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ヨウ素
Iodine

- 写真に掲載している食材の成分表一覧
[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版最終アクセス確認日:2024年12月
このファクトシートは医療関係者向けです。一般的な概要については、「一般向けファクトシート」をご覧ください。
はじめに
ヨウ素は一部の食品中に天然に含まれる微量元素であり、一部の塩に添加、あるいはダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)として販売されている。ヨウ素は甲状腺ホルモンであるサイロキシン(thyroid hormones thyroxine:T4)とトリヨードサイロニン(triiodothyronine :T3)の必須成分である。甲状腺ホルモンは、タンパク質の合成や酵素活性など、多くの重要な生化学反応を調節し、代謝活性の重要な決定因子となる[1,2]。また、胎児および乳児の骨格系および中枢神経系の正常な発達に必要な物質でもある[1]。
甲状腺の機能は、主に甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone:TSH)、別名サイロトロピンによって制御されている。TSHは、下垂体から分泌され、甲状腺ホルモンの産生と分泌をコントロールし、甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症から体を守る[1]。TSHの分泌は甲状腺のヨウ素の取り込みを増加させ、T3およびT4の合成と放出を促進する。ヨウ素が不足するとTSH濃度は上昇したままとなり、循環血中のヨウ素を少しでも多く捕捉して甲状腺ホルモンを産生しようと身体が試みるため、甲状腺腫(甲状腺肥大)を発症する。ヨウ素は、この他にも体内において生理学的機能を有するかもしれない。例えば、免疫反応に関与している可能性や、乳腺異形成や乳腺線維嚢胞症に有用であるかもしれない[2]。
地球の土壌にはさまざまな量のヨウ素が含まれており、生産される農産物のヨウ素含有量にも影響を与える。世界の一部地域ではヨウ素欠乏土壌が多く、その地域の食品を主に摂取している人はヨウ素欠乏のリスク(危険)が高くなる。多くの国で実施されている塩のヨード化プログラムにより、世界のヨウ素欠乏症の有病率は劇的に減少している[2,3]。
食品中やヨウ素添加塩中のヨウ素は、ナトリウム塩やカリウム塩、無機ヨウ素(inorganic iodine:I2)、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、還元型ヨウ素などの化学形態で存在している[4]。ヨウ素は元素としてはほとんど存在せず、塩として存在する。このため、ヨウ素ではなくヨウ化物として扱われる。ヨウ化物は胃や十二指腸で速やかにほぼ完全に吸収される。ヨウ素酸塩は消化管で還元され、ヨウ化物として吸収される[2,5]。ヨウ化物は循環血中に入ると、甲状腺で甲状腺ホルモン合成に適量濃縮され、余剰分は尿中に排泄される[2]。ヨウ素が充足している健康な成人には約15~20mgのヨウ素があり、その70~80%が甲状腺に含まれている[6]。
尿中ヨウ素濃度の中央値は、小児と成人で100〜199μg/L、妊婦で150〜249マクロg/L、授乳中の女性で100 μg/L超であり、ヨウ素の摂取量は十分であることを示す[3]。小児や妊娠していない成人において尿中ヨウ素濃度が100 µg/L未満である場合はヨウ素摂取不足の可能性があるが、尿中ヨウ素濃度が20 µg/L未満となるまでは、重度のヨウ素欠乏症には分類されない。
推奨摂取量
米国科学アカデミー医学研究所の食品栄養委員会(Food and Nutrition Board:FNB)が設定した食事摂取基準(Dietary Reference Intakes:DRI)には、ヨウ素や他の栄養素の推奨摂取量が提示されている[2]。DRIは、健康な人の栄養摂取の計画と評価に関する一連の基準値に対する総称である。この値は、年齢、性別 [2]、下記条件により異なる:
- 推奨所要量(推奨量、Recommended Dietary Allowance、RDA):ほぼすべて(97%~98%)の健康な人の栄養所要量を満たすのに十分な1日あたりの平均摂取量であり、個人の栄養的に適切な食事を計画する際によく用いられる。
- 適正摂取量(目安量、Adequate Intake:AI):このレベルの摂取は、栄養の適切性を確保するために想定されており、RDAを策定するためのエビデンス(科学的根拠)が不十分な場合に設定される。
- 推定平均必要量(Estimated Average Requirement:EAR):健康な人の50%の必要量を満たすと推定される1日の平均摂取量。通常、集団の栄養摂取量を評価し、栄養的に適切な食事を計画するために使用される。また、個人の栄養摂取量の評価にも使用できる。
- 許容上限摂取量(上限量、Tolerable Upper Intake Level:UL):健康への悪影響はないと思われる1日の最大摂取量
表1に、最新のヨウ素のRDAを示す [2]。FNBは、米国の健康な母乳栄養児の平均ヨウ素摂取量を、生後0〜12カ月齢の乳児におけるヨウ素のAIに設定している。
年齢 | 男性 | 女性 | 妊娠 | 乳婦 |
---|---|---|---|---|
生後0〜6カ月 | 110µg | 110µg | ||
生後7~12カ月 | 130µg | 130µg | ||
1~3歳 | 90µg | 90µg | ||
4~8歳 | 90µg | 90µg | ||
9~13歳 | 120µg | 120µg | ||
14~18歳 | 150µg | 150µg | 220µg | 290µg |
19歳以上 | 150µg | 150µg | 220µg | 290µg |
