海外の情報
クロム(クロミウム)
Chromium

- 写真に掲載している食材の成分表一覧
[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版最終アクセス確認日:2024年12月
これは医療関係者向けです。平易な言葉で書かれた概要については、「一般の方へ:クロム(クロミウム)(Chromium)」[英語サイト]をご覧ください。
はじめに
クロムは、3価のクロムとして、食品には自然に含まれる天然の微量元素であり、ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)としても利用されている。クロムは、ステンレス鋼などの製造過程で有害な副産物である六価クロムとしても存在する[1,2]。このファクトシートでは、3価のクロムにのみ焦点を当てている。
クロムは、インスリンの働きを増強することで、糖質、脂質、タンパク質の代謝に関与しているかもしれない[1-5]。この活性の正確なメカニズムは特定されていないが、研究者らは、クロムがオリゴペプチドと結合、クロモデュリンを形成し、この低分子のクロム結合物質がインスリン受容体に結合して活性化し、インスリンの作用を促進するという説を提唱している [4,6-8]。クロムは抗酸化作用も有するかもしれない[1]。
2001年、米国科学アカデミー医学研究所(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)の食品栄養委員会(Food and Nutrition Board:FNB)は、インスリン作用への影響を考慮してクロムを必須栄養素であるとみなした[2]。しかし、最近の研究では、クロムは薬理学的な量(例えば、数百µg)であればベネフィット(有益性)もたらすかもしれないが、クロムがないまたは欠乏しても、クロムを補充することで元に戻る可能性のある異常は生じないため、必須ミネラルではないと考えられている(下記の「クロム欠乏症」の項を参照) [5,9-13]。FNBは2001年以降クロムを評価をしていない。しかし2014年に欧州食品安全機関(European Food Safety Authority)の栄養製品、栄養およびアレルギーに関する科学パネル(Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies)では、クロムが必須栄養素である決定的なエビデンス(科学的根拠)はないため、クロム摂取の推奨は不適切であると結論付けた[5]。
血中では、ほとんどのクロムが血漿タンパク質、特にトランスフェリンと結合しており、非結合型はおよそ5%にすぎない [5,12]。クロムは主に肝臓、脾臓、軟部組織、骨に蓄積される [2,5,12]。
クロムは主に尿中に排出される [1,12,13]。そのため、尿中のクロムレベルがクロムの吸収を示す良い指標となる。しかし、このレベルは直近のクロム摂取量と密接に関連しているため、クロムの体内蓄積量の良い指標とはならない [4,14]。毛髪のクロムレベルは過去のクロム摂取量を反映しているかもしれないことから [5]、いくつかの研究では、毛髪、汗、血清、足指の爪のクロムレベルを測定した研究もある [15,16]。しかし、体内のクロムの有効な測定方法はなく、臨床的にクロム欠乏の状態も定義されていない [6,8]。
推奨摂取量
米国科学アカデミー医学研究所(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)の食品栄養委員会(Food and Nutrition Board:FNB)が設定した食事摂取基準(Dietary Reference Intake:DRI)には、クロムや他の栄養素の推奨摂取量が提示されている[2]。DRIは、健康な人の栄養摂取の計画と評価に関する一連の基準値に対する総称である。これらの基準値は年齢や性別によって異なり、次のような項目がある。
- 推奨所要量(推奨量、Recommended Dietary Allowance、RDA):ほぼすべて(97~98%)の健康な人の栄養所要量を満たすのに十分な1日あたりの平均摂取量であり、個人の栄養的に適切な食事を計画する際によく用いられる。
- 適正摂取量(目安量、Adequate Intake:AI):このレベルの摂取は、栄養の適切性を確保するために想定されており、RDAを策定するためのエビデンス(科学的根拠)が不十分な場合に設定される。
- 推定平均必要量(Estimated Average Requirement:EAR):健康な人の50%の必要量を満たすと推定される1日の平均摂取量。通常、集団の栄養摂取量を評価し、栄養的に適切な食事を計画するために使用される。また、個人の栄養摂取量の評価にも使用できる。
- 許容上限摂取量(上限量、Tolerable Upper Intake Level:UL):健康への悪影響はないと思われる1日の最大摂取量。
2001年の評価では、FNBはクロムのEARを導き出すためには既存のデータが不十分であるとした。そのため,FNBは,健康な集団における通常のクロム摂取量に基づいて,すべての年齢層の基準値を設定した[2]。表1はクロムの現在のAIを示している。
年齢 | 男性 | 女性 | 妊娠 | 乳婦 |
---|---|---|---|---|
誕生0~6カ月* | 0.2 µg | 0.2 µg | ||
生後7~12カ月* | 5.5 µg | 5.5 µg | ||
1~3 歳 | 11 µg | 11 µg | ||
4~8 歳 | 15 µg | 15 µg | ||
9~13 歳 | 25 µg | 21 µg | ||
14~18 歳 | 35 µg | 24 µg | 29 µg | 44 µg |
19~50 歳 | 35 µg | 25 µg | 30 µg | 45 µg |
51歳以上 | 30 µg | 20 µg |
* 誕生から12カ月までの乳児については、主に母乳を与えられた乳児と、それ以上の年齢の乳児については補助食を与えられた乳児のクロム摂取量の平均値に基づいて、AIを設定している。
クロムの供給源
食品
