(15 mg)、亜鉛(80 mg)、銅(2 mg)を含む日用サプリメントの投与に無作為に割り付けた [30,31]。平均6.3年の追跡期間中、サプリメントは中程度から進行したAMDへの進行リスク(危険)を28%、視力低下率を27%有意に減少させた。サプリメントはAMDの発症を予防せず、白内障のリスク(危険)にも影響を与えなかった。その後の研究であるAREDS2では、AREDSの処方にオメガ3脂肪酸(エイコサペンタエン酸[EPA]650mgとドコサヘキサエン酸[DHA]350mg含有)またはルテイン(10mg)とゼアキサンチン(2mg)を加えることでより効果が上がるかどうかを検証した[32]。この研究は、両眼が中程度のAMD、または片眼が中程度のAMDでもう片眼が進行したAMDの50〜85歳の4,203例を対象としている。AREDS処方にオメガ3脂肪酸、ルテインとゼアキサンチン、またはその両方を加えても、進行性AMDへの進行リスク(危険)をそれ以上低下させることはなかった。しかし、β-カロテンは必須成分ではなく、β-カロテンを含まないオリジナルのAREDS製剤でも、AREDS2製剤と同等の進行性AMDのリスク(危険)低減効果が得られることが示された。

妊娠と出産の結果

妊娠中に、栄養摂取量、特に鉄や葉酸などの主要栄養素の摂取量を増やすために、ダイエタリーサプリメントを摂取することは一般的である。専門家の中には、MVMサプリメントの使用は健康な出産アウトカムを得る確率を高める可能性があるという仮説を立てた人もいる。

20件のRCTのメタアナリシスでは、妊婦がMVMサプリメント(その組成は研究によって異なるが、鉄と葉酸を含む複数の栄養素を含む)を補給することが、葉酸を含むもしくは含まない鉄のみのサプリメント、あるいはプラセボの使用よりも出産成績につながるかどうかを調査した[33]。アフリカ、アジア、メキシコ(栄養不良や微量栄養素の欠乏が珍しくない)の低・中所得国の妊婦141,849例を対象とした試験で、高所得国である英国で実施されたのは1試験のみであった。MVMサプリメントの使用は、葉酸を含むもしくは含まない鉄のみのサプリメントあるいはプラセボの使用と比較して、低出生体重児(2,500g未満)のオッズが12%、妊娠期間に対して通常より小さいサイズの出生が8%、早産(妊娠37週以前)が10%低下した。MVMサプリメントは、鉄や葉酸の補給と比較して、死産や周産期および新生児死亡のリスク(危険)に対して有益または有害な影響を与えなかった。英国で行われたMVMサプリメントとプラセボの比較試験では、早産、正常妊娠期間より小さいサイズでの出産、低出生体重児に対するMVMの有益性、有害性は認められなかった。

13件のRCTの同様のメタアナリシスでは、妊娠中の若者および10~19歳の青少年がMVMサプリメント(“複数の栄養素を含む“と定義)を使用することで、鉄と葉酸のみの補給よりも出産成績が良くなるかどうかが検証されている[34]。この試験には、アフリカとアジアの低・中所得国の妊娠中の青少年および若年成人15,283例が参加した。MVMの補給は、鉄と葉酸のみの補給に比べ、低出生体重児のオッズを13%、早産児のオッズを12%、妊娠年齢に対する小児のオッズを14%低下させる結果となった。

複数のアウトカム

複数の研究で、MVMサプリメントの使用と、がん、心疾患、骨粗鬆症、肺疾患、精神障害、死亡率など、さまざまな健康アウトカムとの関連について評価された。ほとんどの研究で、測定されたどの健康アウトカムに対しても、MVMサプリメントの使用による有益性は見出されていない。

観察研究

MVMサプリメントの使用に関する最大規模の予備的研究のひとつが、50~79歳の閉経後女性161,808例の健康状態と、がん、心疾患、骨祖訴訟のリスク(危険)要因を評価した「Women’s Health Initiative(女性の健康イニシアティブ)」である。合計41.5%の女性が、MVMサプリメント(20〜30種類のビタミンとミネラルをRDAを超えない量で含む)、MVサプリメント(10種類以上のビタミンをRDAの100%以上の量で含む)、または「ストレスマルチサプリメント」(少なくとも10種類の栄養素を含み、一部はRDAの2倍以上の量)を少なくとも週に一度は摂取していた。研究者らがサプリメント使用者と非使用者のアウトカムを比較したところ、中央値で8年間のこれらの製品の使用と、頻度の高いがん、がん全体、CVD、総死亡のリスク(危険)の増加との間に関連は見られなかった[35]。ハワイとカリフォルニアに住む45~75歳の男女182,099例の多民族コホートを平均11年間追跡した研究者らも、同様の結果を示した[36]。今回の調査では、男性の約48%、女性の約52%がMVまたはMVMサプリメントを摂取していると回答している。