*適正摂取量(AI)
世界保健機関(World Health Organization:WHO)、国際連合児童基金(United Nations Children’s Fund:UNICEF)およびヨウ素欠乏症国際対策機構(International Council for the Control of Iodine Deficiency Disorders:ICCIDD)は、妊婦に対してRDAよりわずかに高いヨウ素摂取量(250 µg/日)を推奨している[3,7]。
ヨウ素の供給源
食品
海藻類(昆布、海苔、昆布、ワカメなど)は、ヨウ素の最も優れた食品源の一つである[5]。その他の優れた供給源には、魚やその他の魚介類、卵などがある(表2を参照)。ヨウ素は人の母乳中[2,5] や乳児用調整粉乳中にも存在する[8]。
乳製品にはヨウ素が含まれている。しかし、乳製品に含まれるヨウ素の量は、牛がヨウ素の飼料を摂取していたかどうか、牛や牛乳加工機器の洗浄にヨウ素系除菌剤が使用されていたかどうかによって異なる[9]。例えば、無脂肪牛乳59件のサンプルを分析したところ、1カップあたり38~160μgの範囲であった(表2では平均値の84μg/カップを使用)[8]。大豆飲料やアーモンド飲料など、牛乳の代用として使用される植物性飲料には、比較的少量のヨウ素が含まれている。
市販のパンのほとんどは、製造業者が生地調整剤としてヨウ素酸カリウムやヨウ素酸カルシウムを使用していない限り、ヨウ素はほとんど含まれていない[10,11]。製造業者は製品ラベルに生地調整剤を成分として記載しているが、これらの生地調整剤が相当量のヨウ素を供給しているにもかかわらず、栄養成分表示のラベル[12]にヨウ素を含めることは要求されていない。米国農務省(United States Department of Agriculture:USDA)のブランド食品製品データベースの2019年のデータによると、白パン、全粒粉パン、ハンバーガーパン、ホットドッグパンの約20%が成分ラベルにヨウ素が表示されていた [13]。パスタはヨウ素の一部を吸収するため、ヨウ素添加塩を含む水で調理しない限り、ヨウ素の供給源にはならない[11]。
ほとんどの果物や野菜はヨウ素の含有量が少なく、その含有量は土壌のヨウ素含有量、肥料の使用、灌漑の方法などに影響される[2,10]。この差異は、動物が摂取する食品のヨウ素含有量に影響を与えるため、肉や動物性食品のヨウ素含有量にも影響を与える[14]。海藻のヨウ素含有量も、種類によって大きく異なる。例えば、丸ごとあるいは1枚で市販されている海藻のヨウ素濃度は16μg/g~2,984μg/gである[15]。これらの理由から、表2に記載されている食品の値はおおよそのものであるが、ヨウ素摂取量を推定するための目安として使用可能である。
食品(1オンスは約28g、1カップは240ml) | 1回当たりの摂取量(μg) | %DV* |
---|---|---|
パン、白、強化、ヨウ素酸塩の生地調整剤を使用、2枚** | 296 | 197 |
パン、全粒粉、ヨウ素酸塩の生地調整剤を使用、2枚** | 273 | 182 |
タラ、オーブン焼き、3オンス(約85g) | 146 | 97 |
海藻、海苔(乾燥) 大さじ2、フレーク状(5 g) | 116 | 77 |
牡蠣、加熱調理、3オンス(約85g) | 93 | 62 |
ヨーグルト、ギリシャヨーグルト(乳清や水分を取り除いた、堅めのヨーグルト)、プレーン、無脂肪、3/4 カップ(180ml) | 87 | 58 |
牛乳、無脂肪乳、1カップ(240ml) | 84 | 56 |
ヨウ素添加食塩、小さじ1/4 | 78 | 52 |
フィッシュスティック、加熱調理、3オンス(約85g) | 57 | 38 |
卵、固ゆで、Lサイズ1個 | 31 | 21 |
パスタ、栄養強化、ヨウ素酸塩入りの水で茹でたもの、1カップ(240ml) | 30 | 20 |
アイスクリーム、チョコレート、2/3カップ(160ml) | 28 | 19 |
チーズ、チェダー、1オンス(約28g) | 14 | 9 |
レバー、牛肉、加熱調理、3オンス(約85g) | 14 | 9 |
エビ、加熱調理、3オンス(約85g) | 13 | 9 |
ツナ(マグロ)、水煮缶詰、水切り、3オンス(約85g) | 7 | 5 |
量が少な目のシロップのフルーツカクテル(刻んだ果物を数種取り合わせ、果汁を主にしたシロップ状のソースを加えたもの)、缶詰、1/2カップ(120ml) | 5 | 3 |
フィッシュソース、大さじ1 | 4 | 3 |
牛肉、肩肉、ロースト、3オンス(約85g) | 3 | 2 |
豆乳、1カップ(240ml) | 3 | 2 |
鶏むね肉、ロースト、3オンス(約85g) | 1 | 1 |
リンゴジュース、1カップ(240ml) | 1 | 1 |
パン、全粒粉、ヨウ素酸塩の生地調整剤不使用、2枚** | 1 | 1 |
パン、白、強化、ヨウ素酸塩生地調整剤不使用、2枚** | 1 | 1 |
海塩、ヨウ素添加でないもの、小さじ1/4 | 0 | 0 |
米、玄米、加熱調理、3/4カップ(180ml) | 0 | 0 |
トウモロコシ、缶入り、1/2カップ(120ml) | 0 | 0 |
ブロッコリー、茹で、1/2カップ(120ml) | 0 | 0 |
バナナ、大1本 | 0 | 0 |
しょうゆ、大さじ1 | 0 | 0 |
リマ豆、茹でたもの、1/2カップ(120ml) | 0 | 0 |
グリーンピース、茹で、1/2カップ(120ml) | 0 | 0 |
パスタ、栄養強化、ヨウ素酸塩なしの水で茹でたもの、1カップ(240ml) | 0 | 0 |