クロムは、食肉(哺乳動物の肉)、穀物製品、果物、野菜、ナッツ類、香辛料、醸造用酵母、ビール、ワインなど多くの食品に含まれている。しかし、これらの食品のクロム含有量は、その土地の土壌や水質、その食品を生産する際の農業の過程および製造過程などにより大きく異なる [4,7,12,17-20]。例えばオートミールでは、栽培工程および製造工程の違いによりサンプルのクロム含有量が50倍も異なる可能性がある [21]。また、クロムの一部は、食品加工中のステンレス製機器や調理中の鍋やフライパンからも食品に移行する可能性がある [3,4,10,17,20,22,23]。
ほとんどの乳製品や砂糖[スクロース(ショ糖)やフルクトース(果糖)など]を多く含む食品は、クロムの含有量が少ない [2,17,24]。
母乳にはおよそ0.25µg/Lのクロムが含まれている [2]が、報告されている値は大きく異なる。ヨーロッパで行われた小規模な研究では、クロムの濃度は0.14~10.8µg/Lであった [5]。
食事によるクロム吸収率は低く、0.4~2.5%である[5,6]。アスコルビン酸やアスピリンなどのプロスタグランジン阻害剤はクロムの吸収を増加させ、シュウ酸塩や制酸剤はクロムの吸収を阻害する [1,22,25]。
さまざまな種類の食品とその1食あたりのクロム含有量を表2に示します。測定や解析する際に用いる機器によりサンプルが容易に汚染されるため、食品中のクロム含有量を決定することは困難である [2]。したがって、表2が示す値は参考値にすぎない。
食品(1オンスは約28g、1カップは240ml) | 1回当たりの摂取量(mg) | %DV* |
醸造用酵母、大さじ1 | 3.3 | 9 |
オレンジジュース、1カップ(240ml) | 2.2 | 6 |
牛肉、3オンス(約85g) | 2.0 | 6 |
レタス、くさび型1切れ、約5オンス(約142g) | 1.8 | 5 |
七面鳥、むね肉、3オンス(約85g) | 1.7 | 5 |
バーベキューソース、大さじ1 | 1.7 | 5 |
トマトジュース、1カップ | 1.5 | 4 |
皮付きリンゴ、中1個 | 1.4 | 4 |
インゲン豆、1/2カップ(120ml) | 1.1 | 3 |
バナナ、中1本 | 1.0 | 3 |
全粒小麦粉のパン、1切れ | 1.0 | 3 |
ケチャップ、大さじ1 | 1.0 | 3 |
トマト、中1個 | 0.9 | 3 |
アメリカンチーズ、1.5オンス(約42g) | 0.8 | 2 |
ピーナッツバター、大さじ1 | 0.6 | 2 |
白米、1/2カップ(120ml) | 0.6 | 2 |
コダラ、3オンス(約85g) | 0.6 | 2 |
鶏むね肉、3オンス(約85g) | 0.5 | 1 |
エンドウ豆、1/2カップ(120ml) | 0.4 | 1 |
オレンジ、中1個 | 0.4 | 1 |
スパゲッティ、1カップ(240m.l) | 0.3 | 1 |
にんじん、生、中1本 | 0.3 | 1 |
卵、中1個 | 0.2 | 1 |
セロリ、1茎 | 0.1 | 0 |
無脂肪牛乳、1カップ(240ml) | 0.1未満 | 0 |
*DV = 1日摂取量。米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、消費者が総合的な食生活の中で、食品やダイエタリーサプリメントの栄養素の含有量を比較するためにDVを設定した。クロムに対するDVは成人および4歳以上の小児で35 μgである [26]。FDAは、クロムが食品に添加されていない限り、クロムの含有量の表示を義務付けていない。DVの20%以上を含む食品は、その栄養素を多く含む供給源と考えられるが、DVの低い割合の食品も健康的な食生活に寄与している。
ダイエタリーサプリメント
ほとんどのマルチビタミン/ミネラルサプリメント(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)は、通常35~120µgのクロムを含有する。クロムのみを含有するサプリメントもあり、それらは一般的に200µg~500µgのクロムを供給するが、中には1,000µgものクロムを含有するものもある[16,27]。
ダイエタリーサプリメント(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)に含まれるクロムは、ピコリン酸クロム、ニコチン酸クロム、ポリニコチン酸クロム、塩化クロム、ヒスチジン酸クロムなど、さまざまな形態がある [18,27]。それぞれ形態のクロムの吸収率は、類似している [6,9]。例えば、ピコリン酸クロムからのクロム吸収率はおよそ1.2%であるのに対し、塩化クロムからは0.4%であることを示唆する研究がある [1]。これらの値は、食品から吸収されるクロムの割合と類似している [5]。
クロム化合物には、さまざまな割合で元素のクロムが含まれている。例えば、ピコリン酸クロムの重量の12.4%は、元素のクロムである [18,28]。ダイエタリーサプリメントのサプリメントファクトラベル(栄養成分表)には、製品中のクロム化合物全体の量ではなく、元素のクロムの量が記載されている。
クロムの摂取状況
米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey :NHANES)は、多くの栄養素の食品摂取データを提供しているが、クロムの記載はない [29]。そのため、米国におけるクロムの摂取量に関するデータは限られている。
米国の男性8例および女性11例を対象とした小規模研究では、クロムの平均摂取量は女性が約29µg/日、男性は54µg/日であった [30]。別の研究では、栄養士が考案した22種類のバランスのとれた食事の2,000kcalあたりのクロム含有量の平均は約27µgで、約17〜47µgの範囲であった [17]。これらの知見は、米国人のほとんどがAIと同程度のクロム摂取量であることを示唆している。2018年にイタリア北部で行われた食事摂取評価では、典型的なイタリアの食事においてクロム摂取量の中央値は57µg/日であった [31]。
ダイエタリーサプリメントからのクロム摂取量のデータも非常に限られている。NHANES III (1988~1994年)のデータ解析によると、クロムを含むサプリメントを摂取する人では、クロム摂取量の中央値がおよそ23µg/日であった[2]。
クロム欠乏症
クロム欠乏症は、健康な集団では報告されておらず、決定的な欠乏の臨床症状は確立されていない [3,4]。