その他の複数の結果に関する観察データは、2012年の「National Health Interview Survey(米国健康面接調査)」の参加者のデータを用いた横断的解析から得られた。この解析には、過去12カ月間にMVまたはMVMサプリメントを使用したと報告した成人4,933例と非使用者16,670例が含まれている[37]。サプリメント使用者は非使用者よりも全体的に健康であると報告したが、その結果、さまざまな心理的、身体的、機能的な健康アウトカムに違いは見られなかった[37]。

ランダム化比較試験(Randomized controlled trials:RCT)

RCTから得られたいくつかのエビデンスは、さまざまな慢性疾患のリスク(危険)を低減するためのMVMサプリメントの使用に焦点を当てている。2006年に研究者らは、1966年から2006年初頭にかけて報告された、MVやMVM、個々のダイエタリーサプリメントが健康や特定の病状(がん、加齢による感覚喪失、心血管、内分泌、神経、筋骨格、消化器、腎臓、肺の病気)のリスク(危険)に及ぼす潜在的影響を評価した63件のRCTをレビューした[7]。MVとMVMサプリメント(3種類以上のビタミンとミネラルをUL値以下で含み、ハーブを含まない製品)の使用は、どの慢性疾患のリスク(危険)も減少させなかった。このレビューを検討し、2006年に米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)で開催された慢性疾患予防のためのMVおよびMVMサプリメントの使用に関する最先端の科学会議に参加した専門家委員会は、慢性疾患の予防にMVまたはMVMの使用を推奨または反対するにはエビデンスが不十分であると結論付けた[1]。

Physicians Health Study II(米国男性医師を対象としたコホート研究)はMVMサプリメントが慢性疾患を予防する可能性を調査する最も長い長期臨床試験であった。この研究では、米国の50歳以上の男性医師14,641例を、毎日MVM(Centrum Silver)サプリメントまたはプラセボを中央値で11.2年間摂取するよう無作為に割り付けた。MVMサプリメントを使用した参加者は、非使用者に比べて主要な心血管イベント、心筋梗塞、脳卒中、心血管関連死亡は減少しなかった[38]。MVMサプリメントは、使用者のがん発症リスク(危険)を8%と控えめではあるが有意に低下させたものの、いかなる種類のがん(例えば、前立腺または結腸)における個別のリスク(危険)も、がん全体の死亡率も低下させなかった[39]。また、このサプリメントは年齢による認知機能の低下にも影響を与えなかった[40]。さらに、このサプリメントは白内障のリスク(危険)を9%減少させたが、AMDの予防には役に立たなかった[41]。

ココアサプリメントおよびマルチビタミンアウトカム研究(COSMOS)は、男女ともにマルチビタミン剤が、がんおよび心血管疾患の予防に有用であるかどうかを調査する臨床試験であった[42]。この研究では、60歳以上の男性8,776例と65歳以上の女性12,666例を、1日1回のMVMサプリメント(セントラムシルバー、Physicians Health Study IIで使用されたサプリメントとは成分や量に若干の違いがある)、500mgのココアフラバノールを含むココア抽出物、セントラムシルバーとココア抽出物の両方、または両方のプラセボのいずれかを中央値3.6年間摂取する群に無作為に割り付けた。MVMサプリメントを摂取した参加者は、浸潤がんの総発生数は減少しなかったが、肺がんの発生率は38%減少した。MVMサプリメントは、心血管イベント(心臓発作や脳卒中など)、CVDによる死亡、全死亡を減少させなかった。