*DV = 1日摂取量。米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、消費者が総合的な食生活の中で、食品やダイエタリーサプリメントの栄養素の含有量を比較するためにDVを設定した。ヨウ素に対するDVは成人および4歳以上の小児で150 µgである [12]。FDAは、ヨウ素が食品に追加されていない限り、ヨウ素含有量を食品ラベルに表記することを要求していない。DVの20%以上を含む食品は、その栄養素を多く含む供給源と考えられるが、DVの低い割合の食品も健康的な食生活に寄与している。
**米国のパン製品の約20%は、ヨウ素酸塩の生地調整剤をラベルに記載している。これらの調整剤を使用せずに作られた製品には、ヨウ素はほとんど含まれていない。
米国農務省(U.S. Department of Agriculture:USDA)、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)、およびODS-NIHの一般食品のヨウ素含有量データベース[英語サイト][8]は、ヨウ素含有のさまざまな食品や飲料を表記している。
ヨウ素添加塩
米国、カナダをはじめ、数十カ国で食塩ヨウ素化プログラムが実施されている[3,16,17]。米国では、1920年代から塩の製造業者が食塩にヨウ素を添加してきましたが、この習慣は現在も任意です[18]。FDAはヨウ化カリウムおよびヨウ化銅をヨウ素添加塩に承認しているが [19]、WHOはより良い安定性があるため、特に高温多湿の熱帯気候ではヨウ化カリウムを推奨している [3]。ラベル表示によると、米国ではヨウ素添加塩には塩1 g(小さじ1/8〜1/4杯)あたり45 µgのヨウ素が含有されている。測定に用いたサンプル塩には塩1 gあたり平均47.5~50.7 µgのヨウ素が含有されている[8,18]。しかし、米国では塩分の大部分を加工食品から摂取しており、加工食品製造業者は、ほとんどの場合非ヨウ素添加塩を使用している。加工食品製造業者がヨウ素添加塩を使用した場合は、食品ラベルの原料欄にヨウ素添加塩と記載しなければならない[9]。また、海塩、コーシャ塩、ヒマラヤ塩、フルール・ド・セル(良質の塩田から取れる大粒の天日塩) などの特殊塩は、通常、ヨウ素添加されていない。製品ラベルには、その塩が「ヨウ素添加」されているかどうか、ヨウ素を含んでいるかどうかが記載されている。表2が示す通り、実際にヨウ素添加されていない海塩にはヨウ素が含まれていない [8]。
ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)
ダイエタリーサプリメントでは、ヨウ素はヨウ化カリウムまたはヨウ化ナトリウムとして存在することが多い[20]。また、ヨウ素を含む海藻であるケルプを配合したサプリメントも販売されている。小規模研究で、人はヨウ化カリウムをほぼ完全に(96.4%)吸収することが示されている[21]。
多くのマルチビタミン/ミネラルサプリメント(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)はヨウ素を含み、その量は150 μgであることが多い[20] 。また、すべてではないが、一部の妊婦用サプリメントはヨウ素を含む [22]。ヨウ素だけを含むダイエタリーサプリメントもあり、その多くは高用量で、時にはUL値を超えている[20]。ヨウ素を含む多くのダイエタリーサプリメントは、NIHのダイエタリーサプリメントラベル表示データベース(Dietary Supplement Label Database)に登録されている[20]。このデータベースは、米国で販売されている数万種類のダイエタリーサプリメントのラベル情報を記載している。

ヨウ素の摂取状況
ヨウ素摂取
FDAが監督するプログラム全食事量調査(Total Diet Study:TDS)では、米国人集団における推定ヨウ素摂取量が算出された[23]。TDSプログラムでは、米国の平均的な食生活を代表する食品を購入し、ヨウ素を含むいくつかの成分を分析する。2008~2012年に収集したTDSの食品サンプルの分析結果によれば、食事摂取の推定もあわせると、米国におけるヨウ素の平均1日摂取量は216µg/日で、全人口・性別集団において141~296µg/日であった[24]。この摂取量は、どの人口集団においてもEARを満たしているか、超過していた。
TDSのデータには、ヨウ素添加塩を自主的に使用した場合のヨウ素添加塩由来のヨウ素摂取量は含まれていない[25,26]。米国では多くの家庭でヨウ素添加塩を使用しているため、TDSデータはほとんどの米国居住者の真のヨウ素摂取量を過小評価している可能性がある。1999年~2004年にかけて収集された米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)のデータによると、成人の28-29%がヨウ素を含むダイエタリーサプリメントを使用していることが明らかとなった[27]。この調査結果からも、米国人集団の総ヨウ素摂取量がさらに増えることになる。
一般的な米国人集団のヨウ素摂取状況
通常、ヨウ素摂取状況の評価には尿中ヨウ素測定法を用いる。食事由来のヨウ素の90%以上が尿中に排泄されるため、尿中ヨウ素濃度は食事由来のヨウ素摂取量を直接反映している[4]。スポット尿中ヨウ素測定法は、人口集団におけるヨウ素摂取状況を判定するのに有用な指標である[28,29]。しかし、24時間尿中ヨウ素を複数回測定するか、スポット尿を複数回測定する方が、より正確である[4,30]。
大規模調査の一環として採取されたスポットサンプルによる尿中ヨウ素濃度の中央値は、集団のヨウ素状態を特徴づけるために使用することが可能である[31]。しかし、スポットサンプルは個人のヨウ素状態を示す指標としては適切ではないため [30]、これらの測定値はヨウ素欠乏症の個々の症例の診断や、ヨウ素欠乏症または過剰摂取の人口の割合を特定するために使用することはできない [31]。学齢児童や妊娠していない成人の集団がヨウ素を十分に摂取しているためには、尿中ヨウ素濃度の中央値が100 μg/Lを超え、50μg/Lを下回る集団が20%を超えてはならない[3]。