1970年代および1980年代に報告された3件の症例研究では、長期の中心静脈栄養(total parenteral nutrition:TPN)を行う患者は、高血糖症、尿糖、原因不明の体重減少、末梢神経障害、耐糖能異常、および/または錯乱など、代謝および神経の有害作用を経験した [32-34]。これらの有害作用は、薬理学的量のクロムで軽減した。これらの有害作用の原因がクロム欠乏症であると推測されたものの、研究ではTPN製剤中のクロム濃度を正確に評価していなかった [5]。研究者らは、最近の評価に基づき、これらの研究において患者がクロム欠乏症であったことのエビデンスは得られないため、健康な人がクロム欠乏症となることを実証するものではないと結論づけた [3,5,6,10,13]。
現在、クロムはTPN製剤に慣例的に追加されており、その量は10~15µg/日で、これは健康な人のバランスのとれた食事で吸収されるおよそ0.15µg/日よりもかなり多い1日投与量である [9]。そのため、米国静脈経腸栄養学会(American Society for Parenteral and Enteral Nutrition)をはじめとする専門家は、TPN製剤中のクロムレベルを下げるべきかどうかを判断するために、非経口的なクロムの必要性に関する研究を推奨している [9,13,35,36]。
クロムと健康
ここでは、クロムの有益な効果があるかもしれない5つの症状(糖耐能異常および糖尿病、メタボリックシンドローム、多嚢胞性卵巣症候群、脂質異常症、体重・除脂肪体重)に焦点を当てる。
耐糖能異常と糖尿病
クロムはインスリンの作用を増強するかもしれないため、クロムの摂取量を増やすことで耐糖能異常のリスク(危険)を軽減できるかもしれないことについて研究が行われた。
多くのランダム化比較試験では、糖尿病のない人、耐糖能異常や糖尿病のある人を対象に、クロムのサプリメント(しばしば薬理学的用量〔例えば、数百µg〕)の有用性が評価されている[16]。2型糖尿病に対するクロムのサプリメントの有用性について、最もよく引用される介入研究の1つは、1997年のランダム化比較試験である[37]。その試験では、35~65歳の2型糖尿病の成人180例を対象として、クロム(ピコリン酸クロムとして)100µg、500µg、またはプラセボを1日2回4カ月間投与されるように割り付けられた。2カ月および4カ月のいずれの時点においても、1000µg/日のクロムが投与された参加者は、プラセボまたは200µg/日のクロムが投与された参加者と比較して、空腹時の血清グルコース濃度が有意に低下した。例えば、4カ月時点の平均空腹時血清グルコース値は、1,000µg/日のクロム投与群では7.1mmol/L(128mg/dL)、プラセボ投与群では8.8mmol/L(159mg/dL)であった。75gのグルコース負荷後の平均血清グルコース値も、1,000µg/日のクロム投与群では、2カ月および4カ月の時点の両方で有意に低下した(4カ月の時点で10.5mmol/L [189mg/dL]、プラセボ群は12.3mmol/L [222mg/dL]。)。また、クロム200µg/日群および1000µg/日群は、プラセボと比較して、2カ月および4カ月の両方で、空腹時インスリン濃度、およびグルコース負荷後のインスリン濃度を有意に低下した。さらに、ヘモグロビンA1c(HbA1c)値は、200 μg/dayクロム投与群(平均7.5%)または1,000 μg/dayクロム投与群(平均6.6%)では、4カ月後にプラセボ投与群(平均8.5%)より有意に低値であった。HbA1cは、血糖値の長期的な変化を反映しているため、血糖コントロールの強固な指標となる[38]。
その後、複数の研究がさまざまなクロムの用量を用いて評価したが、一貫した知見は得られなかった。2019年に報告されたクロムと血糖コントロールのレビューでは、8件のメタアナリシスおよび総数58件の臨床試験のシステマティックレビューが対象であった [16]。試験期間は3週間~6カ月で、クロム1.28~1000µg/日を投与していた。最も多く使用されたのはピコリン酸クロムで、次いでクロムを含む酵母、塩化クロムであった。全体として、補助療法として用いられた場合に、クロムは糖尿病患者の空腹時血糖値および HbA1c値をわずかに低下させた。しかし、これらの知見の臨床的意義は不明である。2016年に報告された2型糖尿病の人のクロム補充に関するレビューの著者らも同様の結論を出し、2型糖尿病の人にクロム補充を推奨するエビデンスが不十分であること、クロム補充は健康な人のグルコースレベルの安定に有用ではないことを指摘している[39]。
いくつかの研究では、クロムの補充に対する反応はさまざまであるかもしれず、クロムのサプリメントは、より重篤なインスリン抵抗性と血糖コントロール不良の人には、ベネフィット(有益性)をもたらすかもしれないことを示唆している [18,40]。30~70歳の2型糖尿病を有する参加者137例を対象としたランダム化試験において、1,000µgのクロム(ピコリン酸クロムとして)を24週間毎日補充しても、プラセボと比較して、インスリン感受性、空腹時血糖値、HbA1c値に有意な影響はなかった[40]。しかし、一部の参加者はクロム補充に反応し、反応しなかった人に比べて、インスリン感受性が有意に低下し(3.98 対 5.91 mg/kg無脂肪質量/分)、空腹時血糖値(8.5 対 6.7 mmol/L [153 対 121 mg/dL]。)とHbA1c値が上昇(7.57 対 6.29%)した。
米国では2型糖尿病の人を対象としたクロムのサプリメントが広く販売されており、多くの成人がサプリメントによる糖尿病のリスク(危険)低下または血糖コントロールの改善に期待を寄せている [6,8,18,39]。しかし、FDAはピコリン酸クロムのダイエタリーサプリメントに対して以下の健康強調表示しか認めていない。
「ある小規模研究では、ピコリン酸クロムがインスリン抵抗性のリスク(危険)を低減し、その結果、2型糖尿病のリスク(危険)を低減するかもしれないことを示唆している。しかしFDAは、ピコリン酸クロムとインスリン抵抗性または2型糖尿病のいずれかとの関連は不確実性が高いと結論づけている [41,42]。