COSMOSの付随研究として知られるCOSMOS-Mindでは、COSMOSの参加者のうち高齢者2,262例(平均年齢73歳)が登録され、ココア抽出物、MVMサプリメント、または両方のサプリメントが、プラセボと比較して3年間の毎日使用で認知機能を改善する可能性があるかどうかを調査された[43]。参加者は、ベースライン時および3年間毎年、電話で実施される標準化された認知テストを完了した。カカオ抽出物の有無にかかわらず、MVMサプリメントを摂取した参加者は、想起、認識、学習など複数の認知領域にわたる総合的な能力を反映するグローバル認知の改善を示した。この改善は、CVDの既往のある参加者で最も顕著であった。MVMサプリメントを摂取した参加者は、記憶力と実行機能の改善も示した。

COSMOS-Webという、COSMOSの別の付随研究から、コンピュータベースの認知評価を完了した3,562例の参加者(平均年齢71歳)を対象とした同様の調査結果が報告されている[44]。この研究では、MVMサプリメントを摂取した参加者は、プラセボを摂取した参加者と比較して、1年後および3年間の追跡調査の両方で、平均して有意に記憶力が向上した。第3の付随研究であるCOSMOS-Clinicには、ベースライン時と2年目に直接面談による詳細な神経心理学的評価を完了した573例の参加者(平均年齢69歳)が含まれていた[45]。MVMサプリメントを摂取した参加者は、プラセボを摂取した参加者と比較して、2年間でエピソード記憶に改善がみられたが、実行機能や注意力には改善がみられなかった。さらに、5,000例以上の参加者を対象とした3件の不随研究(COSMOS-Mind、Web、Clinic)のメタアナリシスでは、MVMサプリメントの使用により、全体的な認知機能とエピソード記憶が長期的に改善することが示された[45]。これらの知見は、MVMサプリメントが高齢者の認知機能の維持・向上に役立つ可能性を示唆している。

他のRCTでは、さまざまな慢性疾患を持つ個人のアウトカムに対するMVMサプリメントの有用性が評価されている。中国の臨川で行われたあるRCTでは、食道の前がん病変(いくつかの栄養素の食事摂取量が少ないこの集団では比較的よく見られる症状)を持つ40〜69歳の3,318例が、推奨量の2〜3倍の量の14種類のビタミンと12種類のミネラルが入ったMVMサプリメントを毎日摂取する群とプラセボを6年間摂取する群にランダムに割り付けられた[46]。このサプリメントは、食道がんの発生率や死亡率、あらゆる原因による死亡率を減少させなかった。研究者らは、参加者が試験用サプリメントを摂取しなくなってからさらに最長20年間追跡調査したが、RCT期間中のMVMサプリメントの使用は、がん、心臓病、脳卒中を含む調査対象のあらゆる死因による総死亡率や個別の死亡率の低下をもたらさなかった[47]。

21件のRCTのうちの1件のメタアナリシスでは、少なくとも1年間、MVおよびMVMサプリメント(3種類以上の栄養素を含む製品)を毎日使用することが死亡リスク(危険)に影響するかどうかが検証されている[48]。これらの研究では、合計91,074例の健康な成人(平均年齢62歳)が平均43カ月間MVまたはMVMサプリメントを使用し、8,794例が死亡したと報告されている。製品から平均14種類の栄養素を摂取することができたが、5件の試験で3種類の栄養素を含む製品にミネラルが含まれていなかった。MVまたはMVMサプリメントの使用は、全死因死亡率、CVDやがんによる死亡率に影響を与えなかった。

6種類の精神症状(うつ病、災害後のストレス、反社会的行動、認知症の行動障害、注意欠如/多動症、自閉症)のうち少なくとも1つを持つ1,719例の参加者を対象に、MVおよびMVMサプリメント(ほとんどの場合、少なくとも1つのミネラルを含む4種類以上の栄養素を含む)の16件のRCTをレビューしたところ、サプリメントは症状を明確に軽減しないことがわかった[49]。しかし、研究の質は概して低く、ほとんどにおいてサンプル数が少なく(参加者20例程度)、使用したMVやMVMサプリメント、アウトカム指標も異なっていた。

慢性疾患のリスク(危険)と死亡率の両方に対するMVMサプリメントの影響に関する良く知られた試験の1つは、抗酸化栄養素の組み合わせを使用したものである。フランスのSupplémentation en Vitamines et Minéraux Antioxydants(SU.VI.MAX)試験では,35~60歳の成人13,017例を,プラセボまたは適量のビタミンC(120 mg),ビタミンE(30 mg),β‐カロテン(6 mg),セレニウム(100 μg)(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)および亜鉛(20 mg)を含むサプリメントを毎日摂取する群に無作為に割り付けた[50]。7.5年間の使用後、サプリメントは男性で全がん発生率を31%、全死亡率を37%低下させたが、女性では低下させなかった。サプリメントによるCVDの予防効果はなかった。