1971年以来、NHANESによる尿中ヨウ素測定は、米国人集団のヨウ素状態をモニターするために使用されている[32]。NHANESモニタリングプログラムの開始以来、尿中ヨウ素測定により、米国人集団におけるヨウ素の摂取量が適正であることが示されている。これには、尿中ヨウ素濃度が50%以上低下した期間(1971〜1974年および1988〜1994年)も含まれている[2,33]。尿中ヨウ素濃度が低下した主な原因は、酪農業界におけるヨウ素含有飼料添加物やヨードフォア消毒剤の使用量の減少[34]、および業務用パン製造業者によるヨウ素酸塩製パン改良剤の使用量の減少による牛乳中のヨウ素濃度の低下です。この期間には、フルーツ味の朝食シリアルに多用されるヨウ素含有食物着色料であるエリスロシンの使用量も減少している[34]が、エリスロシン由来のヨウ素のバイオアベイラビリティー(生物学的利用能)は低いことが明らかになっているため、エリスロシンの使用量減少が実際に尿中ヨウ素濃度に影響を与えたかどうかは不明である[35]。この尿中ヨウ素濃度の急激な低下により、1990年代後半には、このままでは米国人集団のヨウ素充足率が危うくなるのではないかと懸念された[33]。
より最近のNHANESの測定では、尿中ヨウ素濃度は一般的な米国人集団において安定していることが示されている。2007~2008年にかけて、6歳以上のNHANES参加者の尿中ヨウ素濃度の中央値は164 μg/Lであった[36]。2007~2014年のNHANES によると、妊娠可能年齢の女性における尿中ヨウ素濃度中央値は119µg/Lであった [37]。これらの数値は過去3年間のNHANES調査では原則的に変動しておらず、一般的な米国人集団における食事由来のヨウ素摂取量は2000年以降、安定していることが示されている[36]。
米国における妊婦のヨウ素摂取状況
WHOによると、尿中ヨウ素濃度の中央値が150〜249μg/Lであれば妊娠中のヨウ素栄養は十分であり、150μg/L以下であれば不十分とされている[3,7]。2003~2014年のNHANESのデータ解析から、米国の多くの妊婦がヨウ素不足であることが示されている。NHANES調査に参加した妊婦の尿中ヨウ素濃度の中央値は、2003~2004年に181 μg/L、2001~2006年に153 μg/L、2005~2008年に125 μg/L、2007~2014年に144μg/Lであった[32,36-38]。オーストラリアでも、妊娠中のヨウ素摂取量が適正値より若干低いことが明らかになっている [39]。
乳製品を摂取していない妊婦は、特にヨウ素欠乏の危険性が高いかもしれない。2001〜2006年のNHANESのデータによると、過去24時間に乳製品を摂取した妊婦の尿中ヨウ素濃度中央値が163 µg/Lであったのに対し、摂取していない妊婦では100 µg/Lと低値であった [38]。また、食事由来の塩分摂取を制限している女性の尿中ヨウ素濃度も低いため、塩分を制限していない女性よりヨウ素欠乏のリスク(危険)が高いかもしれない[40]。
全体として、一般的な米国人集団のヨウ素摂取量は適正であると考えられるが、一部の妊婦ではヨウ素欠乏のリスク(危険)があるかもしれない。ヨウ素欠乏症を最も発症しやすい人口サブグループにさらに重点を置いて、全米におけるヨウ素摂取状況を継続して監視する必要がある。
ヨウ素の欠乏
ヨウ素の欠乏は、成長や発達に対して複数の有害作用を及ぼすとともに、世界における予防可能な精神遅滞の最も多い原因である [41]。ヨウ素欠乏症は、ヨウ素不足に続発する甲状腺ホルモン産生不足が原因で起こる[5]。妊娠中や乳幼児期には、ヨウ素欠乏により不可逆的な影響を受けることがある。
正常な状態では、体はTSHを介して甲状腺ホルモン濃度を厳密にコントロールしている。一般的に、ヨウ素摂取量が約100μg/日以下になるとTSHの分泌が増加する[5]。TSHは、血液からの甲状腺ヨウ素の取り込みと甲状腺ホルモンの産生を増加させる。しかし、ヨウ素の摂取量が非常に少ないと、TSH値が上昇していても甲状腺ホルモンの産生を低下させることがある。さらに、ヨウ素摂取量が少ない場合、TSH濃度が正常範囲内にとどまることがあるため、TSHはヨウ素欠乏の感度の高い指標ではないことに注意することが重要である[5]。
ヨウ素摂取量が約10〜20 µg/日未満に減少した場合は甲状腺機能低下症が認められ [1]、多くの場合、甲状腺腫を併発する。甲状腺腫は、通常最初に認められるヨウ素欠乏症の臨床徴候である[2]。妊娠女性の場合、この重症度のヨウ素欠乏症は胎児に重大な神経発達障害や発育遅延を生じ、流産や死産を引き起こす可能性がある[5]。胎内の慢性的で重度のヨウ素欠乏は、知的障害、聾唖症、骨格筋緊張亢進、発育不全、性成熟遅延、その他の身体的・神経的異常を特徴とするクレチン症を引き起こす[5]。
幼児や小児では、軽度のヨウ素欠乏でも、IQで測定される知能が平均よりやや低いなどの神経発達障害を引き起こすこともある[1,42,43]。また、母体における軽度から中等度のヨウ素欠乏によっても、小児の注意欠陥・多動性障害のリスク(危険)が増大する[44]。成人の場合、軽度から中等度のヨウ素欠乏は甲状腺腫を引き起こすだけでなく、甲状腺機能低下症による精神機能や仕事の生産性の低下をもたらすことがある。慢性的なヨウ素欠乏は、濾胞性甲状腺がんのリスク(危険)が上昇するかもしれない[45]。
ヨウ素不足のリスク群
歴史的には、ヨウ素欠乏は米国やメキシコの山岳地帯や、五大湖周辺のいわゆる「甲状腺腫ベルト」と呼ばれる地域で流行していた[46]。食品供給やヨウ素添加塩の普及などにより、北米では現在、明らかなヨウ素欠乏はまれである。1990年代初頭からの国際的な取り組みにより、世界のヨウ素欠乏症の発生率は劇的に減少したが、一部の人々は依然としてヨウ素摂取不足のリスク(危険)にさらされている。ヨウ素欠乏は、25カ国、総人口約6億8300万人において、依然として公衆衛生上の問題である[47]。以下のグループは、ヨウ素の摂取量が不十分である可能性が最も高いグループである。