2010年に公表された、米国糖尿病協会(American Diabetes Association)の糖尿病ガイドラインにおいて、クロムの補充が糖尿病や肥満の人に有用であることを明確に示した研究はないため、そのような補充を推奨することはできないと結論づけている[43]。この決定は、不適格な対照群あるいは対照群のない研究から得られた相反するエビデンスに基づいていた。同様に、2015年の提言(ポジションステートメント)において、同協会は、糖尿病患者の血糖コントロールに対してクロム含有サプリメントおよび他の微量栄養素を含むサプリメントの習慣的な使用を支持するエビデンスは十分ではないと結論づけている[44]。特定の集団(民族的背景、肥満の状態、ベースラインのインスリン感受性、投薬の有無など)がクロムの補充によって他の集団よりもベネフィット(有益性)を受けるかもしれないことについては、さらなる研究が必要である[18]。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームとは、危険因子(腹部肥満、トリグリセリド高値、高密度リポ蛋白(high-density lipoprotein:HDL/善玉)コレステロール低値、高血圧症、空腹時血糖高値)を有する集団で、心疾患、糖尿病、脳卒中のリスク(危険)が上昇する[45]。インスリン抵抗性は、このような状態の不可欠な要素であり、メタボリックシンドロームに対する食事療法の潜在的な治療対象になりうる[46]。20~32歳の成人3,648例を対象とした前向き研究では、23年にわたる追跡調査により治療開始前の足の爪のクロム濃度がメタボリックシンドロームの発生率と逆相関関係を示した [47]。これらの結果から、一部の研究者らはクロムのサプリメントがメタボリックシンドロームの人にベネフィット(有益性)をもたらすかもしれないという仮説を立てている。
メタボリックシンドロームに対するクロム補充を検証した臨床試験はわずかしか行われていない [46,48-50]。その1件の試験では、メタボリックシンドロームの18~75歳の成人63例を対象とし、ピコリン酸クロム500µgまたはプラセボを1日2回、16週間摂取した [46]。プラセボと比較して、クロム補充はグルコースに対する急性インスリン反応が有意に上昇したが、HbA1c値、インスリン感受性、糖代謝に関する他の指標に影響を与えなかった。クロム補充は、体重または血清脂質にも影響を与えなかった。
同様に2018年に報告された臨床試験では、メタボリックシンドロームおよび耐糖能異常の成人70例(平均年齢58歳)を対象とし、クロム補充300µg(クロム酵母、朝食時200µg、夕食時100µg)を24週間補充したが、空腹時血糖値、HbA1c値、ウエスト周囲、血圧、脂質値に影響はなかった [49]。
全体として、限られた研究では、クロム補充はメタボリックシンドロームの人に有意なベネフィット(有益性)をもたらさないことが示唆されている。
多嚢胞性卵巣症候群(Polycystic ovary syndrome:PCOS)は、妊娠可能年齢にある女性が罹患する一般的な内分泌疾患である。不妊症、肥満、脂質異常症、高アンドロゲン血症、および2型糖尿病と心血管系疾患のリスク(危険)上昇を特徴とする [51,52]。インスリン抵抗性はPCOSの中心的な構成要素であることが多いため、PCOSの人に対しクロムのサプリメントを使用して、血糖コントロールの維持および血中脂質値の低下に有用であるかを検証する研究が行われている [16,53]。
ランダム化比較試験の最近報告された4件のシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、PCOSの徴候や症状に対するクロムのサプリメントの有用性を検討した [52,54-56]。ある解析では、クロム(ピコリン酸クロム)を200µg~1,000µg/日、8~24週間投与した7件の試験(参加者総数351例)を対象とした [52]。クロムの補充は、空腹時血糖値、総テストステロン値、デヒドロエピアンドロステロン値、卵胞刺激ホルモン値、黄体形成ホルモン値に影響を与えなかった。しかし、クロムはプラセボと比較して、ボディマス指数(body mass index:BMI)を2.37 kg/m2、遊離テストステロン値を0.52 pg/mLと有意に低下し、空腹時インスリン値も 0.33ミリIU/mL有意に低下した。
8週間~6カ月間のランダム化試験5件(PCOSの女性参加者合計268例)を対象とした別のシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、クロムのサプリメント(200~1,000µg/日、多くはピコリン酸クロム)をプラセボまたはメトホルミンと比較した[55]。クロムの補充は、空腹時インスリン値またはインスリン感受性に有意な影響を与えなかったが、2件の試験データでは、インスリン抵抗性の指標を有意に低下したことが示された。さらにレビューに含まれた1件の試験では、クロム補充がβ細胞機能の指標を有意に改善したことが明らかになった。著者らは、クロムの有用性は小さく、臨床的関連性は不確実であると結論づけた。同様に、別のメタアナリシスおよびシステマティックレビューでも、知見はまちまちであった [54,56]。
全体として、クロムの補充がPCOSのリスク(危険)を低減させる、またはこの疾患を持つ女性に有益であるかどうかに関するエビデンスはまちまちであり、確固たる結論を導き出すことは困難である [16]。定義付けが徹底した集団において、十分なサンプル数、十分な期間で行う研究が必要である[53]。
脂質異常症
多くの研究では、乏しいクロム摂取状況と血中コレステロール高値との関連が示されている[7]。したがって、研究者らは、クロムの補充が血中脂質値を改善するかもしれないことについて仮説を立てている。この可能性については、耐糖能異常、糖尿病、PCOSなど、さまざまな集団を対象とした研究が行われている。
2型糖尿病コントロール不良(HbA1c値が少なくとも7%)の2型糖尿病の参加者71例(平均年齢54.1歳)を対象としたランダム化比較試験では、ピコリン酸クロム600µg/日を4カ月間補充したところ、プラセボと比較して、総コレステロール値、HDL値、低比重リポ蛋白(low-density lipoprotein:LDL/悪玉)コレステロール値、トリグリセリド値に有用性は認められなかった [57]。しかし、18~40歳のPCOSの女性40例を対象とした8週間の試験では、ピコリン酸クロム200µg/日を補充したところ、プラセボと比較して、血清トリグリセリド値が有意に低下(–19.2対+8.3 mg/dL)し、総コレステロール値も有意に低下(–15.3対–0.6 mg/dL)した[58]。高用量のクロム補充の研究結果は、まちまちであった [37,59]。