マルチビタミン/ミネラル、マルチビタミン/ミネラルに含まれる個別の栄養素を含むサプリメントの使用について

全体として、MVMサプリメントは、人がこれらの製品を最長10年間(またはそれ以上)摂取することを選択した場合、あるいは臨床試験の一環として人がMVMサプリメントを摂取するよう無作為に割付られた場合、慢性疾患のリスク(危険)を確実に減らすようには見えない。米国予防医学専門委員会(U.S. Preventive Services Task Force:USPSTF)が委託したエビデンスのレビューには、324,837例の参加者を対象とした78件のRCTと、390,689例の参加者を対象とした6件のコホート研究が含まれていた[51]。その結果、ビタミンおよびミネラルサプリメントは、がん、心血管疾患、死亡の予防にほとんど、あるいはまったく有用性がないものの、MVMサプリメントは、がんに対してわずかながら有用であるかもしれないと結論付けられた。このレビューに基づき、USPSTFは、MVMサプリメントの摂取による心血管疾患やがんの予防効果と有害作用のバランスを判断するにはエビデンスが不十分であると結論づけた[52]。米国がん研究協会(American Institute for Cancer Research)は、サプリメントは食品を丸ごと食べるのと同じ効果をもたらさないため、がん予防のためのダイエタリーサプリメント摂取を推奨していない [53]。同様に、米国心臓協会(American Heart Association)は、心血管疾患の予防にMVMサプリメントを使用しないよう助言している。なぜなら、科学的研究により、この目的には何の価値もないことが判明しているからである[54]。

MVMサプリメントの使用は、慢性疾患のリスク(危険)を全体的に減少させることはないかもしれないが、これらのサプリメントや、それらに含まれるいくつかの栄養素は、特定のグループの人々に利益をもたらすかもしれない。これらの集団の例を以下に説明する。

妊娠の可能性がある人

米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、妊娠する可能性のある人が、強化食品、ダイエタリーサプリメント、またはその両方から1日400μgの葉酸を摂取することを推奨している[6,55]。妊娠期間に十分な量の葉酸を摂取することで、新生児の神経管欠損症のリスク(危険)を低減する。2020~2025年の「米国人のための食事摂取基準(Dietary Guidelines for Americans:DGA)」では、神経管欠損症を予防するための葉酸補給の重要な時期は、少なくとも受胎の1カ月前から妊娠の最初の2~3カ月までであると指摘している[56]。USPSTFは、妊娠を計画している人または妊娠可能な人は、毎日400~800μg/日の葉酸を含むダイエタリーサプリメントを摂取するよう助言している[56]。

妊婦

米国産婦人科学会(American College of Obstetricians and Gynecologists)は、妊婦が毎日「妊産婦用ビタミン」を摂取することを推奨している[58]。DGAは、ほとんどの医療従事者が妊婦に毎日妊産婦用MVMサプリメントを摂取することを推奨していることを認め、妊娠中の葉酸塩または葉酸、鉄、ヨウ素(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、ビタミンD(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)の必要性を満たすためにこの習慣が必要であるかもしれないと述べている[56]。また、DGAは、多くの妊婦用MVMサプリメントにはこれらの栄養素が含まれていないか、あるいは少量しか含まれていないため、医療従事者がヨウ素とコリンのサプリメントを勧める場合には、妊娠中の人は別途摂取する必要があるかもしれないとしている。この報告書では、ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義:動物性食品を一切摂取しない)食を実践している人は、鉄分、ビタミンB12(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、その他の栄養素(コリン、ヨウ素、EPA、DHAなど)の補給が必要かどうか、今かかっている医療機関※に相談することを推奨している。世界保健機関(World Health Organization:WHO)は、妊娠期間中の鉄と葉酸の補給を推奨している[59]。