ヨウ素添加塩を使用していない人
ヨウ素添加塩の使用は、ヨウ素欠乏症の予防に最も広く利用されている方法である。現在、世界の約88%の家庭でヨウ素添加塩が使用されているが、一部の地域、特に東南アジア、サハラ以南のアフリカ、東ヨーロッパでは依然としてヨウ素欠乏が多発している[47,48]。
妊婦
妊娠中は、ヨウ素のRDAが150~220μg/日に増加する[2].調査によると、米国では、明らかなヨウ素欠乏の徴候や症状がなくても、多くの妊娠女性がヨウ素の摂取量不足であるかもしれないことが示されている[36]。現時点では、この状況が胎児の発育になんらかの影響を及ぼすかどうかは不明である。
ビーガン(完全菜食主義者:動物性食品を一切摂取しない人)、または乳製品、海産物、卵をほとんどあるいはまったく食べない人。
海産物、卵、牛乳、乳製品は、ヨウ素の最も優れた供給源の1つである。ビーガン、特定の食品アレルギーまたは乳糖不耐症の人、およびこれらの食品を全くまたは最低限しか摂取していない人は、十分な量のヨウ素を摂取できない可能性がある[49,50]。
土壌中のヨウ素が欠乏している地域に居住する人
ヨウ素が欠乏している土壌では、ヨウ素含有量の低い農作物が生産される。山岳地帯(ヒマラヤ、アルプス、アンデス地方など)や洪水の起こりやすい河川流域(特に南・東南アジア)は、世界で最もヨウ素が不足した地域の一つである[5]。これらの地域に住む人は、ヨウ素添加塩やヨウ素欠乏地域外で生産された食品を摂取しない限り、ヨウ素欠乏のリスク(危険)がある。
甲状腺腫誘発物質を含有する食品を摂取しており、ヨウ素摂取状況が良好ではない人
甲状腺腫誘発物質(甲状腺におけるヨウ素の取り込みを阻害する物質)を含有する食品を摂取した場合、ヨウ素欠乏症が悪化するおそれがある[2]。甲状腺腫誘発物質含有量が高い食材は大豆、キャッサバ、アブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなど)である。鉄分やビタミンAの欠乏も甲状腺腫を誘発するかもしれない[51]。これらの問題は、主にヨウ素欠乏症の発生しやすい地域に住む人にとって懸念されるものである[6]。ほとんどの人々、特に十分なヨウ素摂取があり、さまざまな食品を摂取している米国人集団にとって、甲状腺腫誘発物質を含有する食品を適量摂取しても問題はない。
ヨウ素と健康
ヨウ素は、胎児や乳児の発育、甲状腺ホルモンの生成に重要な役割を果たすため、あらゆるライフステージで適切な健康を保つために重要な栄養素とされている。ここは、健康と疾病におけるヨウ素の役割を検証する生物医学研究の4つの分野、すなわち、胎児と乳児の発育、小児期の認知機能、乳腺線維嚢胞症、および射線誘発性甲状腺がんに焦点を当てる。また、放射性ヨウ素治療を控えている患者に通常勧められる低ヨウ素食の項目もある。
胎児・乳児の発達
胎児が正常に発育するためには、妊娠中に適正量のヨウ素を摂取することが極めて重要である。胎児の甲状腺の発達が不完全な妊娠初期には、胎児は母体のT4、つまり、母体のヨウ素摂取量に完全に依存する[52]。妊娠中はT4の産生が約50%増加するため[53]、母体のヨウ素摂取量の増加が必要である。また、生後も、身体や神経が適切に成長・成熟するためには適正量の要素を摂取することが重要である。
乳幼児は他の年齢層よりもヨウ素欠乏の影響を受けやすいことを示唆する研究結果があり、これは軽度のヨウ素欠乏でもTSHおよびT4レベルが変化することで示されている[54]。米国では重度のヨウ素欠乏症はまれであるが、妊娠中の軽度から中等度のヨウ素欠乏は胎児の発育にわずかな影響を与えるかもしれない[4,55-59]。オランダ、スペイン、イギリスの3つの出生コホート研究の母子6,180組のメタアナリシスによると、母親が妊娠第1期のヨウ素の状態が低い場合、1歳半から8歳の子で評価した言語性知能が低くなることが明らかにされた[43]。妊娠中や授乳中のヨウ素の必要量の増加に対応するため、ヨウ素のRDAは、妊娠女性が220μg/日、授乳女性が290μg/日となっている[2]。同様に、WHOは妊娠中と授乳期には250μg/日を推奨している[3]。
胎児の適切な発育にヨウ素が重要であるにもかかわらず、妊娠中のヨウ素補給が特に乳幼児の神経発達に及ぼす影響は暫定的である。2件のランダム化臨床試験は、妊娠初期から出産までヨウ素を投与し(ヨウ化カリウムとして150または200μg/日)、1歳半または2歳時に同じツールを用いて小児の認知機能を評価するという、同様の研究デザインを採用していた[60,61]。ヨウ素の補給は、小児の認知機能、言語機能、運動機能に関する評価点に影響を与えなかった[62]。これらの試験のうち1件は、5~6歳時点の小児においても評価し、母親のヨウ素摂取が小児の神経発達への有益性は認められなかった[60]。
母乳にはヨウ素が含まれているが、その濃度は母体のヨウ素濃度によって異なる。母乳のみで育つ乳児は、最適な発育のために母親のヨウ素摂取量が充足しているかに依存している。ボストン地域の健康な授乳女性57例を対象とした研究では、母乳中のヨウ素濃度の中央値は155 μg/Lであった[63]。乳児における既知のヨウ素要求量や標準的な授乳量をもとに研究者らが算出した結果、47%の女性はヨウ素含有量が不足している母乳を乳児に授乳しているかもしれないことが示された。離乳期には、ヨウ素を含む補完食を与えられていない乳児は、ヨウ素添加塩プログラムのある国でも、ヨウ素欠乏のリスク(危険)の可能性がある[64,65]。
胎児と乳児の適切な発育のために十分な量のヨウ素を供給するために、米国内外の複数のグループが妊娠中、授乳中、幼児期にヨウ素を補給することを推奨している。ヨウ素添加塩の流通が弱い、不安定、または不均一な国に住む女性に対し、WHOはすべての妊娠可能な年齢の女性に、総ヨウ素摂取量150μg/日を達成するためのヨウ素補給を推奨している。これらの国の妊娠・授乳女性には、サプリメントと食事の両方から1日250μgのヨウ素摂取が推奨されている[3,7]。さらに、WHOはこれらの国に対して、幼児が7〜24カ月齢の間はヨウ素強化サプリメントを併用しながら24カ月齢まで母乳栄養を実施すべきであると推奨している[7]。