全体として、糖尿病[60-64]およびPCOS[54]の人に対するクロム補充を評価した複数のメタアナリシスでは、総コレステロール値およびLDLコレステロール値[16]に有意な変化は認められなかった。しかし、クロム補充によりHDLコレステロール値を1.73~4.64 mg/dL上昇させ、トリグリセリド値を11.71~26.57 mg/dL低下させることを示した解析もあった [63,64]。
クロム補充が脂質異常症に対し臨床的に有意な有用性があるかを決定するさらなる研究が必要である。
体重と除脂肪体重
一部の研究者らは、クロムがインスリン作用を増強するかもしれないことから、クロム補充が脂肪に変換されるグルコースの量を減らし、タンパク質合成を増加させ、その結果筋肉量を増加させる可能性があると考えている [12]。また、いくつかの予備的研究では、クロムのサプリメントが食事摂取量、空腹レベル、および脂肪の欲求を減少させるかもしれないことが示されている[65]。したがって、クロムの補充は、体重減少を促進し、体脂肪を減少させ、除脂肪体重を増加させることによって身体組成を改善することが提案されている;これらのアウトカムに対する有用性を評価する複数の臨床試験が行われている [12,66-69]。
2019年に報告された、18歳以上の過体重または肥満の参加者総数1,316例を登録した21件の試験を対象としたメタアナリシスでは、クロム補充の身体計測指標への影響を評価した[70]。試験期間は9~24週間で、クロム用量は200~1,000µg/日であった。ほとんどの試験はピコリン酸クロムを使用し、他にはクロム強化酵母、ニコチン酸クロムを使用した。クロムのサプリメントが投与された参加者は、プラセボを投与された参加者と比較して、体重が0.75kg有意に減少し、BMIが0.40 kg/m2低下、体脂肪率が0.68%低下した。クロムのサプリメントは、ウエスト周囲またはウエスト/ヒップ比に有意な有用性は認められなかった。
他の2件のシステマティックレビューおよびメタアナリシスも、2013年に報告されたコクランレビューと同様の知見を示した。コクランレビューの著者らは、体重におけるクロム補充の有用性は「臨床的な関連性については議論の余地がある」とし、全体のエビデンスの質は低いと指摘した。
全体として、主にピコリン酸クロムという形でクロムを補充すると、体重と体脂肪率が非常に小さいながらも統計的に有意に減少することが研究で示唆された。しかし、これらの有用性は臨床的にはほとんど意味を持たない。
クロムの過剰摂取による健康被害
FNBは、食品やサプリメントからのクロムの大量摂取による有害な影響はないと結論づけ、クロムのULを設定しなかった[2]。しかし、FNBは、データが限定的であるため、クロムの多量摂取による有害作用が起きるかもしれないことを注意する必要があると指摘している[2,3,6]。FNBは、腎疾患または肝疾患のある人は、クロムの多量摂取による悪影響を受けやすいかもしれないことも指摘した [2]。
個々の症例報告によると、クロム補充は体重減少、貧血、血小板減少、肝機能障害、腎不全、横紋筋融解、皮膚炎、低血糖を引き起こすかもしれない [73,74]。
医薬品との相互作用
医薬品の種類によっては、クロムのサプリメントと相互作用する可能性がある。以下に例を記載する。このような医薬品やそれ以外の医薬品を定期的に服用している人は、クロム摂取に関して今かかっている医療機関※に相談する必要がある。
インスリン
クロムはインスリン感受性を高めるかもしれない [58,75,76]。インスリンとクロムを併用することで、低血糖のリスク(危険)が高まる可能性がある [77]。
メトホルミンなどの糖尿病治療薬
複数の研究結果の中には、クロムの補充が血糖値を低下させるかもしれないことを示している [16,37,57,58,60]。そのため、クロムのサプリメントは、メトホルミンなどの糖尿病治療薬との相加効果があり、その結果、低血糖のリスク(危険)を高めるかもしれない。
レボチロキシン
レボチロキシン(甲状腺機能低下症の治療に使用される)と同時にピコリン酸クロムのサプリメントを摂取すると、6時間にわたってレボチロキシンの吸収率が低下するという小規模な研究結果がある[78]。
クロムと健康的な食生活
連邦政府の「2020-2025年版 米国の食事指針」では、「食品は健康に役立つさまざまな栄養素やその他の成分を提供するため、栄養ニーズは主に食品を通して満たすべきである。…場合によって、強化食品やダイエタリーサプリメントは、他の方法では1つまたは複数の栄養素の必要量を満たすことができない場合(例えば、妊娠などの特定のライフステージ)に有用である。」と記されている。
健康的な食生活の構築についての詳細は、「米国の食事指針(Dietary Guidelines for Americans)[英語サイト]」と米国農務省の「私の食事(MyPlate)[英語サイト]」をご覧ください。
「米国の食事指針 」では、健康的な食生活を以下のように説明している。
- さまざまな野菜、果物、穀物(少なくとも半分が全粒粉)、無脂肪および低脂肪の牛乳、ヨーグルト、チーズ、油脂を含む。
- 多くの全粒穀物、果物、野菜はクロムのよい栄養供給源である。
- 赤肉、鶏肉、卵、海産物、インゲン豆・エンドウ豆・レンズ豆、ナッツ・種子、大豆製品など、さまざまなタンパク質食品を含む。
- 赤肉、ナッツ類、鶏肉、卵はクロムを含む。
- 糖分、飽和脂肪、ナトリウムを多く含む食品や飲料を制限する。
- アルコール飲料を制限する。
- 1日に必要なカロリーの範囲内に収まっている。
(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)
参考文献
- Anderson RA, Cefalu WT. Chromium. In: Coates PM, Betz JM, Blackman MR, et al., eds. Encyclopedia of Dietary Supplements 2nd ed. New York, NY Informa Healthcare; 2010.