乳児と小児

母乳からは、ほとんどビタミンDが得られないため、米国小児科学会(The American Academy of Pediatrics)は、母乳のみで育てられた乳児および部分母乳で育てられた乳児に対し、生後数日以内に1日に400IU(10μg)/日のビタミンDを補給し始め、離乳が完了するまでビタミンD強化ミルクまたは全乳を毎日少なくとも1リットルまたは1クォート飲むことことを継続することを推奨している [60]。また、同学会は、ビタミンD強化粉ミルクやミルクを1リットル未満しか摂取していない非母乳栄養の乳児や年長児には、1日400IU(10μg)のビタミンDサプリメントを摂取するよう推奨している。FNBとDGAは、完全母乳と部分母乳の乳児には、生後1週間から約400IU(10μg)/日のビタミンDを含むサプリメントを与えるべきであるということで合意している [56,61]。米国小児科学会(The American Academy of Pediatrics)は、ビタミンD強化ミルクまたは牛乳の摂取量が1,000mL/日未満のすべての非母乳栄養児は、ビタミンDを400IU(10μg)/日含むサプリメントを摂取するべきだと付け加えている[60]。DGAは、食品から十分なビタミンDを摂取することが困難であることを指摘し、生後12カ月以降もビタミンDサプリメントの摂取を継続することが必要である可能性があると助言している[56]。DGAは、母親のビタミンB12が不十分な場合、母乳を与える乳児にもビタミンB12の補給が必要となる可能性があると付け加えている[56]。

50歳以上の成人

FNBは、50歳代以上の人に対し、主に強化食品やダイエタリーサプリメントから推奨量のビタミンB12を摂取するよう助言している。この年代の成人は、年齢とともに胃酸が減少し、萎縮性胃炎が多くなる傾向があるため、食品中のタンパク質と結合した天然型ビタミンB12が十分に吸収されない可能性がある[6]。また、DGAは、主に強化食品やダイエタリーサプリメントから推奨量のビタミンB12を摂取することを推奨しているが、これは60歳以上の人に限られる。DGAは、一部の医薬品(プロトンポンプ阻害剤など)の使用は、食品中のビタミンB12の吸収を低下させる可能性があると付け加えている[56]。

5,000例以上の高齢者(平均年齢69~73歳)を対象としたCOSMOS臨床試験の3件の付随研究の結果から、1~3年間にわたってMVMサプリメントを摂取することで認知機能を維持または向上できる可能性が示唆されている[45]。

その他

食事だけでは栄養摂取が不十分な人、低カロリーの食事をしている人、特定の食品を避けている人(厳格なベジタリアンやビーガンなど)は、MVMサプリメントの摂取が有効である可能性がある[62]。医療従事者は、栄養素の消化、吸収、利用を阻害するような病状や疾患を持つ人々にMVMサプリメントを処方することがある。

米国政府の医療機関、民間の医療団体、医療専門機関のいずれにおいても、MVMサプリメントの常用を推奨するものはない。一般的に、MVMサプリメントは、栄養価の高いさまざまな食品を食べていない人が、必要な栄養素を十分な量摂取するのに役立つ可能性があると考えられる。しかし、食品には健康に役立つ他の栄養素や成分が含まれているため、MVMサプリメントは健康的な食生活に重要なさまざまな食品の代わりにはならない。

安全性の問題

推奨摂取量とほぼ同じ量の栄養素を摂取できるベーシックなMVMサプリメントは、健康な人にとっても安全であると考えられる。MVMサプリメントの使用者の研究では、いくつかの研究で治療群とプラセボ群の両方が軽度の胃腸の問題を経験したことを除いて、副作用はないことが明らかにされている[63]。しかし、MVMやその他のサプリメントを摂取し、強化された食品や飲料を摂取する人は、ULを超える量の栄養素を摂取する可能性があり、副作用の可能性が高くなる[64]。また、ビタミンやミネラルをULに近い量またはそれを超える量で含むMVMサプリメントを摂取している人にとっては、過剰摂取が懸念される可能性がある。