米国甲状腺学会(American Thyroid Association)は、妊娠を考えている女性、妊娠・授乳女性に対し、ヨウ化カリウムの形態でヨウ素(150 µg/日)を食事に加え摂取するよう推奨している[66]。同様に、米国小児科学会(The American Academy of Pediatrics)は、妊娠女性、妊娠を考えている女性、授乳女性が、少なくとも150μgのヨウ素を含むサプリメントを毎日摂取し、ヨウ素添加塩を使用することを推奨している[67]。
米国での妊娠・授乳女性のヨウ素含有ダイエタリーサプリメントの使用は、現在の推奨量と比較しても少ないようである。2016~2017年に市場で最も売れた59種類の妊娠女性用マルチビタミンサプリメントのうち、ヨウ素を含むのは34種類だけであった[22]。ヨウ素含有量の中央値は1日当たり150μg、範囲は25〜290μgで、34のうち25種類はヨウ化カリウムとしてヨウ素を提供していた。2011~2014年のNHANESのデータによると、72.2%の妊娠女性が何らかのダイエタリーサプリメントを摂取していたが、ヨウ素を含む製品を摂取していたのは17.8%のみであった[68]。授乳女性では、75%がダイエタリーサプリメントを摂取していたが、ヨウ素を含む製品を摂取している人は19%に過ぎなかった。
一方、2010年に報告された研究では、ヨウ素が比較的足りている地域でヨウ素を広範囲に補給することの安全性に疑問が投げかけられた。スペイン在住の妊娠女性を対象としたこの横断的研究では、ヨウ素摂取量が200 µg/日以上の女性では、ヨウ素摂取量が100 µg/日未満の女性と比較して高TSH血症(TSH濃度が3 μU/mL超)のリスク(危険)が有意に増加した[69]。この知見は、妊娠中に高用量のヨウ素を摂取すると甲状腺機能不全症が誘発される可能性を示唆しており、ヨウ素補給が妊娠女性の甲状腺機能に与える影響について、より詳しい研究が必要であることが浮き彫りにされた。
以上の知見を総合すると、妊娠中および授乳中のヨウ素の重要性に対する国民の意識向上が必要であり、妊娠中のヨウ素補給の影響に関する研究が今後も必要であることが示されている。多くの研究者や米国甲状腺学会は、妊娠可能年齢にある女性においてヨウ素の状態を継続的にモニターすることの重要性を強調している[1,4,32,38,56,70,71]。
小児の認知機能
重度のヨウ素欠乏症が神経学的発達に与える影響について、多くの研究がなされている。例えば、いくつかの研究の結果から、特に小児における慢性的で中程度から重度のヨウ素欠乏は、IQを約12~13.5ポイント低下させることが示唆されている[53]。2004年に報告されたコクランレビューでは、ヨウ素欠乏地域に住む小児へのヨウ素補給は、身体的・精神的発達に有益であり、死亡率を低下させる一方、その副作用はわずかで一過性であると結論付けている[72]。
小児期における軽度のヨウ素欠乏症の影響を定量的に評価することは非常に困難である。軽度のヨウ素欠乏は軽微な神経発達障害と関連しており、ヨウ素補給が軽度のヨウ素欠乏児の認知機能を改善するかもしれないことを示唆する研究もある[52]。
2009年にニュージーランドで実施されたランダム化プラセボ対照研究では、10〜13歳の小児184例(尿中ヨウ素濃度中央値63 µg/L)に、ヨウ素サプリメント(150 µg/日)またはプラセボを28週間投与した[73]。ヨウ素の補給によりヨウ素の状態が改善され(補給後の尿中ヨウ素濃度の中央値は145μg/L)、プラセボを摂取した小児と比較して、知覚推理の指標および認知機能の総合スコアが有意に改善された。これらの知見は、小児の軽度のヨウ素欠乏を是正することで、認知の特定の要素を改善できる可能性を示唆している。軽度のヨウ素欠乏とヨウ素補給の認知機能への影響を充分に理解するためには、さらなる研究が必要である。
乳腺線維嚢胞症
乳腺線維嚢胞症は、乳房に痛みを伴う凹凸病変や触診可能な線維症が認められる良性疾患である。妊娠可能年齢にある女性によく起こるが、特にエストロゲンを摂取している女性では、更年期にも起こることがある[74]。乳房組織にはヨウ素が多く含まれており、特に妊娠中や授乳期には多く含まれている[4,75]。一部の研究では、ヨウ素補給が乳腺線維嚢胞症に有用であるかもしれないことが示唆されたが、作用機序は不明であり [76]、データ数も限定的である。
二重盲検研究において、研究者らは乳腺線維嚢胞症に罹患した56例の女性をヨウ素補給群(70〜90 µg I2/kg体重)またはプラセボ投与群に無作為に割り付け、6カ月間の連日投与を行った[74]。治療終了時に、ヨウ素を補給された女性の65%が痛みの減少を報告したのに対し、プラセボ群では33%であった。より最近のランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験でも、同様の結果が得られている。この研究では、乳房痛の既往歴を有する乳腺線維症の女性111例(18〜50歳)を各群に無作為に割り付け、0 µg、1,500 µg、3,000 µg、または6,000 µgのヨウ素を含有する錠剤を連日投与した[76]。投与5カ月後に、ヨウ素投与量が3,000 µgまたは6,000 µgの群では、プラセボまたはヨウ素投与量が1,500 µgの群と比較して、乳房痛、圧痛および結節形成の有意な減少が認められた。また、研究者らは、自己評価による乳房痛の低減には用量依存性が認められたと述べている。いずれの群でも、ヨウ素投与に関連する重大な有害事象や甲状腺機能検査結果の変化は認められなかった。
これらの研究結果は有望ではあるが、乳腺線維嚢胞症におけるヨウ素の役割を明らかにするためには、さらなる研究が必要である。さらに、これらの研究で用いられた量(1日あたり約1,500〜6,000μg)は、成人のヨウ素UL値1,100μgの数倍である。このような高用量での摂取は、医師の指導下でのみ行われるべきである [2]。