- Institute of Medicine. Food and Nutrition Board. Dietary Reference Intakes for Vitamin A, Vitamin K, Arsenic, Boron, Chromium, Copper, Iodine, Iron, Manganese, Molybdenum, Nickel, Silicon, Vanadium, and Zinc Washington, DC: National Academy Press; 2001.
- Vincent JB, Lukaski HC. Chromium. Adv Nutr 2018;9:505-6. [PubMed abstract][英語サイト]
- Eckhert CD. Trace Elements. In: A. Catharine Ross BC, Robert J. Cousins, Katherine L. Tucker, Thomas R. Ziegler, ed. Modern Nutrition in Health and Disease. 11th ed. Baltimore, MD: Lippincott Williams & Wilkins; 2014:248-51.
- European Food Safety Authority NDA Panel. Scientific Opinion on Dietary Reference Values for chromium. EFSA Journal 2014;12(10):3845.
- Vincent JB. Chromium In: Marriott BP, Birt DF, Stallings VA, Yates AY, eds. Present Knowledge in Nutritoin 11th ed. Cambridge, MA: Elsevier; 2020:457-65.
- Swaroop A, Bagchi M, Preuss HG, Zafra-Stone S, Ahmad T, Bagchi D. Benefits of chromium (III) complexes in animal and human health. In: Vincent JB, ed. The Nutritional Biochemistry of Chromium (III). Cambridge, MA: Elsevier; 2019:251-78.
- Landman GW, Bilo HJ, Houweling ST, Kleefstra N. Chromium does not belong in the diabetes treatment arsenal: Current evidence and future perspectives. World J Diabetes 2014;5:160-4. [PubMed abstract][英語サイト]
- Vincent JB, Brown S. Introduction: A history of chromium studies (1955-2007). In: Vincent JB, ed. The Nutritional Biochemistry of Chromium (III). Cambridge, MA Elsevier; 2019:1-58.
- Vincent JB. New evidence against chromium as an essential trace element. J Nutr 2017;147:2212-9. [PubMed abstract][英語サイト]
- Vincent JB. Is the pharmacological mode of action of chromium(III) as a second messenger? Biol Trace Elem Res 2015;166:7-12. [PubMed abstract][英語サイト]
- Nielsen FH. Manganese, Molybdenum, Boron, Chromium, and Other Trace Elements. In: John W. Erdman Jr. IAM, Steven H. Zeisel, ed. Present Knowledge in Nutrition. 10th ed: Wiley-Blackwell; 2012:586-607.
- Nielsen FH. Summary: The metabolism, nutritional essentiality, and clinical importance of chromium -Clarity emerging after 60 years of research. In: Vincent JB, ed. The Nutritional Biochemistry of Chromium (III). Cambridge, MA Elsevier; 2019:361-70.
- Anderson RA, Polansky MM, Bryden NA. Stability and absorption of chromium and absorption of chromium histidinate complexes by humans. Bio Trace Elem Res 2004;101:211-8. [PubMed abstract][英語サイト]
- Davies S, McLaren Howard J, Hunnisett A, Howard M. Age-related decreases in chromium levels in 51,665 hair, sweat, and serum samples from 40,872 patients--implications for the prevention of cardiovascular disease and type II diabetes mellitus. Metabolism 1997;46:469-73. [PubMed abstract][英語サイト]
- Costello RB, Dwyer JT, Merkel JM. Chromium supplements in health and disease. In: Vincent JB, ed. The Nutritional Biochemistry of Chromium (III). Cambridge, MA: Elsevier; 2019:219-59.
- Anderson RA, Bryden NA, Polansky MM. Dietary chromium intake. Freely chosen diets, institutional diet, and individual foods. Biol Trace Elem Res 1992;32:117-21. [PubMed abstract][英語サイト]
- Wang ZQ, Cefalu WT. Current concepts about chromium supplementation in type 2 diabetes and insulin resistance. Curr Diab Rep 2010;10:145-51. [PubMed abstract][英語サイト]
- Dattilo AM, Miguel SG. Chromium in Health and Disease. Nutr Today 2003;38:121-33.
- Hamilton EM, Young SD, Bailey EH, Watts MJ. Chromium speciation in foodstuffs: A review. Food Chem 2018;250:105-12. [PubMed abstract][英語サイト]
- Vincent JB. Chromium: Properties and Determination In: Caballero B, Finglas PM, Toldra F, eds. Encyclopedia of Food and Health: Academic Press; 2016:114-8.
- Vincent JB. The Bioinorganic Chemistry of Chromium United Kingdom: John Wiley & Sons, Ltd; 2013.
- Kuligowski J, Halperin KM. Stainless steel cookware as a significant source of nickel, chromium, and iron. Arch Environ Contam Toxicol 1992;23:211-5. [PubMed abstract][英語サイト]
- Kozlovsky AS, Moser PB, Reiser S, Anderson RA. Effects of diets high in simple sugars on urinary chromium losses. Metabolism 1986;35:515-8. [PubMed abstract][英語サイト]
- Seaborn CD, Stoecker BJ. Effects of antacid or ascorbic acid on tissue accumulation and urinary excretion of 51chromium. Nutr Res 1990;10:1401-7.
- U. S. Food and Drug Administration. Food Labeling: Revision of the Nutrition and Supplement Facts Labels[英語サイト].2016.
- National Institutes of Health. Dietary Supplement Label Database. 2020.
- Komorowski J, Juturu V. Chromium supplementation does not improve glucose tolerance, insulin sensitivity, or lipid profile: a randomized, placebo-controlled, double-blind trial of supplementation in subjects with impaired glucose tolerance: response to Gunton et al. Diabetes Care 2005;28:1841-2; author reply 2-3. [PubMed abstract][英語サイト]
- U.S. Department of Agriculture and Agricultural Research Service. What We Eat In America[英語サイト].2018.