喫煙者、また、おそらく元喫煙者も、高用量のβ-カロテン、ビタミンAを含むMVMサプリメントの使用は避けるべきである。その理由は、これらの栄養素による喫煙者における肺がんリスク(危険)の増加を示した2件の研究があるからである[65]。フィンランドの男性喫煙者29,133例を対象としたRCTでは、ビタミンE(酢酸dl-αトコフェリルとして50mg/日)を含むあるいは含まない形でβ-カロテン(20mg/日)を摂取した喫煙者は、プラセボまたはビタミンEのみを摂取した喫煙者よりも5年から8年のフォローアップ期間に肺がん発生率が18%高かった[66]。18,314例の喫煙者、元喫煙者、およびアスベスト曝露者を対象とした別のRCTでは、β-カロテン30 mg/日とビタミンA 25,000 IU/日(レチノールとして)を組み合わせて摂取した参加者は、平均4年の追跡期間後にプラセボ摂取者よりも肺がんリスク(危険)が28%高かった[67]。この2件の試験に基づき、USPSTFは、喫煙者、喫煙経験者、または職業上アスベストに曝露した人々において、β-カロテンの補給が肺がんのリスク(危険)を高めるかもしれないと警告した[52]。USPSTFはまた、β-カロテンの補給はCVDによる死亡リスク(危険)を増加させる可能性があると指摘した。

妊娠中に過剰なビタミンA(レチノールやその他のビタミンAの前段階の形であって、β-カロテンではない)を摂取すると、乳児の先天性異常のリスク(危険)を高める可能性がある。妊娠中のビタミンAのULは、青少年で2,800μg/日、女性で3,000μg/日である[68]。

医薬品との相互作用

推奨量の栄養素を供給するMVMサプリメントは、通常、医薬品と相互作用しないが、1つの重要な例外がある。ワルファリン(クマジン、ヤントヴェン)などの特定の血液希釈剤を服用している人は、ビタミンKを含むMVMサプリメントまたはダイエタリーサプリメントを摂取する前に、今かかっている医療機関※に相談する必要がある [69,70]。ビタミンKは血液凝固に関与し、ワルファリンや同種薬剤の効果を減弱させる。今かかっている医療機関は、患者が日常的に摂取しているビタミンKの量を評価することによって、その患者に対するこの医薬品の投与量を決定している。

マルチビタミン/ミネラルの選び方

ベーシックなMVMサプリメントにはビタミンとミネラルの両方が含まれているが、そのほとんどはDV値を超えない量となっている。しかし、MVMサプリメントはカルシウム(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、マグネシウム(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、カリウムなど特定の栄養素の含有量が少ないことが多いため、サプリメントの使用者は製品ラベルを確認する必要がある。MVMサプリメントを選ぶ際には、消費者は自分の年齢、性別、ライフステージ(妊娠など)に合わせて設計された製品を摂取することを考慮する必要がある。例えば、高齢者向けMVMサプリメント(シニア向けまたは50歳以上向け処方と呼ばれることもある)には、鉄分がほとんど含まれていないか、全く含まれていないことが多く、カルシウム、ビタミンD、ビタミンB12の含有量は、若年成人向けMVMサプリメントよりも多い [71]。妊産婦用サプリメントには、一般的にレチノールという形でビタミンAは含まれておらず、ほとんどの小児用MVMサプリメントは年齢に応じた量の栄養素を含んでいる。

マルチビタミン/ミネラルと健康的な食生活

連邦政府の「2020–2025 Dietary Guidelines for Americans(2020-2025年版 米国の食事指針)」では、「食品は健康に役立つさまざまな栄養素やその他の成分を提供するため、栄養ニーズは主に食品を通して満たす必要がある。…場合によって、強化食品やダイエタリーサプリメントは、他の方法では1つまたは複数の栄養素の必要量を満たすことができない場合(例えば、妊娠などの特定のライフステージ)に有用である。」と記されている [56]。

DGAはMVMサプリメントについて言及していないが、米国人が健康的で栄養価の高い食品と飲料を選ぶよう推奨している。DGAは、米国の食生活において公衆衛生上特に懸念される栄養素として、成人および小児におけるカルシウム、カリウム、食物繊維、ビタミンDを挙げている。また、鉄は、主に母乳で育てられ、補完食から十分な鉄を摂取できていない生後6~11カ月の乳児、思春期の女性、妊娠中の女性にとって、公衆衛生上懸念される栄養素である。MVMは、その製法によっては、カリウム(MVMはこのミネラルをごく少量しか含まないため)と食物繊維を除いて、これらの栄養素を十分な量摂取するのに役立つことがある。

健康的な食生活の構築についての詳細は、「Dietary Guidelines for Americans(米国の食事指針)」[英語サイト」と米国農務省の「MyPlate(私の食事)」[英語サイト]をご覧ください。

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

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更新日:2025年6月19日

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

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