放射線誘発性甲状腺がん
原子力事故では、放射性ヨウ素が環境中に放出される可能性があり、暴露を受けた人、特に小児における甲状腺がんのリスク(危険)が上昇する[77,78]。ヨウ素欠乏の人では、ヨウ素摂取量が十分な人よりも多くの放射性ヨウ素が甲状腺に取り込まれる。このため、ヨウ素欠乏の人が放射性ヨウ素を浴びると、放射線誘発性甲状腺がんを発症するリスク(危険)が特に高くなる。
FDAは、放射性ヨウ素の放出を伴う放射線緊急事態における甲状腺がんのリスク(危険)を低減するための甲状腺遮断薬として、ヨウ化カリウムを承認している[77]。FDAは、暴露を受けた人に対し、薬理量のヨウ素(ヨウ化カリウム16〜130 mg/日を年齢に応じて)を著しい放射線暴露の危険性が終息するまで毎日摂取するよう推奨している[77,78]。1986年のチェルノブイリ事故後、ポーランドではヨウ化カリウムが広く使用され、その後の小児甲状腺がん発生率は大きく上昇しなかった[79]。ベラルーシやウクライナなど、軽度のヨウ素欠乏の小児が多い地域でヨウ化物の予防投与が行われなかったところ、小児や青年の間で甲状腺がんの発生率が急激に増加した[77]。
放射性ヨウ素治療のための低ヨウ素食
分化型甲状腺がんに対する放射性ヨウ素治療を受ける準備をしている患者は、通常、治療前に低ヨウ素食を摂るように指示される。このガイダンスの根拠は、体内のヨウ素濃度を減少させ、放射性ヨウ素(ヨウ素131)の甲状腺への取り込みを増加させることである[80-82]。
低ヨウ素食は通常、治療前の1~2週間、ヨウ素摂取量を50μg/日以下に制限する[80-83]。しかし、具体的な推奨事項はさまざまであり、低ヨウ素食の最適なガイドラインを定義するための研究が進行中である。例えば、オランダのヨウ素が十分な地域で行われたある研究では、低ヨウ素食を4日間続けることで、患者が放射性ヨウ素治療に十分備えられるかもしれないことが明らかとなった[84]。この研究では、低ヨウ素食(50μg/日以下)を7日間続けた分化型甲状腺癌患者65例を対象に、24時間の尿中ヨウ素排泄量を検証した。低ヨウ素食4日目のヨウ素排泄量は7日目と有意差がなかった。しかし、著者らは、ヨウ素が豊富な地域に住む人々にとっては、低ヨウ素食を4日間続けるだけでは不十分かもしれないと指摘した。
低ヨウ素食を続けている人は、ヨウ素添加塩、魚介類、海藻類、牛乳・乳製品、レバー、卵など、多くの食品を避ける必要がある。また、ヨウ素酸塩の生地調整剤を使用したパンやその他の穀物製品、マラスキーノチェリー(アイスクリーム、パフェなどの添え物としてよく使われる、砂糖漬けされた甘いチェリー)や赤色またはピンク色の飲料も避ける必要がある。なぜなら、これらの製品にはヨウ素を含む赤色染料が使用されていることが多いからである[8,82,85]。ヨウ素が比較的少ない食品には、非ヨウ素化塩(多くの海塩を含む)、果実や果汁、野菜、植物性代用乳(大豆やアーモンド飲料など)、米、パスタ、オートミール、インゲン豆、ナッツ類、鶏肉、豚肉、牛肉(レバーを除く)、ヨウ素酸塩を含まないパンなどがある。
*食品の栄養成分表示のラベルには、通常、製造者が食品にヨウ素を添加していない限り、ヨウ素は記載されない。したがって、海藻、魚、その他の魚介類など、ヨウ素を自然に含む食品を識別するために、栄養成分表示のラベルを信頼することはできない。
ヨウ素は、昆布を含む製品や多くのマルチビタミン/ミネラルサプリメント[20]など、一部のダイエタリーサプリメントにも含まれている。栄養補助食品の成分表示には、ヨウ素の有無と含有量が記載されている。
放射性ヨウ素治療の準備をしている患者は、特に甲状腺ホルモンの休薬中であれば低ナトリウム血症を起こすことがある[86]。低ナトリウム血症のリスク(危険)を減らすために、米国甲状腺学会(American Thyroid Association)は低ヨウ素食を続けている時は非ヨウ素化塩の使用を制限すべきではないと指摘している[83] 。低ナトリウム血症のリスク(危険)があるその他のグループには、65歳以上の人、女性、サイアザイド系利尿薬を服用している人が含まれる[82]。非ヨウ化塩は食料品店で購入することができる。さらに、米国では加工食品に使用されるほとんどすべての塩がヨウ素化されていない。製品ラベルには、製造者がヨウ素化またはヨウ素を供給する塩を使用したかどうかが記載されている[9]。
放射性ヨウ素治療に備えて低ヨウ素食を計画する際、臨床医と患者にとって以下の資料が参考になるかもしれない:
- 米国甲状腺学会(American Thyroid Association)の「Low Iodine Diet(低ヨウ素食)」[英語サイト]には、食事とおやつのガイドラインとメニューの選択肢が載っている。
- 米国農務省(U.S. Department of Agriculture:USDA)、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)[英語サイト]、およびODS-NIHの一般食品のヨウ素含有量データベースでは、数百種類の食品および飲料の1人前および100グラム当たりのヨウ素含有量が掲載されています。食品の説明、平均値、標準偏差、値の範囲、サンプルサイズ、および補足資料を含みます。
- 国立がん研究所の"甲状腺がんの治療"には、放射性ヨウ素治療に関する情報が含まれている。
- 国立がん研究所の「小児甲状腺がんの治療」では、さまざまなタイプの小児甲状腺がんの危険因子、臨床像、診断、治療に関する情報を提供している。