- Anderson RA, Bryden NA, Polansky MM. Dietary intake of calcium, chromium, copper, iron, magnesium, manganese, and zinc: duplicate plate values corrected using derived nutrient intake. J Am Diet Assoc 1993;93:462-4. [PubMed abstract][英語サイト]
- Filippini T, Cilloni S, Malavolti M, Violi F, Malagoli C, Tesauro M, et al. Dietary intake of cadmium, chromium, copper, manganese, selenium and zinc in a Northern Italy community. J Trace Elem Med Biol 2018;50:508-17. [PubMed abstract][英語サイト]
- Brown RO, Forloines-Lynn S, Cross RE, Heizer WD. Chromium deficiency after long-term total parenteral nutrition. Dig Dis Sci 1986;31:661-4. [PubMed abstract][英語サイト]
- Freund H, Atamian S, Fischer JE. Chromium deficiency during total parenteral nutrition. JAMA 1979;241:496-8. [PubMed abstract][英語サイト]
- Jeejeebhoy KN, Chu RC, Marliss EB, Greenberg GR, Bruce-Robertson A. Chromium deficiency, glucose intolerance, and neuropathy reversed by chromium supplementation, in a patient receiving long-term total parenteral nutrition. Am J Clin Nutr 1977;30:531-8. [PubMed abstract][英語サイト]
- Fessler TA. Trace elements in parenteral nutrition: a practical guide for dosage and monitoring for adult patients. Nutr Clin Pract 2013;28:722-9. [PubMed abstract][英語サイト]
- Vanek VW, Borum P, Buchman A, Fessler TA, Howard L, Jeejeebhoy K, et al. A.S.P.E.N. position paper: recommendations for changes in commercially available parenteral multivitamin and multi-trace element products. Nutr Clin Pract 2012;27:440-91. [PubMed abstract][英語サイト]
- Anderson RA, Cheng N, Bryden NA, Polansky MM, Cheng N, Chi J, et al. Elevated intakes of supplemental chromium improve glucose and insulin variables in individuals with type 2 diabetes. Diabetes 1997;46:1786-91. [PubMed abstract][英語サイト]
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. The A1C Test & Diabetes[英語サイト]. 2018.
- Costello RB, Dwyer JT, Bailey RL. Chromium supplements for glycemic control in type 2 diabetes: limited evidence of effectiveness. Nutr Rev 2016;74:455-68. [PubMed abstract][英語サイト]
- Cefalu WT, Rood J, Pinsonat P, Qin J, Sereda O, Levitan L, et al. Characterization of the metabolic and physiologic response to chromium supplementation in subjects with type 2 diabetes mellitus. Metabolism 2010;59:755-62. [PubMed abstract][英語サイト]
- U. S. Food and Drug Administration. Qualified Health Claims: Letters of Denial[英語サイト].
- Trumbo PR, Ellwood KC. Chromium picolinate intake and risk of type 2 diabetes: an evidence-based review by the United States Food and Drug Administration. Nutr Rev 2006;64:357-63. [PubMed abstract][英語サイト]
- American Diabetes Association. Standards of medical care in diabetes--2010. Diabetes care 2010;33 Suppl 1:S11-61. [PubMed abstract][英語サイト]
- American Diabetes Association. (4) Foundations of care: education, nutrition, physical activity, smoking cessation, psychosocial care, and immunization. Diabetes care 2015;38 Suppl:S20-30. [PubMed abstract][英語サイト]
- National Heart Lung and Blood Institute. Metabolic Syndrome[英語サイト]. 2019.
- Iqbal N, Cardillo S, Volger S, Bloedon LT, Anderson RA, Boston R, et al. Chromium picolinate does not improve key features of metabolic syndrome in obese nondiabetic adults. Metab Syndr Relat Disord 2009;7:143-50. [PubMed abstract][英語サイト]
- Bai J, Xun P, Morris S, Jacobs DR, Jr., Liu K, He K. Chromium exposure and incidence of metabolic syndrome among American young adults over a 23-year follow-up: the CARDIA Trace Element Study. Sci Rep 2015;5:15606. [PubMed abstract][英語サイト]
- Ali A, Ma Y, Reynolds J, Wise JP, Sr., Inzucchi SE Katz DL (2011). Chromium effects on glucose tolerance and insulin sensitivity in persons at risk for diabetes mellitus. Endocr Pract 17:16-25. [PubMed abstract][英語サイト]
- Nussbaumerova B, Rosolova H, Krizek M, Sefrna F, Racek J, Muller L, et al. Chromium supplementation reduces resting heart rate in patients with metabolic syndrome and impaired glucose tolerance. Biol Trace Elem Res 2018;183:192-199. [PubMed abstract][英語サイト]
- Kim HN, Kim SH, Eun YM, Song SW. Effects of zinc, magnesium, and chromium supplementation on cardiometabolic risk in adults with metabolic syndrome: A double-blind, placebo-controlled randomised trial. J Trace Elem Med Biol 2018;48:166-71. [PubMed abstract][英語サイト]
- Goldrat O, Delbaere A. PCOS: update and diagnostic approach. Clin Biochem 2018;62:24-31. [PubMed abstract][英語サイト]
- Fazelian S, Rouhani MH, Bank SS, Amani R. Chromium supplementation and polycystic ovary syndrome: A systematic review and meta-analysis. J Trace Elem Med Biol 2017;42:92-6. [PubMed abstract][英語サイト]
- Piotrowska A, Pilch W, Czerwinska-Ledwig O, Zuziak R, Siwek A, Wolak M, et al. The possibilities of using chromium salts as an agent supporting treatment of polycystic ovary syndrome. Biol Trace Elem Res 2019;192:91-7. [PubMed abstract][英語サイト]
- Tang XL, Sun Z, Gong L. Chromium supplementation in women with polycystic ovary syndrome: Systematic review and meta-analysis. J Obstet Gynaecol Res 2018;44:134-43. [PubMed abstract][英語サイト]
- Heshmati J, Omani-Samani R, Vesali S, Maroufizadeh S, Rezaeinejad M, Razavi M, et al. The effects of supplementation with chromium on insulin resistance indices in women with polycystic ovarian syndrome: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials. Horm Metab Res 2018;50:193-200. [PubMed abstract][英語サイト]
- Maleki V, Izadi A, Farsad-Naeimi A, Alizadeh M. Chromium supplementation does not improve weight loss or metabolic and hormonal variables in patients with polycystic ovary syndrome: A systematic review. Nutr Res 2018;56:1-10. [PubMed abstract][英語サイト]
- Paiva AN, Lima JG, Medeiros AC, Figueiredo HA, Andrade RL, Ururahy MA, et al. Beneficial effects of oral chromium picolinate supplementation on glycemic control in patients with type 2 diabetes: A randomized clinical study. J Trace Elem Med Biol 2015;32:66-72. [PubMed abstract][英語サイト]
- Jamilian M, Zadeh Modarres S, Amiri Siavashani M, Karimi M, Mafi A, Ostadmohammadi V, et al. (2018). The influences of chromium supplementation on glycemic control, markers of cardio-metabolic risk, and oxidative stress in infertile polycystic ovary syndrome women candidate for in vitro fertilization: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Biol Trace Elem Res 185(1): 48-55. [PubMed abstract][英語サイト]
- Gunton JE, Cheung NW, Hitchman R, Hams G, O’Sullivan C, Foster-Powell K, et al. Chromium supplementation does not improve glucose tolerance, insulin sensitivity, or lipid profile: a randomized, placebo-controlled, double-blind trial of supplementation in subjects with impaired glucose tolerance. Diabetes Care 2005;28:712-3. [PubMed abstract][英語サイト]
- Balk EM, Tatsioni A, Lichtenstein AH, Lau J, Pittas AG. Effect of chromium supplementation on glucose metabolism and lipids: a systematic review of randomized controlled trials. Diabetes Care 2007;30:2154-63. [PubMed abstract][英語サイト]
- Patal PC, Cardino MT, Jimeno CA. A meta-analysis on the effect of chromium picolinate on glucose and lipid profiles among patients with type 2 diabetes mellitus. Philipp J Intern Med 2010;48:32-7.
- Abdollahi M, Farshchi A, Nikfar S, Seyedifar M. Effect of chromium on glucose and lipid profiles in patients with type 2 diabetes; a meta-analysis review of randomized trials. J Pharm Pharm Sci 2013;16:99-114. [PubMed abstract][英語サイト]
- Suksomboon N, Poolsup N, Yuwanakorn A. Systematic review and meta-analysis of the efficacy and safety of chromium supplementation in diabetes. J Clin Pharm Ther 2014;39:292-306. [PubMed abstract][英語サイト]
- Huang H, Chen G, Dong Y, Zhu Y, Chen H. Chromium supplementation for adjuvant treatment of type 2 diabetes mellitus: Results from a pooled analysis. Mol Nutr Food Res 2018;62. [PubMed abstract][英語サイト]
- Anton SD, Morrison CD, Cefalu WT, Martin CK, Coulon S, Geiselman P, et al. Effects of chromium picolinate on food intake and satiety. Diabetes Technol Ther 2008;10:405-12. [PubMed abstract][英語サイト]
- Manore MM. Dietary supplements for improving body composition and reducing body weight: where is the evidence? Int J Sport Nutr Exerc Metab 2012;22:139-54. [PubMed abstract][英語サイト]
- Tian H, Guo X, Wang X, He Z, Sun R, Ge S, et al. Chromium picolinate supplementation for overweight or obese adults. Cochrane Database Syst Rev 2013:Cd010063. [PubMed abstract][英語サイト]
- Willoughby D, Hewlings S, Kalman D. Body composition changes in weight loss: strategies and supplementation for maintaining lean body mass, a brief review. Nutrients 2018;10. [PubMed abstract][英語サイト]
- Lukaski HC. Effects of chromium (III) as a nutritional supplement. In: Vincent JB, ed. The Nutritional Biochemistry of Chromium (III). Cambridge, MA: Elsevier; 2019:61-77.
- Tsang C, Taghizadeh M, Aghabagheri E, Asemi Z, Jafarnejad S. A meta-analysis of the effect of chromium supplementation on anthropometric indices of subjects with overweight or obesity. Clin Obes 2019;9:e12313. [PubMed abstract][英語サイト]
- Onakpoya I, Posadzki P, Ernst E. Chromium supplementation in overweight and obesity: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials. Obes Rev 2013;14:496-507. [PubMed abstract][英語サイト]
- Pittler MH, Stevinson C, Ernst E. Chromium picolinate for reducing body weight: meta-analysis of randomized trials. Int J Obes Relat Metab Disord 2003;27:522-9. [PubMed abstract][英語サイト]
- Fowler JF, Jr. Systemic contact dermatitis caused by oral chromium picolinate. Cutis 2000;65:116. [PubMed abstract][英語サイト]
- Vincent JB. The potential value and toxicity of chromium picolinate as a nutritional supplement, weight loss agent and muscle development agent. Sports Med 2003;33:213-30. [PubMed abstract][英語サイト]
- Martin J, Wang ZQ, Zhang XH, Wachtel D, Volaufova J, Matthews DE, et al. Chromium picolinate supplementation attenuates body weight gain and increases insulin sensitivity in subjects with type 2 diabetes. Diabetes Care 2006;29:1826-32. [PubMed abstract][英語サイト]
- Cefalu WT, Bell-Farrow AD, Stegner J, Wang ZQ, King T, Morgan T, et al. Effect of chromium picolinate on insulin sensitivity in vivo. J Trace Elem Exp Med 1999;12:71-83.
- Natural Medicines TRC. Chromium[英語サイト].2020.
- John-Kalarickal J, Pearlman G, Carlson HE. New medications which decrease levothyroxine absorption. Thyroid 2007;17:763-5. [PubMed abstract][英語サイト]
更新日:2025年6月19日
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。