放射性ヨウ素治療前に低ヨウ素食を行うことが広く推奨されているにもかかわらず、この習慣が治療の成功に与える影響を調べた研究の結果は一貫していない[80,82,83] 。2022年に報告された56件の量的研究と3件の質的研究のシステマティックレビューおよびメタアナリシスの著者らは、低ヨウ素食はヨウ素の状態を低下させると結論付けている[87]。しかし、これが放射性ヨウ素治療の成功率を高めるかどうかについては、はっきりした結果は得られていない。さらに、放射性ヨウ素治療に備えて低ヨウ素食を摂取することが、長期的な疾患の再発や死亡率に影響を及ぼすかどうかについては検討されていない[83] 。

ヨウ素過剰摂取による健康上のリスク
ヨウ素を過剰摂取すると、影響を受けやすい人では過剰なヨウ素が甲状腺ホルモン合成を阻害し、TSHによる刺激が増加するため、甲状腺が肥大する可能性があり、ヨウ素欠乏症と同様の症状(甲状腺腫、TSH濃度上昇および甲状腺機能低下症など)を引き起こす可能性がある[2,88]。また、ヨウ素誘発性甲状腺機能低下症の原因もヨウ素の過剰摂取であるが、その多くは、ヨウ素欠乏の治療目的でヨウ素を投与した際に発症する。この他、ヨウ素の過剰摂取は甲状腺炎や甲状腺乳頭部がんを引き起こすという研究結果もある[2,88]。急性ヨウ素中毒の症例はまれで、通常、何グラムもの摂取によって引き起こされる。急性中毒の症状は、口・喉・胃の灼熱感、発熱、腹痛、悪心、嘔吐、下痢、脈拍微弱ならびに昏睡である[2]。
過剰なヨウ素に対する反応や、有害作用を引き起こす量はさまざまである[89]。自己免疫性甲状腺疾患に罹患している、あるいはヨウ素欠乏などの一部の人では、一般集団では安全と考えられるヨウ素摂取量でも有害作用を生じるかもしれない[2,5]。
FNBは、食品とサプリメントの摂取量に対するヨウ素のULを設定している(表3)。ほとんどの人では、食品やサプリメントからヨウ素を摂取してもULを超えることはない[2]。ULより高用量のヨウ素を長期間摂取した場合は、健康上の有害な作用を生じるリスク(危険)が高くなる。ULは治療のためにビタミンCを摂取している人には適用されないが、このような人は、医師の監督下での摂取が必要となる[2]。
年齢 | 男性 | 女性 | 妊娠 | 乳婦 |
---|---|---|---|---|
生後0〜6カ月 | 設定不可* | 設定不可* | ||
生後7~12カ月 | 設定不可* | 設定不可* | ||
1〜3歳 | 200 µg | 200 µg | ||
4〜8歳 | 300 µg | 300 µg | ||
9〜13歳 | 600 µg | 600 µg | ||
14〜18歳 | 900 µg | 900 µg | 900 µg | 900 µg |
19歳以上 | 1,100 µg | 1,100 µg | 1,100 µg | 1,100 µg |
*乳児のヨウ素供給源は調製粉乳および食品のみとすべきである。
医薬品との相互作用
ヨウ素のサプリメントは、一部の種類の医薬品と相互作用する可能性がある。以下に例を記載する。定期的にこれらの医薬品を服用している人は、ヨウ素摂取について今かかっている医療機関※と話し合う必要がある。
抗甲状腺薬
甲状腺機能亢進症の治療には、メチマゾール(タパゾール)などの抗甲状腺薬が使用される。抗甲状腺薬と一緒にヨウ素を大量に摂取すると、相加効果が生じるため[89]、甲状腺機能低下症を引き起こす可能性がある。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤
アンジオテンシン変換酵素(Angiotensin-converting enzyme:ACE)阻害剤
ベナゼプリル(Lotensin)、リシノプリル(Prinivil、Zestril)、ホシノプリル(Monopril)などのACE阻害剤は、主に高血圧の治療に用いられる。ACE阻害剤とヨウ化カリウムの併用は、高カリウム血症(カリウムの血中濃度の上昇)のリスク(危険)を高める可能性がある[89]。
カリウム保持性利尿薬
ヨウ化カリウムとスピロノラクトン(Aldactone)やアミロリド(Midamor)などのカリウム保持性利尿薬を併用すると、高カリウム血症のリスク(危険)が高くなる可能性がある[89]。
ヨウ素と健康的な食生活
連邦政府の「2020–2025 Dietary Guidelines for Americans(2020-2025年版 米国の食事指針)」では、「食品は健康に役立つさまざまな栄養素やその他の成分を提供するため、栄養ニーズは主に食品を通して満たす必要がある。…場合によって、強化食品やダイエタリーサプリメントは、他の方法では1つまたは複数の栄養素の必要量を満たすことができない場合(例えば、妊娠などの特定のライフステージ)に有用である。」と記されている。
健康的な食生活の構築についての詳細は、「Dietary Guidelines for Americans(米国の食事指針)」[英語サイト]と米国農務省の「MyPlate(私の食事)」[英語サイト]をご覧ください。
「Dietary Guidelines for Americans(米国の食事指針)」では、健康的な食生活を以下のように説明している。
- さまざまな野菜、果物、穀物(少なくとも半分が全粒粉)、無脂肪および低脂肪の牛乳、ヨーグルト、チーズ、油脂を含む。
- 牛乳および乳製品はヨウ素を含む。
- 赤肉、鶏肉、卵、魚介類、豆・エンドウ・レンズ豆、ナッツ・種子、大豆製品など、さまざまなタンパク質食品を含む。
- 魚の種類によってはヨウ素含有量が高いものもある。卵もヨウ素供給源として優れている。
- 糖分、飽和脂肪、ナトリウムを多く含む食品や飲料を制限する。
- アルコール飲料を制限する。
- 1日に必要なカロリーの範囲内に収まっている。
(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)
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更新日:2025年6月19日
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
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